朝起きられない子どもが心配なとき

朝起きられない状態が続くときは、怠けや気持ちの弱さと決めず、眠りと身体の具合を医療機関へ相談できます。夜には元気に見えても、朝のつらさが本当でないとは言えません。

眠りから覚めないのか、起き上がるとつらいのか

説明用の例です。呼んでも目を開けず眠り続ける場合と、目は覚めて返事をするものの、起き上がると気分が悪くなる場合を考えます。どちらも家族には「起こしても起きない」と見えますが、診療で確かめることは同じとは限りません。

神山の総説は、覚醒する難しさと、寝床から体を起こす難しさを区別し、睡眠不足、睡眠の時刻のずれ、過眠や睡眠中の呼吸の問題、身体・精神疾患などの鑑別を整理しています[1]。起立性調節障害も候補の一つですが、「朝起きられない」という一つの訴えを、その病名へ読み替えることはできません。

睡眠の時刻が後ろへずれている場合は、本人が早く寝ようとしても眠れず、必要な時刻に十分覚醒しにくいことがあります。一方、体を起こすと立ちくらみ等が出る場合は、その身体のつらさを医師へ伝える必要があります。両方が重なることも含め、家庭で二者択一に診断せず、何が起きているかを分けて話すための見方です。

診察には、寝床の時刻と実際の眠りを分けて伝えます

朝のつらさで遅刻や欠席が続く、身体症状がある、急に悪化した場合は、小児科やかかりつけ医へ相談してください。必要なら専門の診療へつないでもらえます。夜に元気なことは、朝の症状を否定する材料ではありません。

分かる範囲で、寝床へ入る時刻と寝ついたおよその時刻、休日には何時頃に目覚めるか、朝に目が覚めた後のめまい、日中の強い眠気などを話せます。「床にいる時間」は、そのまま「眠った時間」ではないためです。日誌を完成させてから予約する必要はなく、本人のつらさと家族の観察を両方届けられます。

薬や市販品を使っている場合も伝えます。原因により対応が違うので、ネットで見た飲水量、塩分、運動、治療目的の光の当て方、薬などを一律に自己流で始めないでください。特に、強い症状や意識の異常がある場合は、通常の予約日を待たず医療へつなぎます。

朝の言い争いを、少し減らすには

「学校に行く気がないの?」と聞き続けても、体調は変えられないことがあります。まず「起きようとすると、どんな感じ?」と短く尋ね、つらさが強いときは長い話を後へ回せます。無理に立たせたり、冷たい水をかけたりして起こそうとしないでください。

起こす人、学校へ連絡する人、いつ話を続けるかを大人の間で決めておくと、その場の口論を減らせる場合があります。「今日はこの時刻に体調を聞く。学校への連絡は私がするね」と、本人が分かる言葉で伝えられます。具体的な起床や活動の進め方は、医師の助言に沿って考えます。

学校の相談と、受診を並行できます

診断がつくまで何も伝えないのでなく、「朝にめまいと気分の悪さがあり、受診を考えています」と学校へ知らせられます。登校する時間、休める場所、課題の受け取りなど、今の状態でどんな方法が使えるかを尋ねます。すべての希望が通るとは限りませんが、毎朝の出欠だけでない話ができます。

学校での不安があるなら、それも別に聞き、必要に応じて担任や養護教諭へ相談します。身体の問題か、学校の問題かを家庭だけで二つに分け切る必要はありません。

保護者も、毎朝仕事へ遅れる不安や、つい責めてしまった後悔を抱えます。ALVARAでは18歳以上の保護者ご自身の負担や伝え方を相談できます。子どもの睡眠・身体の診断や治療は医療機関で受ける必要があります。

参考・引用文献

[1] 神山 潤(2023)「朝起きることができない」思春期患者:睡眠医療の視点からみた現状,対応と課題.脳と発達,55(6),413–420.doi:10.11251/ojjscn.55.413 / 東京逓信病院「学童・思春期に多い起立性調節障害」 / 厚生労働省「睡眠対策」

WRITTEN BY

このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

プロフィールを見る

公開日
最終更新日

記事のつくり方

記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。

心理コラムの記事のつくり方を見る

このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。