ワンオペ育児で余裕がなくなるのは、段取りや気持ちの問題だけではありません。一人が作業も判断も引き受け、交代する人がいない暮らしそのものを、家族や地域へ相談できます。
家事や育児には、手を動かす前後の仕事もあります
説明用の例です。家族が買い物をしてくれても、献立を考え、在庫を調べ、一覧を作り、足りない物に気づくのは自分です。作業の一部は代わってもらえても、覚えて判断する役が残ると、頭の中では用事が続いています。
家事の「認知的な労働」を扱った質的研究は、必要を先に予測する、方法を探す、決める、進み具合を確かめる仕事を区別しました[1]。35組への聞き取りに基づく概念整理で、全家庭の分担が同じという結果ではありません。しかし、買い物を一回代わることと、買い物が必要かを含めて担当することの違いを考える助けになります。
「自分でやった方が早い」と補っていると、外からは問題なく回っているように見える場合があります。今日を止めないためにできたことと、交代なしで今後も続けられることは別です。担当が一人へ偏る問題を、本人がもっと効率よく考えれば解決する話へ置き換えないことが大切です。
任せる範囲と、決められる範囲を一緒に渡します
頼める相手がいるなら、「水曜の迎え」だけでなく、「園の連絡を読み、必要な物を確かめ、帰宅後の片づけまで」と、実際の用事のまとまりで相談できます。毎回こちらが思い出し、指示し、終わったか確かめる形では、責任の中心が動いていない場合があります。
安全や健康上守ることは伝えつつ、手順や細かな選び方まで毎回指示しなくてよい部分は、相手が決められるよう話せます。仕事だけを渡して判断の余地がないことも、逆に何も説明せずすべて察してほしいことも、引き継ぎを難しくします。理想の分担表を一度に作らず、用事を一つ選ぶところからでかまいません。
もちろん、話し方だけで代わる人が生まれるわけではありません。家族の勤務や病気、ひとり親であることなどで交代できないなら、人手の不足そのものを自治体へ伝える必要があります。頼んだ人が代わりの人を探し続ける負担も含めて相談できます。
「__をするだけでなく、必要かを確かめて準備し、終わりまで担当してほしいです。安全のために守ってほしいのは__で、それ以外の方法は相談して任せたいです」
家族以外へ頼むとき、制度名を知らなくても
市区町村のこども家庭センターや子育て担当へ、「夕方は一人で複数の子どもを見ていて、食事まで手が回りません」と暮らしの様子を話せます。家庭支援事業には、訪問での家事・育児支援、一時的な預かりなどがあります。利用できる事業、対象、費用、空きは地域や家庭の状況で違います。
最初の窓口で利用できないと言われた場合も、「ほかに相談できる先や、待つ間に使える支援はありますか」と尋ねられます。保護者が働いていないから、家族が同居しているから、という見た目だけで自分は対象外だと決めず、今どこに助けがないかを伝えてください。
休むための準備を、さらに一人の仕事にしない
預ける前に家を全部整え、食事を作り、詳細な引き継ぎを用意しようとすると、休む前に疲れ切ることがあります。必要なことは利用先へ聞き、「準備をする力も少ない」と話せます。今日の食事や片づけを簡単にすることも含め、今の安全と暮らしが保てる範囲を選びます。
休むと罪悪感が出る、頼むたび責められる、相手へ言うのが怖い場合は、その気持ちを話す相談も使えます。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の負担や関わりを扱います。預かりや訪問家事支援を提供する場ではありません。
限界に近いときは、整理し終えるのを待たない
眠りや食事が保てない、子どもへ手を上げそう、自分を傷つけそうなどの場合は、役割の一覧を完成させる前に、身近な大人、自治体、児童相談所、医療等へすぐ助けを求めてください。すでに危害がある、今の安全を保てない場合は緊急の対応を優先します。「今、一人では続けられない」と短く伝えることから始められます。
参考・引用文献
こども家庭庁「家庭支援事業について」 / こども家庭庁「子育て世帯訪問支援事業」 / こども家庭庁「こども家庭センター」 / [1] Daminger, A.(2019)The Cognitive Dimension of Household Labor. American Sociological Review, 84(4), 609–633. DOI: 10.1177/0003122419859007.
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
