給食が苦痛な子どもが心配なとき|食事と学校の助けを分ける

給食が苦痛なときは、食べられる物を増やす努力の前に、体調と食事の環境を分けて相談できます。食べる量だけでなく、むせや痛み、成長、食事中に何が起きるかを小児科等へ伝え、学校では安全に過ごせる条件を考えます。家庭のしつけや一つの病名で説明し切る必要はありません。

「食べられない」の、どこが難しいのか

食材のにおいがつらい、口の中の感触が合わない、かむ・のみ込むと苦しい、時間内に食べ終われない、人に見られるのが怖い。同じ「給食が嫌」にも違う困り方があります。好きな物なら食べられることだけで、本人が自由に選んで拒否していると確定はできません。

ASHAの一般向け資料は、食べることに、口へ入れる、かむ、のみ込む等の異なる働きがあると説明し、長い食事時間、むせ、限られた形状の食べ物しか取れない、成長の問題等を専門的な確認の対象に挙げています。[1] ただし、当てはまる項目を数えて家庭で障害名を決める一覧ではありません。

説明用の例です。家では決まったパンとスープを食べられる子が、給食の煮物には手を付けず泣きます。食材だけでなく、食べ終わるまで席に残る決まりが怖いことも分かりました。食べ方の評価と、残ることへの恐怖に必要な助けは、同じとは限りません。

体と栄養への心配は、学校の話と並行して医療へ

むせが続く、のみ込むと痛い、よく吐く、食べる量が少なく体重や元気に変化があるなどの場合は、小児科等へ相談できます。成長や栄養、食べる機能を確かめ、必要なら栄養や言語聴覚等の専門職につなぐことを検討します。[1] 選べる食べ物の数だけで、安全かどうかを判断しないことが大切です。

呼吸が苦しい、意識がおかしい、食べ物が詰まったようで安全を保てない場合は、通常の相談を待たず救急医療が必要です。繰り返す症状も、心配だから食べられないのだろうと先に心理原因へ決めず、今起きている体の様子を知らせます。

アレルギーが疑われる、または診断されている場合は、医師と学校で安全な対応を確認します。文部科学省の給食のアレルギー対応指針は、安全な提供のため学校や関係者が方針を整えることを示しています。[2] これは食べる練習で慣らす課題とは別です。安全性を確かめるために、医師の指示なく、原因が疑われる食品を家庭や学校で食べさせることは避けてください。疑わしい反応があるときの当面の食事や必要な除去は医療者へ確認します。栄養に影響する広い除去を独自に増やさないことも大切です。[3]

給食の時間を、小さな場面に分けて伝える

学校へは「偏食です」だけでなく、配膳、におい、席、食器、量、食べる時間、片づけまで、どこで難しくなるかを伝えられます。家庭で食べられる条件も役立ちますが、その条件を学校で全て再現できるとは限りません。今いちばん負担を増やしている部分から相談します。

先ほどの例なら、「煮物を食べるよう声をかけるほど泣きます。食事が終わる時刻と、食べられなかった後の対応を本人へ先に説明したい」と話せます。担任だけでなく、養護教諭、栄養教諭・学校栄養職員等と、関係する役割を確認できます。医学的な条件がある場合は、必要な情報や書類も学校と相談します。

からかわれる、残したことで罰を受けるなどの事情があるなら、本人の食べる能力とは別に学校で対応する課題です。体調を伝える方法や、困ったときに助けを求める大人も決められます。「食べられるようになれば問題はなくなる」と、環境の課題を後回しにしないことを考えます。

完食以外にも、確かめられる変化がある

給食の時間に座れた、必要な量や形について希望を知らせられた、気分が悪くなる前に休めた。どんな変化を見るかは、体調と栄養の評価、学校でできる調整、本人が望む参加を合わせて考えます。完食したかだけでは、本人がどれだけ我慢したかは分かりません。

無理に少量を口へ入れさせる、空腹にして食べるのを待つといった方法を、一般の心理記事から始める必要はありません。専門的な支援が提案されたら、何を扱うか、身体や栄養の確認はどうするか、つらくなったときどう止めるかを聞けます。食事の問題を扱う専門家の支援と、家庭の励ましは役割が違います。[1]

先ほどの例で、食事時間の見通しを伝えて負担が減っても、食べられる物がすぐ増えるとは限りません。学校の時間を過ごしやすくする調整と、必要な栄養や食べ方への支援を別々に振り返れます。どちらかだけの変化で、全て順調とも失敗ともまとめなくてよいのです。

行事や遠足では、普段の給食と時間や場所が変わります。食べる物だけでなく、体調を知らせる相手や必要な対応が引き継がれるかを、事前に学校へ確認できます。本人にその場で全部説明させず、大人が準備する用事として考えられます。

保護者の焦りも、食事とは別に話せる

栄養が足りるか、周囲へ迷惑をかけないかと気になり、家でも食事を楽しめなくなることがあります。「家で練習してきて」と言われても、親子の衝突が増えているなら、その結果も相談先へ戻して話せます。実行できなかったことを、親の意欲の不足としないことが大切です。

相談の言葉なら、「食べられる種類より、給食の前夜から怖がることが心配です。体の確認と学校での対応を分けて考えたいです」と伝えられます。医療で何を確認したか、学校で何を変えたか、本人はどう感じたかを、分かる範囲で共有できます。新しい記録を完璧に作る必要はありません。

ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の不安や関わりの相談に対応する場で、子どもの摂食・嚥下の診断や栄養治療を提供するとの意味ではありません。食事の安全と成長への確認を持ちながら、焦りや学校へ頼む言葉を整理する使い方ができます。

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参考・引用文献

  1. ASHAの一般向け案内. Feeding and Swallowing Disorders in Children
  2. 文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応について」
  3. アレルギーポータル「食物アレルギー」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。