家で過ごす時間が長くなり、人と会うことが難しくなったとき、相談の目標を最初から就職や外出に決める必要はありません。本人が話せることと、家族が困っていることを、それぞれ相談できます。
ご本人へ:今つらいことから話し始められる
外へ出るのが怖い、人と話すと疲れる、体調が悪いなど、家で過ごす理由を一つに説明できなくてもかまいません。食事や眠り、家族とのやり取りなど、いまの暮らしで困ることから話せます。
例えば、夕食の話をするたびに将来や仕事を聞かれ、話すのがつらくなる場面を考えます。相談では、「家族と生活の連絡だけしたいのに、毎回将来を聞かれます」と伝えることもできます。何をしたいか決める前に、何が負担なのかを話してよいのです。
問い合わせるなら、「外出や仕事を決める前に、家でつらいことから相談したいです」という短い言葉でも伝えられます。家族がいると話しづらい場合は、その希望も先に知らせられます。使える方法や場所は、相談先と確かめていきます。初めての相談で話す量や家族への連絡が気になるときは、若い方がカウンセリングを受けるときの案内も読めます。
外出できたかだけでは、必要な助けは分からない
厚生労働省の2025年のひきこもり支援ハンドブックは、本人や家族が、自分の意思で生き方や社会との関わり方を決められることを大切にしています。支援の必要性を、外出の有無や、その状態が続いた期間だけで決めるものではありません。趣味の用事で外へ出られても、日々の生活や人との関係に強い困難がある場合があります。
散歩に行けても帰宅後の疲れが大きいなら、そのことも話せます。「外出できたから次は仕事」と進み方をそろえるより、今の負担と保ちたいことを一緒に考えます。働きたい気持ちがあるなら、その希望も相談できます。仕事を話題にしてはいけない、ということではありません。
ご家族へ:生活の連絡と、将来の話を分ける
家にいる姿だけでは、本人が何を負担に感じているかは分かりません。「いつまでこうしているの」ではなく、「最近、眠れている?」「家で困っていることはある?」と、今のことを一つ尋ねる言い方があります。返事がなければ質問を重ねず、「今は話しづらければ、またにするね」と置く方法もあります。
先ほどの場面なら、食事の話だけで終える日を作り、生活の連絡を将来の話から離してみます。本人へ相談を提案するなら、「外に出る方法を考えてもらう」より、「家で過ごしにくいことや、困っていることを話せる場所がある」と伝えられます。どんな人と、どの方法なら話せそうかも本人の希望を聞きます。本人の知らないところで外出や面談の約束を進めるより、まず家族が支援先と相談する道があります。
家族だけでも、話し始められる
厚生労働省の案内には、地域のひきこもり支援の窓口があります。本人が今は相談を望まなくても、家族が接し方や自分の疲れについて話せる場合があります。詳しい経緯を全部説明できなくても、「話しかけると争いになる」「自分も休めなくなっている」といった現在のことから伝えられます。
本人の希望を大切にすることは、家族が無期限に何でも引き受けることとは違います。食事を届けることはできても毎晩長く話す力はないなど、家族にも仕事や体調、暮らしの限界があります。本人を変える説得とは別に、家族が続けられる範囲や、地域の支援に担ってもらえることを相談できます。本人の心理的な支援、家族への支援、住まいや家計の支援を、必要に応じて組み合わせます。
医療や安全への支援が必要な場合
急な体調の悪化、ほとんど食べられない状態、強い混乱などがある場合は、ひきこもりという言葉だけで説明せず、医療へ相談してください。暴力や自傷など、今の安全を保てない場合は、家族だけで対応せず緊急の支援を求める必要があります。
参考資料・引用文献:厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」 / 厚生労働省(2025)「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」第2章:ひきこもり支援の対象者と目指す姿
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
