仕事の指摘で頭が真っ白になるときは、意見を受け入れる姿勢が足りないと決めなくてかまいません。指摘の内容を受け取る助けと、その場の怖さへの支えを、別々に相談できます。
聞きたいのに、情報が入らなくなる場面
説明用の例です。上司から資料の修正点を説明され、「ここを直してください」の後がよく思い出せません。うなずいて席へ戻ったものの、何を優先するか分からず、再度質問するのも怖い。帰宅後は「分からなかった自分」を責め、次の面談に向けて資料を何度も作り直してしまいます。
このとき、修正点が多く一度に処理しにくいこと、話す速さや言い方、評価される怖さなど、いくつかの事情が重なっているかもしれません。一場面から発達特性やトラウマ反応と決めることはできません。まず、いつ、どんな形の説明で分からなくなるかを扱います。
指摘を受けた事実と、「信頼を完全に失った」という予想も分けておきます。修正点があることは分かっても、相手が自分の人間性をどう思ったかまでは、その場の体の緊張から決まりません。逆に、実際の侮辱があったなら、「考え方の問題」に置き換えて済ませないことが必要です。
内容を受け取る方法を、業務の相談にする
先ほどの例なら、「修正する順番を確認したいです。最優先はこの二点で合っていますか」と聞き返す方法があります。一度で全て覚えようとするより、何をいつまでに直すかを確かめます。「メモを取るので、少し間を置いて説明していただけますか」「要点を文面でもいただけますか」と、方法を相談することもできます。
これは相手の意見を拒否する言い方ではなく、仕事に使える形で受け取るための相談です。メモや書面の補助が必要なことを、甘えや能力不足と即断する必要はありません。急な割り込みが多い、説明する人ごとに指示が違うなど、情報の出し方に問題があるなら、本人が落ち着く練習だけでは解決しません。
指摘を受ける場所や時間を変えたい場合も、理由を全て告白する必要はありません。「大勢の前だと確認ができず、作業に戻ってから認識がずれます。修正点は短い個別の時間に確認できますか」と、起きている仕事への影響から話せます。職場に応じて、上司以外の教育担当、人事、産業保健に相談する道もあります。
「間違いを直す」と「自分を罰する」を分ける
面談の後、資料を直すための振り返りには終わりがあります。「表の数字を確認する」「結論を先に書く」のように、次に行う作業が分かります。自分を責める反省では、直す箇所を確認しても「こんなこともできない」と全体へ話が戻り、作業や休息が進まないことがあります。
考え方を無理に明るくする必要はありません。「修正は必要。ただ、人格の否定があったかは別」と、分かることの範囲へ戻す方法があります。上司に全体的な安心を繰り返し求めるより、今後の仕事で必要な期待を一度確認する方が、内容を絞れる場合もあります。どれが助けになるかは本人の場面で違います。
ストレスへの反応は心理面だけでなく、身体や行動にも表れます。[1] 面談の前夜に眠れない、吐き気が出る、欠勤が増えるなどの変化は、「指摘を気にしすぎた」という感想にせず、相談で伝えられる情報です。毎回詳しく記録する必要はなく、一場面と生活への影響があれば始められます。
適正な指導と、侮辱・威圧は同じではない
厚生労働省は、業務上必要で相当な指導と、職場のパワーハラスメントを区別しています。[2] 指摘で傷ついたという気持ちだけで法的な該当性が決まるわけではありませんが、人格の否定、皆の前での侮辱、脅し、繰り返す怒鳴り声などを我慢してからでなければ相談できないわけでもありません。
相談では、「相手はひどい人です」だけでなく、言われた言葉、場所、頻度、仕事がどう妨げられたかを分かる範囲で伝えます。証拠を集めるために危険なやり取りへ戻る必要はありません。社内ではハラスメント窓口や人事、社内が難しければ総合労働相談コーナー等へ相談できます。[3]
威圧が現実にあるとき、同じ場へ出続けて慣れることを自分の課題にしないでください。誰が同席できるか、説明を受ける経路を変えられるかなど、正式な対応を相談します。友人や家族に帰宅後のつらさを聴いてもらうことも支えになりますが、病状判断や会社の対応の決定をその人一人へ委ねる話ではありません。
心理相談では、指摘の前後につながる怖さを扱う
心理相談では、指摘の最中だけでなく、予想して準備しすぎる時間、その後の自己否定までつないで考えます。「一度で理解しないと見放される」「反論と思われるので確認できない」など、本人が何を避けようとしているかで、必要な助けは変わります。理解がまとまる前に、怖くなる場面をそのまま話せます。
睡眠や食事の崩れ、強い身体症状、欠勤が続く場合は、医療機関や産業医・保健師等にも相談してください。身体の急な変化を、緊張だけのせいと自己判断しないことも大切です。心理的な支援を受けるために、仕事の指摘を全て正当だと認める必要も、全て不当だと証明する必要もありません。
説明用の一言:「修正点を理解したいのに、話の途中から情報が入らず、後で長く自分を責めます。説明の受け取り方と、指摘への怖さを分けて考えたいです。」
ALVARAの18歳以上の個人相談は、そのような心理的な負担を扱う場です。診断・処方、会社の指導や評価の法的な判定は行いません。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
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