友人関係から距離を置きたくなったとき

友人との距離を置きたくなっても、その人を嫌いになったとは限りません。関係を続けるか終えるかを急いで決めず、いま負担になっている付き合い方から見直せます。

どのやり取りから、少し離れたいのか

会えば楽しいけれど毎日の返信が重い、二人なら話せるけれど大勢では疲れる、特定のからかいだけがつらい。友人関係の中にも、続けたい部分と変えたい部分があるかもしれません。

説明用の場面として、学校の共同作業は一緒に続けたいけれど、毎晩の長い通話には疲れている場合を考えます。関係全体をやめる前に、通話する時間や頻度を変える道があります。「友人ならいつでも応じるべき」と自分に決めていると、途中の選択肢が見えにくくなることがあります。

「離れる」という同じ行動でも、休む時間を取り戻して関係を続けるためなのか、嫌われる怖さから会いたい人にまで会えなくなっているのかで、その後に考えたいことは違います。距離を取ること自体を、よいこととも悪いこととも決めません。その結果、望んでいた暮らしが少し戻るのか、怖さに押されて暮らしが狭くなるのかも見ます。

ただし、脅しや嫌がらせから身を守るために接点を減らす場合は、安全が優先です。不安を克服するために会い続ける、といった進め方を一律にはしません。本人の気持ちと、相手が実際にしていることの両方が大切です。

距離は、一つの接点から変えられる

例えば、「夜は早めに休みたいので、通話は週末にしたい」「返信はすぐできないけれど、急ぎの学校の用事は見ます」と伝える方法があります。相手をどう思っているかを全部説明するより、これから自分がどうするかを短く話す形です。

会う回数を減らす、短い時間だけ会う、今は一対一で会うなど、方法は一つではありません。連絡が多くて落ち着かないなら、必要な連絡を逃さないよう考えながら通知を減らす方法もあります。全部を一日に変えるより、一つ変えて自分の疲れ方を見ていくことができます。

相手が残念がると、悪いことをした気がするとき

相手が寂しく思うことと、自分が無理な付き合いを続けなければならないことは、同じではありません。「前みたいに話したい」と言われたら、「そう思ってくれるのは分かった。今は毎晩だと疲れるので、この形にしたい」と、気持ちを受け止めつつ希望を変えずに伝える言い方もあります。

距離を取ったあと、自分にも寂しさが出ることがあります。それだけで元に戻すべきとは決まりません。休める時間ができたか、つらかったやり取りが減ったかも合わせて考えられます。共通の友人には、相手を説得してもらうより、「しばらく集まりに出ないことを、そっとしておいてほしい」と必要な助けだけ頼む方法があります。

希望を伝えたときの相手の反応も、一回の言葉だけでなく、その後のやり取りで見られます。最初は残念がっても、約束した時間には通話を終えてくれるのか。口では分かったと言いながら、断るたびに責めるのか。相手の気持ちを完全に理解しようとするより、二人の希望が実際の付き合い方にどう反映されるかを確かめるほうが、今後を考えやすい場合があります。

怖さがあるときは、直接の説明を優先しない

断ると脅される、悪口や個人情報を広めると言われる、学校や生活の場で嫌がらせがある場合は、普通のすれ違いだけではありません。一人で相手と話し合うより、学校の先生、学生相談、職場や地域の相談先などに知らせ、安全を考えてください。残せるメッセージは保管できますが、証拠を増やすためにやり取りを続ける必要はありません。

心理相談では、「冷たい人だと思われたくない」「相手に嫌な思いをさせるのが怖い」という気持ちも話せます。関係を終えるよう勧めてもらう場ではなく、自分が続けたい付き合い方と、これ以上無理をしたくない点を、落ち着いて考える場所として使えます。

参考資料・引用文献:厚生労働省「友達のことが気になる」 / 厚生労働省「困ったときの相談先」

WRITTEN BY

このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

プロフィールを見る

公開日
最終更新日

記事のつくり方

記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。

心理コラムの記事のつくり方を見る

このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。