ヤングケアラーとして負担を抱えているとき

家族の世話をしていて、自分の勉強、休息、友人との時間が取れないときは、そのことを相談できます。家族を大切に思う気持ちと、手伝う量を減らしたい気持ちが一緒にあってもかまいません。

家族を支える役目には、見えにくいものもある

食事や掃除、きょうだいの世話だけでなく、通訳、病院への付き添い、気持ちが不安定な家族の話を長く聴くことなども、時間と力を使います。家族の様子が気になり、外にいても連絡を待ち続けている場合、作業をしていない時間も休めないことがあります。

説明用の場面として、夜に家族への対応が続き、翌日の授業で眠くなる場合を考えます。このとき「勉強を頑張れない」という話だけでは、家で何が起きているか伝わりません。「夜、家族の対応で何度も起きています。朝の授業に出るのが難しいです」と、生活への影響を知らせることができます。

同じ一時間の世話でも、あらかじめ決まった時間に誰かと交代できる場合と、いつ呼ばれるか分からず外出できない場合では、暮らしへの影響が違います。作業の長さだけでなく、代わる人がいるか、休む予定を持てるか、授業や友人との時間を諦めているかも大切です。「ほかの人より短いから大したことはない」と比べなくてかまいません。

家族の役に立てたうれしさや、世話を通して身についたことがあっても、負担がなくなるわけではありません。こども家庭庁の案内も、ケア経験の受け止め方には違いがあることと、学業や睡眠などへの影響の両方を示しています。家族を嫌いになって初めて支援を頼める、ということではありません。

相談するために、名前を決めなくていい

ヤングケアラーという言葉に当てはまるか迷っていても、今の困りごとを話せます。誰の世話をしているか全部書き出すより、「家を空けられず放課後の補習に出られない」「進学のために家を離れてよいか悩んでいる」など、自分ができなくなっていることから伝える方法があります。

学校の先生やスクールカウンセラー、大学の相談室、自治体の子ども・若者の窓口などに話せます。こども家庭庁の相談窓口検索では、地域や支援の内容、18歳以上への対応の有無などから探せます。18歳になったら急に困りごとがなくなるわけではないので、年齢に合う相談先を一緒に探してもらえます。

家族に知られたら困るときは、先に伝える

「家のことを外で話したら裏切りになる」と感じることがあります。でも、本人の暮らしを助けてもらう話と、家族を大切にしないことは同じではありません。相談先が家族へ連絡することが心配なら、「家族に伝える前に、どう進むかを私にも説明してほしい」と話せます。安全に関わる場合など、秘密にできないこともあるため、詳しく話す前に確かめられます。

最初の相談で、家族への支援や学校での対応がすぐ決まるとは限りません。次に誰と話せるか、いつ連絡が来るかを聞いておくと、一人で待ち続ける負担を減らせます。担当先が違った場合も、自分で探し直すことが難しいと伝え、次へのつなぎ方を相談できます。

本人のつらさを話すだけでは、夜の世話そのものは減らないことがあります。逆に、家族がサービスを使えても、長く「自分がいなければ」と感じてきた人には、離れて過ごす怖さが残る場合があります。生活上の手助けと、罪悪感や将来の悩みを話す支えは、どちらか一つに選ばず使えます。大人や支援者が担える用事を探すことを、若い本人だけの宿題にしないことも大切です。

自分のための時間を、望んでよい

「部活に出たい」「友人と帰りたい」「今日は朝まで眠りたい」といった希望も話せます。家族の世話を全部やめるか、そのまま続けるかの二択でなく、ほかの人やサービスが代われる部分を探すためです。家庭の医療や介護、生活費に関わる支援が必要なら、心理相談だけで抱えず、福祉や医療ともつながっていきます。

ALVARAでは18歳以上の本人が、負担や罪悪感、将来の迷いを相談できます。18歳未満の場合は、学校や子ども・若者向けの窓口などを利用してください。家で安全を保てない場合は、年齢や名称を自分で判断して待たず、信頼できる大人や緊急の支援へ知らせることが必要です。

参考資料・引用文献:こども家庭庁「ヤングケアラー相談窓口検索」 / こども家庭庁「ヤングケアラーのこと」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。