職場の評価に納得できないときは、悔しさをなくしてからでなくても、説明を求められます。評価の結果、使われた基準、面談での扱われ方を分けると、何を相談したいかが見えてきます。
同じ「納得できない」に、違う問題が重なる
説明用の例です。半年間、急な依頼にも対応してきたのに、面談では「主体性が足りない」と言われました。点数が低いことも悔しいのですが、何を変えればよいか分からず、同僚の昇進の話を聞くたび苦しくなります。評価が自分の努力を全て消したように感じられる場面です。
ここでは、少なくとも三つを分けられます。自分が望んだ結果との違い、どんな事実をどの基準で判断したかの不明確さ、説明で尊重されなかった感覚です。結果が変わらなくても基準を知りたい人もいれば、事実の誤りを訂正したい人もいます。心理相談で全てを「認められたい気持ち」とまとめると、正式に確認すべきことが見えなくなります。
同時に、正しい基準が示されれば必ず傷つきが消えるわけでもありません。自分の大切にしていた働き方と、会社が測っていたことが違えば、今後どこへ力を使うかを考える必要が残ります。説明への納得、結果への満足、働き方の希望は同じではありません。
「なぜこの点数か」を、確かめられる一件に近づける
先ほどの例なら、「主体性が不足したと判断された具体的な場面を教えてください。私が優先していた急な依頼への対応は、どの項目に含まれていますか」と尋ねる方法があります。抽象的な言葉を、実際の行動と照らし合わせるためです。
質問を作るときは、他人の点数を集めるより、自分の業務と期待の違いから始められます。説明が事実と異なるなら、担当した作業や依頼の履歴など、勤務上適切に使える資料を示せる場合があります。機密資料を私用端末へ持ち出したり、同僚の個人情報を集めたりする必要はありません。
面談中に言葉が出ないなら、後から短い質問を送る方法、次の面談を頼む方法もあります。ただし、必ず再面談を受けられる、評価が訂正されるという保証ではありません。問い合わせ先、確認や異議を申し出る制度、時期は人事や社内の案内で確認します。「不満を言う人と思われるのでは」という怖さも、準備の中で扱えます。
今後の期待が、互いに実行できる内容かを見る
「もっと積極的に」と言われた場合、その意味が、会議で提案することなのか、担当外の作業も拾うことなのかで行動は変わります。期待する成果、判断できる範囲、必要な時間や支えを確かめられます。曖昧な評価を、本人の性格を変える課題へ丸ごと置き換えないことが大切です。
先ほどの例で、急な依頼の対応と新しい企画の両方を求められているなら、どちらを優先するかを上司に決めてもらう話になります。「評価を上げたいので全部頑張ります」と引き受けるだけでは、同じ食い違いが続くかもしれません。WHOも、不明確な役割、仕事を自分で動かす余地の乏しさ、昇進等の問題を職場のリスクとして扱っています。[1]
合意したことを簡潔に文面で確認できる職場なら、次回に向けた理解のずれを減らす助けになります。毎日実績を証明する記録を増やすためではありません。本人がどれほど丁寧に準備しても、評価する権限や制度は会社側にあるので、結果を全て自己責任にしないことも必要です。
不公平への疑問は、心理相談だけで判定しない
評価をめぐって不利益や差別、ハラスメントが疑われる場合は、社内の人事や正式な相談窓口、労働組合等へ相談する道があります。社外では、総合労働相談コーナーが幅広い労働問題の相談と情報提供を行っています。[2] 心理職が評価の適法性や、会社の動機を決めるわけではありません。
「評価が嫌だった」だけで全ての指導がハラスメントになるわけではありません。一方、侮辱や脅し、相談への報復が心配な場合は、指導だから我慢しなければならないとも言えません。厚生労働省は、適正な業務指導とパワーハラスメントを区別し、相談におけるプライバシーへの配慮を求めています。[3] 実際に何があったかを、専門窓口で確認できます。
直接の説明要求が安全でないと感じるなら、まず別の窓口へ「評価の確認をしたいが、その後の扱いが不安」と話せます。正式な申立てを今するかという判断と、制度や情報の扱いを尋ねることは分けられます。相談内容が誰に伝わるかも、話す前に確かめられます。
比較が続く夜は、自分の結論を急がない
同僚を見るたび、自分が劣っていると感じることがあります。ここでも、相手の評価を詳しく調べれば安心できるとは限りません。自分が本当に知りたいのは、点数の順位なのか、努力がどこで見落とされたか、今後この働き方を続けたいかで、必要な問いが違います。
心理相談では、仕事の評価が自分全体の価値へ広がるつらさ、怒りや悔しさ、説明を求める怖さを扱えます。会社に合わせることや、今すぐ転職することを結論にせず、どこを正式に確かめ、何を自分の希望として考えるかを整理できます。気持ちを落ち着かせる支援と、事実の訂正や制度の相談は併用できます。
説明用の一言:「点数を変えてほしい気持ちもありますが、まず、何を根拠に判断され、次に何を期待されているのかを知りたいです。その説明と、傷ついた気持ちを分けて相談したいです。」
眠りや食事が大きく崩れる、出勤が難しい状態が続く場合は、医療機関や産業保健へ相談してください。ALVARAの18歳以上の個人相談は、本人の心理的な負担を扱う場であり、人事評価や法的判断を変更する権限はありません。
関連する心理コラム
参考・引用文献
記事のつくり方
記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。
このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。