年齢を重ねてからも、心理相談で話せることはあります。退職や家族との関係、寂しさ、これからの暮らしなど、いま気になっていることから始められます。
これまでの人生を、全部話す必要はない
長く生きてきたから自分で解決しなければ、家族にはもっと大変なことがあるからと思い、相談をためらうことがあります。でも、年齢や経験があっても、誰かと話しながら考えたいことはあってかまいません。
例えば、退職して家にいる時間が増え、家族と小さな言い合いが続く場面を考えます。最初から家族の歴史を説明するのでなく、「夕食のあとに一言言われると、強く言い返してしまう」と、最近の出来事から話せます。昔の話が必要かどうかも、話しながら考えられます。
高齢期の相談を、「衰えを受け入れるためのもの」に限る必要はありません。WHOは健康的な加齢を、病気がないことだけでなく、その人が大切にすることを続けられる力から捉えています。その力には心身の状態と、周囲の環境や助けの両方が関わります。[3] 「以前と同じように全部できるか」以外にも、相談の目標を置けるという見方です。
例えば先ほどの場面なら、口論を減らすこととともに、「家で自分の希望を話せる」「家族と過ごさない時間も持てる」といった、本人が望む暮らしを考えます。年齢に合わせた一般的な正解より、今の生活で何が変わると助かるかを、面談の焦点にしていきます。
自分のための相談として、希望を伝える
家族に勧められて申し込んだ場合でも、本人が何を話したいかは別に聞いてもらえます。「家族はもの忘れを心配しているが、自分は一人の時間が寂しい」「家族のことは今日は話したくない」という希望も伝えられます。
予約や接続を家族が手伝う場合は、最初だけ同席してもらうか、一人で話す時間を作るかを担当者と相談できます。家族に相談内容を伝えるかどうかも、先に確かめられます。ただし、安全への心配など秘密を守ることに例外がある場合もあるため、「絶対に何も伝わらない」と一律に決まるものではありません。
面談では、最近の一場面から、何を感じ、どう受け止め、どう応じたかを一緒に整理します。昔の関係が今に重なっているなら、その意味を話すことも、具体的な伝え方を考えることもあります。気持ちを理解したいのか、今の用事を調整したいのかによって、進め方は変わります。[1]
聴こえ方や疲れに合わせて、話し方を変える
聞き取りにくければ、「ゆっくり、一つずつ質問してもらえますか」「聞き返すことがあります」と頼めます。すぐに思い出せなくても、会話の速さへ無理に合わせる必要はありません。途中で疲れた場合は休憩を希望できます。
オンラインは移動の負担を減らせますが、画面や音声が話しやすいとは限りません。対面のほうが聞き取りやすい人もいます。端末を一人で操作できることを相談の条件にせず、利用できる手助けや方法を相談先へ尋ねられます。ALVARAでも、利用する方法や話す際の心配は申し込み前に確認できます。
相談の経過も、「よく話せたか」だけでは振り返りません。言い合った後に自分を責める時間、眠り、楽しみにしていたことへの参加など、本人が気にしていた暮らしの変化を話せます。話の内容は合っていても聞き取りにくさで疲れるなら、気持ちの問題とせず利用方法も調整します。
医療や生活の支援が必要なこともある
もの忘れ、眠れなさ、食欲の変化などは、気持ちだけで説明せず、かかりつけ医へ相談してください。心理相談は診断や薬の処方を行うものではありません。体調を診てもらいながら、病気への不安や家族に頼る難しさを話す使い方もあります。
介護、住まい、日常の手伝いについては、地域包括支援センターなどが相談先になります。どの窓口を使うか分からない場合は、「暮らしで困っていることがある」と市区町村へ尋ねることもできます。気持ちの相談だけで、生活上の用事まで一人で解決しようとしなくて大丈夫です。[2]
一度話してみたあと、続けたい、間隔を空けたい、別の方法にしたいと考えられます。年齢に合った正しい悩み方をするためではなく、いまの自分が少し話しやすくなる場所として利用できます。
参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
