思春期の子どもと関わるときは、一人で考えたい時間を尊重しながら、困ったときに頼れる関係を残すことが大切です。何でも話す関係へ戻すことだけを、親子の目標にしなくてもかまいません。
短い返事だけでは、何が起きているかは分からない
説明用の例です。部活から帰った子どもが「別に」とだけ答え、食事の後は部屋へ入ります。親は隠し事や友人関係を心配しますが、本人は単に疲れているかもしれませんし、話しにくい悩みがあるかもしれません。返事の短さだけでは、どちらとも決められません。
「最近は疲れていそうだね。何かあれば聞くよ」と短く伝え、落ち着いたときの話を受け取れます。好きな音楽、食べ物、日々の連絡など、相談ではないやり取りも残せます。話し始めたら、親がすぐ結論を出すより、本人がどう感じたかを聞く時間を持ちます。
自分で考えることと、何も手伝わないことは違います
思春期に大切になる自律性は、誰の手も借りずに全て行うことだけではありません。本人が理由を理解し、納得や疑問を言い、自分の選択として関われることも含みます。助けてもらいながら自分で決めることもできます。
心理的な統制を扱う理論レビューは、行動に必要なルールと、罪悪感や恥、愛情を失う怖さによって本人の気持ちまで動かそうとする関わりを区別しています[1]。例えば「帰りが遅れるなら連絡して」と理由を説明することと、「心配させるあなたは親を大切にしていない」と責めることは、同じ約束ではありません。
「友人との会話は全部聞かない。予定と違う帰宅になるときは知らせて」と、私的なことと安全に必要な情報を分けて話せます。端末の管理も、年齢が上がるにつれ何を本人へ任せるかを話し直せます。ただし、差し迫った自傷や被害などの心配がある場合は、プライバシーを理由に対応を止めず、安全を守るための助けが必要です。
考えを尊重しながら、言葉や行動の線は持てます
本人の意見を聞くことは、暴言や暴力を受け続けることではありません。「考えが違うことは聞きたい。でも、怒鳴られながら話すのは難しい。続きは後にしたい」と、内容と話し方を分けて伝えられます。意見が違うこと自体を罰しない一方で、家族の安全や休息も守ります。
親が強く言いすぎた場合は、「あの言い方は傷ついたと思う。言い直したい」と話し直せます。謝ることと、安全に必要な約束を取り消すことも別です。一度の言い争いをもとに、親子を特定の型へ決める必要はありません。何が起きた後に、どう戻れるかも相談できます。
「思春期だから」で済ませない変化
眠れない、食べられない、欠席が増える、以前好きだったことをしなくなる、自分を強く否定するなど、暮らしが大きく変わる場合は、学校や医療機関へ相談できます。本人が親に話したくないなら、養護教諭やスクールカウンセラーなど、別の大人へ話せる道も示せます。
自傷、暴力や被害、命に関わる言葉がある場合は、本人が相談を望むまでただ待つのではなく、保護者から適切な支援へつなぐことが必要です。誰にも言わないと約束せず、守るために必要な人へ伝えることを、できるだけ本人へも説明します。差し迫った危険には緊急の対応を優先してください。
親自身の戸惑いにも、話す場所を
自分の親との関係を思い出す、夫婦で対応が割れる、子どもが離れる寂しさがあるなど、保護者側にもいろいろな気持ちが起きます。子どもとの会話の中で全部解消しようとせず、自分の話を聞いてもらう時間も持てます。
ALVARAは18歳以上の方が対象で、保護者ご自身の気持ちや子どもとの距離を相談できます。未成年本人への診断・治療は行いません。親がいつでも正しい返事をすることより、行き違った後にも話し直せる関わりを考える場として使えます。
参考・引用文献
厚生労働省「家族で子どもと向きあうポイント」 / 厚生労働省「自分や家族を責めない」 / こども家庭庁「普及啓発リーフレット集(インターネット利用)」 / [1] Soenens, B., & Vansteenkiste, M.(2010)A theoretical upgrade of the concept of parental psychological control: Proposing new insights on the basis of self-determination theory. Developmental Review, 30(1), 74–99. DOI: 10.1016/j.dr.2009.11.001.
記事のつくり方
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このコラムについて
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