子どもには、大人同士の事情をすべて説明するより、これからの暮らしで分かっていることと、子どもの責任ではないことを伝えられます。一度で納得してもらう必要はありません。暴力や威圧への心配がある場合は、親がそろって話すことより、本人と子どもの安全を先に相談します。
知ってほしいのは、大人の正しさより暮らしの見通し
「本当のことを言う」ことと、夫婦間で起きた出来事を詳しく知らせることは同じではありません。子どもが知りたいのは、今夜どこで寝るか、誰が迎えに来るか、学校や友人関係はどうなるかかもしれません。何を気にしているかは、年齢だけでなくその子の理解や生活によっても違います。
AACAPの家族向け資料は、離婚の説明を簡潔に行い、子どもが原因ではないと伝え、相手の欠点を子どもへ語らないよう勧めています。[1] ただし同資料の米国の一般的な助言を、すべての家庭の法的条件や安全にそのまま当てはめるものではありません。両親に会えること、住まいが変わらないことなど、確認できていない約束をする必要はありません。
説明用の例です。来月から親の一人が別の場所で暮らすことになりました。詳しい経緯を話す前に、「来月から別の家で暮らします。あなたは今の家から学校へ通います。火曜のお迎えは私です」と、決まっている生活から伝える形を考えます。何も変わらないと言うより、変わるところと今は変わらないところを示せます。
決まったことと、まだ決まらないことを分ける
手続きや住まいが確定しないと、全部決まるまで話せない気がすることがあります。しかし、子どもがすでに荷造りや会話の変化に気づいている場合もあります。説明の時期は状況に応じて考えますが、未定のことを分かるふりで埋めず、「そこはまだ大人が相談中です」と言うことができます。
先ほどの例で、休日の過ごし方が未定なら、「いつ会うかはまだ決まっていません。分かったら私から話します。今、あなたが決めないといけないことではありません」と続ける方法があります。次に確かめる日や、変更を伝える大人を決められると、子どもが何度も聞き出す役を背負わずに済みます。
「絶対大丈夫」と保証したくなる場面でも、気持ちを先に打ち消さなくてかまいません。「学校が変わるかもしれないのが心配なんだね。今分かっているのはここまでです」と、心配と情報を並べられます。大人にも答えがないことと、子どもの質問を受け止めないことは別です。
原因や仲直りの責任を、子どもに渡さない
子どもが「自分が悪い子だったから?」と受け取ったり、親を元に戻そうとしたりすることがあります。[1] その子がそう言ったときは、すぐ理由の説明を増やすより、「あなたがけんかをしたからではない」「大人の関係を元に戻す役はあなたにはありません」と、その心配へ答えられます。
「どちらの親が正しいと思う」「相手にこう伝えておいて」と頼むと、子どもが大人の対立の途中に入ることになります。日程の連絡、金銭や手続きの確認は、大人や必要な専門家が担う課題です。子どもが話してくれた相手の様子を、情報収集の材料として詳しく聞き出し続けないことも考えられます。
子どもの希望を聞くことと、大人の決定を子どもに委ねることも区別できます。「どちらかを選んで」と迫るのではなく、「今の生活で続けたいこと、心配なことはある?」と聞き、決定に必要な検討は大人が行います。親権や親子交流等の個別の法的判断は、家族向け心理記事だけで決めず、法律の専門窓口へ確認してください。
泣く、怒る、何も言わない反応の後にも、話を続けられる
説明の直後に質問せず、遊びへ戻る子もいるかもしれません。それだけで理解した、気にしていないと判断しなくてよいのです。今は聞きたくない様子なら説明を重ね続けず、「後で聞きたくなったら話してよい」と入口を残せます。反応を確認するために毎日感想を求める必要もありません。
後日、同じ質問が出た場合も、前の説明が失敗だったと決めなくてかまいません。「前にも言った」と終えるより、その日に気になる点を短く確かめます。学校への連絡では、家庭内の詳しい経緯を広く共有するより、迎えの人や連絡先、本人が疲れたときの対応など、支援に必要な情報を学校と相談します。
眠り、食事、登校、人との関わりに強い影響が続く場合は、小児科や子どもの相談機関へ状況を伝えられます。[1] 親の説明のせいだと一つに原因を決めず、いま本人がどこで困っているかを見ます。保護者自身が動揺して言葉に詰まることも、支援者へ相談できる内容です。
一緒に話すことが安全かどうかを、先に考える
相手を怖がって自由に話せない、別居の場所を知られると危険、話した後に子どもが責められる可能性があるときは、共同で説明する場を急いで作りません。配偶者暴力相談支援センター等では、暴力に関する相談や安全な生活に向けた情報提供を行っています。[2] 避難先など、知らせることで危険が増す情報は、専門の支援者と扱いを相談してください。
説明用の言い方なら、「子どもに状況は伝えたいですが、相手と同席するのが怖いです。安全に話せる人・場所・内容を一緒に考えてほしい」と頼めます。子どものために話し合うことを、危険な関係に戻る義務にしないでください。
ALVARAでは18歳以上の保護者ご自身の迷いや、伝える言葉の整理を相談できます。子ども本人の診療や、法律上の判断、緊急の安全確保を担うサービスではありません。親自身の気持ちは大人の支えへつなぎながら、子どもへはその子の暮らしに必要な説明を少しずつ渡していけます。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
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