就学前の相談は、入学までに何でも一人でできるようにするためのものではありません。子どもが学校で過ごすときに、どんな手助けがあるとよいかを、早めに園や学校と考える機会です。
入学の準備は、子どもだけが整えるものではありません
説明用の例です。家では着替えもトイレもできても、知らない場所で先生へ困ったことを言えるか心配な子どもがいます。「自立が足りない」とまとめるより、トイレの場所、声をかける相手、言葉が出ないときの知らせ方を、学校側と考えることも準備です。
小学校への準備性を扱う米国小児科学会の報告は、子どもの育ちだけでなく、学校が子どもを迎える準備と、家族・地域の支えも含めています[1]。国によって就学制度は異なりますが、座れる時間や文字の数だけで、学校生活のしやすさを決めないという見方は参考になります。
園で大人が近くにいればできたことも、小学校で一斉の指示になると難しくなる場合があります。新しい環境で必要な助けをつなぐことで、持っている力を使いやすくできます。すべてを入学前に家庭で練習して、助けが不要な子にすることが目的ではありません。
「苦手」の名前より、今使えている助けをつなぎます
「集団が苦手」だけでは、先生にも何をするとよいか分かりにくいかもしれません。「全員への説明では止まるが、近くで一つずつ聞くと始められる」「予定を絵で見ると切り替えやすい」と伝えると、場面と助けの組み合わせが届きます。好きな活動や、自分で選べることも話せます。
大切なのは、園のやり方を学校へそのまますべて再現してもらうことではなく、その工夫が何を助けていたかです。たとえば写真の予定表が、言葉の理解を助けたのか、次が分かる安心につながったのかで、新しい教室での工夫も変わります。分からない部分は園と学校に一緒に考えてもらえます。
保護者が一から支援書類を完成させる必要はありません。園にある情報をどう引き継げるか、本人の希望や情報をどこまで伝えるかも相談できます。家庭と園で違う姿があることも、そのまま伝えてよいのです。
就学相談では、何を決めるのでしょうか
自治体の教育相談や就学相談では、子どもの育ちや保護者の希望を聞き、学校生活で必要な支援や学びの場を考えます。学校見学、専門家への相談などを案内される場合もあります。申込みの時期や、就学先を考える手順は地域によって違うため、教育委員会等へ早めに問い合わせると見通しを持ちやすくなります。
初めて連絡するときは、「入学前に心配なことがあり、まず相談の流れを知りたいです」で始められます。相談しただけで、一律に特定の学びの場へ決まるわけではありません。選べる場の違いや、本人・保護者の希望をどう話せるか、説明を聞いて考えていけます。
見学では、できるか試すより、過ごす姿を思い浮かべる
見学できる場合は、教室だけでなく、登下校、休める場所、トイレ、困ったときに声をかける人など、気にしている所を見られます。子どもに「座っていられるか」を長く試すことが目的ではありません。本人が気になった場所や、楽しそうだったことも聞けます。
帰宅後に全部の感想を求めなくても大丈夫です。「音が大きかった」「図書室が楽しみ」など一言があれば、次の相談で伝えられます。見学したことは、その場で進路を決める約束ではありません。
親の心配も、入学まで一人で抱えない
周囲が楽しそうに準備するなかで、不安を話しにくいこともあります。園、自治体の就学相談、健診等で「何から始めればよいか」を聞けます。子どもの眠りや身体の具合が気になる場合は、小児科などへの相談も別に進められます。
ALVARAでは18歳以上の保護者ご自身が、入学への不安や学校へ伝える言葉を相談できます。就学先を決める窓口や、子どもの診断・検査を行う場ではありません。準備が足りないことを数えるより、今ある助けを一つ入学先へつなぐところから始められます。
参考・引用文献
文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」 / 発達障害ナビポータル「乳幼児期のお子さんについて相談したいとき」 / こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」 / [1] Williams, P. G., & Lerner, M. A., Council on Early Childhood, Council on School Health(2019)School Readiness. Pediatrics, 144(2), e20191766. DOI: 10.1542/peds.2019-1766.
記事のつくり方
記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。
このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
