恋愛関係でつらいとき

恋人が好きでも、その人との関係がつらいことはあります。気持ちがあるかどうかとは別に、嫌なことを断れるか、自分の時間を持てるかを考えてみます。

すれ違いと、怖くて逆らえない関係は違う

予定が合わず寂しくなることと、返信しないと怒鳴られることは同じではありません。居場所を常に知らせるよう求められる、友人との交流を制限される、嫌だと言っても性的なことを求められる場合は、安全への心配として扱う必要があります。

内閣府の案内では、安心できる関係として、違う意見を伝え合えること、二人以外の時間も大事にできること、嫌なことに「NO」と言えることなどを示しています。相手が不安そうだから、恋人だからという理由だけで、自分の希望を引っ込め続ける必要はありません。

大事な違いは、言い合いの回数だけでなく、断ったり違う意見を持ったりしたあとに何が起きるかです。怒られないために友人との約束をやめる、外出のたびに許可を求めるようになるなど、日常の選択が狭まっていないかを考えます。殴られていなくても、怖さによって相手に合わせ続ける関係は、安全の視点から相談できます。

一つひとつの出来事を切り離すと「心配してくれただけ」に見えても、同じ方向への制限が重なることがあります。本人がうまく説明できないまま従っていたとしても、それで自由に望んだことになるわけではありません。好きな気持ちが残っていることも、安全への心配を小さくする理由にはなりません。

怖さがない場合は、してほしいことを短く伝える

説明用の場面として、授業や仕事の最中にも返事を求められ、集中できなくなっている場合を考えます。脅しや暴力の怖さがない関係なら、「昼間はすぐ返事ができません。夜に落ち着いたら連絡したいです」と、自分ができる形を話す方法があります。

このとき大事なのは、完璧な言葉で相手を安心させ続けることではなく、自分の希望も話せるかどうかです。意見が違うときに一緒に考えてもらえるか、結局は自分だけが我慢する形へ戻るかも、関係を考える手がかりになります。

話し合うこと自体が怖いなら

怒らせるのが怖い、別れを口にすると何をされるか分からない場合は、二人きりで解決しようとしないでください。信頼できる人や、DVなどの専門相談につながり、安全な場所や連絡方法を一緒に考えます。相談先では、別れると決めていなくても今のことを話せます。

相手が端末やメッセージを見る場合、相談の連絡が見つかる心配も伝えてください。自分だけの判断で記録や通知を操作することが危険につながりそうなら、その点も専門の相談先と考えます。今すぐ危険がある場合は、その場を離れ、緊急の支援を求める必要があります。

謝ってくれることと、つらい扱いが繰り返されなくなることも別です。「もうしない」と言われたあとの行動や、相手の希望に反対したときの安全を含めて考えます。危険のある関係では、上手な言い方を探し続けることや、二人で話し合う場を作ることが、本人の負担を増やす場合もあります。話す前の段階から、関係の外の専門家に相談してよいのです。

恋人以外に話すことは、裏切りではない

関係の中にいると、相手の言葉が判断の中心になり、「自分が気にしすぎなのか」と考えやすくなります。友人、家族、学校の相談室、心理職など、関係の外で話を聴いてもらう道があります。話す内容を相手へ全部報告する必要があるとは限りません。

心理相談では、好きな気持ち、離れる怖さ、期待していることを同時に話せます。結論を代わりに出すのではなく、今の暮らしがどうなっているかを見ながら、自分にとって無理のない選択を考えます。暴力や威圧がある場合は、二人の会話の改善だけに焦点を当てず、安全のための専門支援も使うことが大切です。

参考資料・引用文献:内閣府「安心できる関係づくり」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。