親の通訳や介助を子どもに頼っているとき|大人側の支えを増やすには

子どもに通訳や介助を頼ることが続くときは、親が必要とする支援と、子ども自身の時間の両方を相談できます。感謝をしているか、家族が仲良しかだけで負担は決まりません。今ある用事を具体的にして、代わる人やサービスを大人の窓口と探すことから始められます。

子どもができることと、毎回担えることは違う

病院で説明を訳す、役所の書類を読む、家族の体調を見て連絡する。外からは見えにくい用事も、時間や判断を必要とします。子どもがよく理解し、自分から引き受けていても、その子の学校、睡眠、友人との予定がどうなっているかは別に確かめられます。

こども家庭庁は、家族の世話の責任や負担の重さで、学校生活や友人関係等へ影響が出ることがあり、学校や自治体の窓口へ相談できると案内しています。[1] 支援を求める前に、ヤングケアラーに当てはまるかを自分で判断する必要はありません。「この用事のために学校を早退しています」と、今の暮らしから話せます。

説明用の例です。親の受診日に、子どもが学校を休んで受付から説明の通訳までしています。親は「次から学校を優先して」と言いたくても、自分一人では受診が難しい状況です。ここでは、子どもの頑張りを減らす呼びかけだけでなく、受診先がどんな言語の支援を利用できるかを確認する必要があります。

「手伝いをやめる」の前に、代わりの流れを作る

一度に家の用事をすべて書き出すのが大変なら、次の一週間で子どもに頼る予定を一つ選べます。予約、移動、書類、通訳、その後の連絡までのうち、どこに代わる人が必要かを分けます。子どもがいなければ親の安全が保てない場合は、その切迫した事情を窓口へ伝えます。

先ほどの例なら、「子どもが通訳しているため、毎回学校を休んでいます。子ども以外で説明を受けられる方法を相談したい」と受診先へ知らせられます。親の希望を聞かずに全部を子どもから取り上げるのでも、子どもが続ける前提で予約を組むのでもなく、大人の側の利用方法を変える相談です。

厚生労働省は、医療機関が利用する遠隔医療通訳等の体制整備を案内しています。[2] ただし、すべての病院が、どの言語でも、直ちに、無料で利用できるという意味ではありません。対応言語、予約の必要、費用、利用条件は受診先等へ確認します。一般の通訳と、診療内容を正確にやり取りするための支援も同じとは限りません。

医療・福祉・学校、それぞれへ頼むことを分ける

介助や見守りが必要なら、親自身の医療・障害福祉・介護等の担当へ、その必要と現在子どもが担っている範囲を両方伝えます。どの制度が使えるか分からなければ、市区町村へ「日常生活で子どもの手が必要な用事がある」と相談できます。認定や派遣は、担当機関が個別に確認します。

学校には、本人の欠席や疲れ、宿題をする時間など、子どもの生活に関わることを相談できます。[1] 学校から子どもへ頑張るよう励ますだけでなく、必要に応じて自治体等とどうつながるかを聞けます。家庭の詳しい病歴や在留等の情報を広く知らせるのでなく、誰へ何を伝える必要があるかを確認します。

複数の窓口へ同じ説明を繰り返すのが重い場合は、「どの担当が全体を一緒に考えられますか」「次の相談へ情報を渡す方法はありますか」と尋ねられます。共有する目的と範囲は、本人への説明を受けて確かめます。相談したら家族の情報が無条件にすべて共有される、逆に絶対に伝わらないとは決めつけません。

親が支援の説明を理解するためにも通訳等が必要なら、その準備を子どもへ任せ続けない方法を尋ねられます。「相談の予約をする電話も難しいので、連絡する方法から教えてください」と伝えられます。相談時の言語、書面の読みやすさ、利用できる連絡方法は、実際の窓口へ確認する課題です。子どもが訳した内容を親の同意と自動的に扱わず、親本人の希望をどう確認するかも話せます。

感謝と、子どもが断れる余地を両方持つ

子どもへ「あなたがいないと生きていけない」と伝えると、実際には大人の支援が必要な状況でも、その子だけが離れられない責任を感じるかもしれません。助かったことへの感謝を具体的に伝えつつ、代わる方法を大人が相談していることも知らせられます。

例えば、「説明を手伝ってくれて助かりました。次は学校を休まずに済む方法を病院と相談しています」と言えます。本人が「続けたい」と言うときも、家族への思いを否定せず、授業や遊びで続けたいことを聞けます。全部断れるかを試すのでなく、一つの予定から子どもの時間を守る方法を考えます。

家庭の言語や文化、親の病気や障害を、負担の原因として非難する必要はありません。困っているのは、その家族に必要な支援へ届く方法が足りていないことかもしれません。親自身が恥ずかしさや怖さで相談をためらうことも、支援者へ話せる内容です。

親自身の気持ちも、子ども以外へ話せる

子どもに頼ってきたことで申し訳なさがある、外へ相談すると責められそう、と感じることがあります。その気持ちだけを整理しても必要な介助量は変わりません。一方、実務の支援が増えても、子どもに負担をかけたというつらさが残る場合もあります。二つを別の助けとして持てます。

心理相談なら、「代わるサービスは自治体へ相談しています。子どもに頼まないといけない状況がつらく、話し方を考えたい」と伝えられます。ALVARAの個人相談は18歳以上が対象で、保護者ご自身の迷いを話すことができます。医療通訳、介助の派遣、子どもへの専門治療を提供するという意味ではありません。

まず次の一回の用事について、誰が・何を・いつまでに確認するかを窓口と考える始め方があります。親と子どもがどちらも支えを受けるための相談として、家族だけで役割を抱え続ける形を見直せます。

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参考・引用文献

  1. こども家庭庁「ヤングケアラーを知っていますか?」
  2. 厚生労働省「希少言語に対応した遠隔通訳サービス」のご案内(令和8年度)

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。