子どもが失敗を怖がり、挑戦を避けるとき|結果と安心できる支えを考える

子どもが失敗を怖がって動けないときは、励ましを増やす前に、課題のどこで止まるかを分けて考えられます。やり方が分からないこと、間違えた後の反応が怖いこと、実際に難しすぎることでは必要な助けが違います。挑戦した回数だけを、勇気や成長の評価にしなくてよいのです。

「できそうなのに」では分からない負担がある

家庭でできた計算でも、黒板の前では手が止まる。知っている遊びでも、勝敗がつくと参加しない。大人には簡単に見える課題でも、本人は問題の難しさ以外のことを気にしているかもしれません。皆に見られる、遅いと笑われる、消した跡を嫌がるなど、止まる条件を一つずつ聞けます。

NHSの子どもの不安の案内は、新しいことへ挑戦しにくい、日常の活動を避ける等の姿も取り上げています。[1] ただし、その姿だけで不安症と決めるものではありません。実際の課題の分かりにくさ、周囲の対応、体調なども含めて確かめる必要があります。

説明用の例です。絵を描くのが好きな子が、学校の作品だけ白紙で返します。家では自由に描けても、学校では「手本と同じにできないとだめ」と受け取っていました。これは描く練習を増やすか、やらないことを認めるかだけの話ではなく、課題で求められている内容を確認する入口になります。

技能を助けるのか、予測を確かめるのかを分ける

まず、どんな完成や手順が必要なのか、本人が理解できる説明になっているかを見ます。手本を見ても最初の一筆が分からないなら、課題を小さく説明する助けが必要かもしれません。一方、手順は分かるのに人に見られると止まるなら、評価の場面について別に考えます。

先ほどの例なら、「少し違っても提出してよいのか」「途中で直した物も作品になるのか」を先生へ確認できます。大人が家で「上手にできなくてもよい」と言っても、学校でどのように扱われるかが本人には分からないことがあります。本人の予測を間違いと片づけず、実際の条件を確かめます。

実際にからかい、侮辱、強い叱責がある場合は、不安を減らして耐えさせる課題にしません。学校等へ、安全と指導の対応を相談します。NHSも、不安を決めつけず理由を聞き、何が心配かを話す前に負担の強い場面へ無理に入れないよう示しています。[1]

「あなたはできる子」と、課題で使える情報は別

励ましたい思いから「頭がよいのだから大丈夫」「頑張れば何でもできる」と言うことがあります。本人によっては、次にうまくいかなかったとき、その評価まで失うように感じるかもしれません。褒めることの有無だけでなく、何を伝えているかを見る視点があります。

KaminsとDweckの研究では、幼い子どもの役割演技の課題を使い、人物や特性への評価と、取り組みの過程への評価が、その後の失敗への応じ方で異なる結果を示しました。[2] 限られた年齢・実験場面の知見であり、親の一言が子どもの性格を決めるという結果でも、「努力を褒めれば必ず挑戦する」という処方でもありません。

例えば、「才能があるね」とだけ返す代わりに、「どこから始めるか考えていたね。次に困ったのはどこ?」と実際の過程を聞けます。努力の量を新しい採点にするのでもなく、必要な情報や助けへつなげます。本人が今は何も聞かれたくないなら、休んだ後に話せることも残せます。

本人が望む参加から、条件を小さく相談する

「失敗に慣れさせるために毎日挑戦させる」と予定を作る前に、本人はどんなことをしてみたいかを聞けます。やりたいけれど怖い活動と、本人は望んでいない活動を同じに扱わないことが大切です。親が成長のために選んだ目標と、本人の関心が違う場合もあります。

先ほどの絵の例なら、完成品を皆の前で見せる前に、評価の方法を先生から説明してもらう、途中で質問する時間を作れるか相談する等が考えられます。これは家庭で自己流の曝露訓練を始める手順ではありません。何を変えると学ぶ機会へ届くかを、本人と学校で選ぶための例です。

助けを使って取り組めた場合も、「次は一人で全部」と自動的に増やす必要はありません。本人に、何が役立ち、何が重かったかを聞きます。提出できても夜は自分を責め続けるなら、結果だけでは見えない負担が残っています。達成と負担を両方、次の相談へ戻せます。

取り組めないときの言葉も、学ぶための助けになる

「やりたくない」としか言えない場合、「やり方が分からない」「見られるのが怖い」「今は疲れて考えられない」など、伝えられる言葉を一緒に探せます。言葉が使えた後、大人がどう応じるかも大切です。言えたことを、新しい課題を渡す合図にしないように考えます。

課題に取り組むかどうかと、本人が大切にされるかを切り離せると、失敗した後の相談も考えやすくなります。大人自身がうまくいかなかったことを話す場合も、成功談の最後へ必ずつなぐ必要はありません。「分からないので聞いた」「今日は予定を変えた」という対処を示すこともできます。

保護者には、学ぶ機会を失う心配や、周りが進んで見える焦りもあるでしょう。子どもの前で励まし続けることと別に、その気持ちを大人の相談相手へ話せます。家庭での声かけが完璧でないから止まっていると、自分だけへ責任を戻さなくてよいのです。

生活が狭くなるほど続くなら、専門家にも相談する

怖さが強く、学校や友人との活動、睡眠や食事に影響が続く場合は、学校の相談担当や小児科等へ状況を伝えられます。[1] 受診では、不安だけでなく、学習や作業のどこが難しいかも話します。相談先によって役割が違うため、必要な評価へどうつながるかを尋ねられます。

「声をかけるほど固まります。本人は絵を描きたいと言うので、課題の理解、評価への怖さ、学校での条件を分けて考えたいです」という言い方ができます。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の迷いや関わりを相談する場で、子どもの診断・専門治療や学習評価を提供するとの意味ではありません。

最初の目標を、失敗を怖がらない子になることに置かなくてもかまいません。困ったところを知らせ、必要な助けを使いながら本人の望む学びへ近づけるかを、具体的な一場面から考えられます。

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参考・引用文献

  1. NHS. Anxiety in children(2026年8月見直し)
  2. Kamins ML, Dweck CS. (1999). Person versus process praise and criticism: implications for contingent self-worth and coping. Dev Psychol,35(3),835–847. doi:10.1037//0012-1649.35.3.835.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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