高齢期に孤独を感じるとき

年齢を重ねて人と会う機会が減ったときは、気持ちの問題だけでなく、聴こえ方や移動の大変さも関わっている場合があります。交流の数より、今の自分が無理なく話せる方法を考えてみます。

一人でいることと、孤独は同じではない

「社会的孤立」は人との役割や接点が少ない状態、「孤独」は望むつながりと実際のつながりの間に隔たりがあり、つらいと感じることです。[3] 一人暮らしでも満ち足りている人はいますし、家族と暮らしていても話を分かち合えず寂しい場合があります。訪問の回数だけでは、その人に必要な支えは分かりません。

静かに一人で過ごしたい時間を守ることと、困ったときに連絡できる人がいることは両立します。「誰かと会うべきか」より、寂しさを話したいのか、外出を手伝ってほしいのか、ただ安心して一緒にいたいのかを分けると、求める接点が具体的になります。

会いたくないのか、会うのが大変なのか

説明用の場面として、知人の集まりに行っても会話が聞き取りにくく、笑って合わせるだけで疲れ、次から断るようになった場合を考えます。外からは人付き合いが嫌になったように見えても、本人は聞き返すのが申し訳ないのかもしれません。

歩く距離、乗り物の乗り換え、会場の騒がしさ、トイレの心配なども、参加のしやすさを変えます。「もっと出かけたら」と勧める前に、何があれば行きやすいかを本人と話せます。

一度にたくさんの人と会わなくてよい

大人数が疲れるなら、静かな場所で一人と短く会う、家で電話をするなど、別の接点を選べます。「一時間は難しいけれど、少しお茶を飲みたい」「静かな席だと話が聞きやすい」と、過ごしやすい形を伝えることもできます。

地域の集まりを使う場合も、一度見てから続けるか決めてかまいません。移動や参加の方法は、地域包括支援センターや市区町村の窓口に尋ねられます。自分だけで場所を探し、申し込みまで進めるのが難しければ、そのことから相談できます。[2]

家族との連絡に、どんな時間がほしいか

家族と毎日連絡していても、薬や安否の確認だけで寂しさが残ることがあります。話せるなら、「体調のことだけでなく、最近あったことも少し話したい」と伝えてみます。長電話が難しい相手なら、写真を一枚送り合う、次に話す日を決めるなど、互いに続けやすい方法を考えられます。

家族だけを頼りにすると、忙しい日に支えが途切れることもあります。近所で挨拶する人、趣味の知人、暮らしを相談できる担当者など、違う役割のつながりを持つ考え方もあります。誰とでも親しくなる必要はありません。

WHOは、つながりを、関係の数や頻度だけでなく、交換される支援と、やり取りの質からも捉えています。[3] 用事は頼めても気持ちを話せない、楽しく話せても困ったときは頼れないなど、役割は異なります。相手を増やすことだけでなく、今ある関係にどんな時間が欲しいかを考えられます。

聴こえや体調も、相談してよい

国立長寿医療研究センターは、難聴の原因や補聴器の利用について案内しています。聞こえにくさは年齢だけで決めず、耳鼻咽喉科などで相談できます。急に聞こえなくなった場合は、早めの医療が必要です。補聴器も、自分に合うかを確認せず買うだけで解決するとは限りません。[1]

孤独に落ち込みや眠れなさ、食欲の低下が重なっている場合も、医療へ相談してください。心理相談では、会いたいけれど人に迷惑をかけそうという気持ちや、大切な人を失った寂しさを話せます。人付き合いを頑張るためではなく、今の暮らしでどんな支えがほしいかを考える場所にできます。

参考・引用文献

  1. 国立長寿医療研究センター「補聴器は何歳から必要?」
  2. 厚生労働省:地域包括ケアシステム・地域包括支援センターの案内
  3. World Health Organization. (2025). Social connection. Questions and answers, 30 June 2025.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。