SNSを見たあとに疲れるときは、使う時間だけでなく「何を見て、何が気になったか」によって、合う工夫が変わります。つながりを残しながら、負担の大きい使い方を一つ減らす方法を考えます。
SNSの、どの部分で疲れているか
同じSNSでも、友人と話すとほっとする一方、他人の近況を続けて見ると落ち込むことがあります。SNS全体を「よい・悪い」に分ける前に、自分が疲れた場面を一つ思い浮かべてみます。
- 他人の仕事や暮らしと比べ、自分だけ遅れている気がする。
- 通知や既読が気になり、作業中や寝る前も確かめてしまう。
- ニュースや強い言葉を読み続け、気持ちが休まらない。
- 返信が遅れると嫌われそうで、やり取りを終えにくい。
いくつも当てはめる必要はありません。「寝る前のニュースだけがつらい」のように一つ見つかれば、使い方を変える手がかりになります。
「何分使ったか」と「何が起きたか」を分ける
同じ20分でも、安心できる相手と連絡を取る時間と、評価を気にして何度も反応を確かめる時間では、体験が違います。投稿する「能動的な利用」と、見る「受動的な利用」という分け方もありますが、投稿すればよく、見るだけなら悪い、と単純には言えません。[2]
たとえば、見るだけでも同じ悩みを持つ人の情報が支えになることがあり、投稿していても反応を待つ不安が強くなる場合があります。使う前の気分、見る相手や内容、使った直後と翌朝の様子を分けて振り返ると、自分が変えたい条件が見えやすくなります。
残したいものと、減らしたいものを分ける
連絡先や趣味の情報まで一度に失うと、かえって孤立感が増すこともあります。必要な連絡、好きな人との交流、疲れる投稿の閲覧を分けると、やめる以外の選択肢が見つかります。
| 気になること | 小さく変えるなら |
|---|---|
| 比べて落ち込む | つらくなる相手や話題をミュートし、必要な連絡は残す。 |
| つい開いてしまう | 通知を減らす。寝る前だけ、手の届く所に置かない。 |
| 返信を急いでしまう | 「夜は返せないことがある」と、話しやすい相手に先に伝える。 |
| ニュースが止まらない | 見る時間や情報源を決め、読み終わりの区切りを作る。 |
一度に全部変える必要はありません。たとえば寝る前の通知だけ減らし、翌朝の眠気や気分を比べるくらいから試せます。合わなければ、別の方法へ変えられます。
試すときは、変更したことと、守りたい生活の両方を見ます。「通知を切ったら開く回数は減ったが、大事な連絡を逃して不安が増えた」なら、必要な相手だけ通知を残す方法もあります。うまくいかなかった結果も、自分に合う条件を知る情報になります。
研究から分かることと、自分に合う使い方
141研究をまとめた2024年のメタ分析では、能動的・受動的なSNS利用と心の健康などの関連の多くは小さく、オンラインでの支え、利用する場、個人の違いによって結果も異なりました。[2] メタ分析は複数の研究をまとめる方法ですが、関連の小ささは「苦しい人はいない」という意味ではありません。また、関連だけではSNSが不調の原因なのか、不調が使い方を変えているのかも確定できません。
大学生143人を対象にした研究では、三つのSNSの使用を3週間制限した群で、通常どおり使った群より孤独感と抑うつの低下がみられました。[1] ただし、特定の大学生とSNSを対象にした短期間の結果です。この研究だけで、すべての人に同じ時間制限が最適とは言えません。
自分にとっては、使用時間が少し短くなることより、睡眠が守れる、見た後の落ち込みが長引かない、必要な人と連絡できる、といった変化のほうが役立つ目安になる場合があります。使った時間の長さだけで、自分を責める必要はありません。
工夫だけでは難しいときは
嫌がらせや脅しを受けている場合は、使い方の工夫だけで解決しようとせず、記録を残し、運営の通報機能や身近な相談先を使うことを考えます。身の危険があるときは安全の確保が先です。
また、SNSから離れていても気分の落ち込み、不安、不眠が続く、学業や仕事に大きく影響する場合は、医療機関や心理相談へ相談できます。「SNSをやめられない」だけでなく、比べると苦しい、返信を断れない、孤独が怖いなど、使い方の背景にある困りごとから話してもかまいません。
参考・引用文献
- Hunt, M. G., Marx, R., Lipson, C., & Young, J. (2018). No More FOMO: Limiting Social Media Decreases Loneliness and Depression. Journal of Social and Clinical Psychology, 37(10), 751–768. DOI: 10.1521/jscp.2018.37.10.751.
- Godard, R., & Holtzman, S. (2024). Are active and passive social media use related to mental health, wellbeing, and social support outcomes? A meta-analysis of 141 studies. Journal of Computer-Mediated Communication, 29(1), zmad055. DOI: 10.1093/jcmc/zmad055.
記事のつくり方
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このコラムについて
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