親が病気になったときは、子どもが今の暮らしを理解するための情報を、分かる言葉で少しずつ伝えられます。すべての病状や見通しを一度に説明する必要はありません。親の不安を子どもに解決してもらうことと、家族の変化を知らせることを分けて考えます。
病名だけでなく、子どもの一日で変わることを
入院、通院、体調によって、迎えに来る人や食事をする場所が変わることがあります。大人には病気の説明が中心でも、子どもには「明日は誰と帰るのか」が最初の心配かもしれません。説明する量を年齢だけで決めず、本人が何に気づき、何を知りたがっているかを確かめられます。
米国国立がん研究所の資料は、親ががんの場合、子どものせいではないこと、子どもが治す責任を負わないこと、子どもの日常や他の大人の支えを大切にすることを示しています。[1] がんについての資料なので、病気の経過や感染性などの説明をすべての病気へ流用することはできません。本人の病気で何をどう説明するかは、担当医療者へ確認します。
説明用の例です。治療のため数日間入院する親が、「病院で治療を受けます。その間の迎えは叔父さんで、夜は今の家で過ごします」と伝える場面を考えます。医学の説明を長くする前に、変わる日課と続けられることを知らせる形です。
「大丈夫」と答えたい質問にも、分かる範囲で答える
「治るの?」「いつ帰るの?」と聞かれると、心配させまいとして確定していない答えを言いたくなることがあります。でも、分からないことは「まだ分からない。医師に聞いて、分かったら話します」と返すことができます。質問を避けるのではなく、どこまで分かるかを一緒に区切る言葉です。
先ほどの例なら、退院日が変わる可能性がある場合、「帰る日は体調をみて決めます。変更があれば、私か叔父さんから伝えます」と続けられます。子どもが大人の会話を聞き回って情報を集める役を担わずに済むよう、知らせる人を決める方法があります。
「いい子にしていれば治る?」という心配があれば、子どもの行動と病気を結びつけない説明が必要です。[1] 「宿題をしたら治る」などの約束はせず、病気について分かっていることを医療者と確かめます。子どもが同じ質問を何度しても、覚える力の問題と決めず、その日に何が怖いのかを短く聞けます。
気持ちの反応を、親への愛情の量で見ない
説明の後に泣く、怒る、何も聞かず遊ぶなど、反応は異なりえます。NCIの案内でも、混乱や怖さだけでなく、家の変化への不満など複数の反応が紹介されています。[1] 落ち着いて見えるから支えは不要、親へ腹を立てるから思いやりがない、と判断する必要はありません。
親自身が泣いてしまうこともあるでしょう。そのとき、子どもに慰め続けてもらう形にしなくてもよいのです。「私も心配になることはあります。大人の相談相手と話しています」と、支えを大人が持っていることを伝える方法があります。気持ちを全く見せないことを目標にするより、責任の置き場所を考えます。
本人が今は詳しく聞きたくない場合も、「後で聞ける」と入口を残せます。動画やネットで調べた情報を見せてきたら、正すことを急ぐ前に何が怖かったかを聞き、その病気に当てはまるかを医療者に戻せます。子どもだけで医学情報の正誤を判断する役にはしません。
手伝いと、病気を支える責任を分ける
家族として食器を運ぶ、絵を描くなどの参加を、子どもが望むこともあります。一方で、服薬や病状の判断、病院との連絡、家事やきょうだいの世話が子どもに集まると、学校や友人との時間を持ちにくくなる場合があります。こども家庭庁も、家族の世話の責任や負担による学校生活等への影響と、相談先を案内しています。[2]
例えば、毎日の通院の付き添いを子どもへ頼んでいるなら、「手伝いすぎないで」と子どもだけに言っても用事は残ります。誰が代わるか、どの福祉や生活の支援を使えるかを、病院の相談窓口や自治体等へ相談します。子どもが役に立ちたい気持ちと、本人の時間を確保する必要は両方大切です。
「子どもに頼っている用事が多く、学校を休む日があります。子どもへの気持ちの支えと、代わる大人の手配を考えてほしい」と、具体的に伝えられます。家族が病気になったこと自体を、誰かの落ち度として説明する必要はありません。
治療の予定が変わるたびに説明し直すのが苦しい場合は、知らせる内容を大人の間でそろえることも考えられます。子どもへ知らせる人が複数いても、確定していないことを別々に約束しないよう、何が分かり、何が未定かを医療者へ確認できます。説明できる余裕がない日には、信頼できる大人へ同席を頼めるかも相談できます。
病院・学校・家庭で、伝える範囲を相談する
親が一人で説明するのが難しければ、担当医や看護師、病院の相談担当等へ、使う言葉を一緒に考えてもらえるか尋ねられます。どの支援があるかは医療機関によって違います。子ども本人の強い不安や生活への影響が続く場合は、小児科等へ相談し、必要な支援を検討します。
学校へは、親の病歴を全部知らせるのでなく、連絡先の変更や子どもが困ったときに話せる大人など、学校で支えるための情報を相談できます。子どもにも、誰へ何を伝える予定かを分かる形で知らせます。友人へどこまで話したいかも、本人の希望を聞けます。
心理相談では、子どもを悲しませる怖さや、親としてできないことへのつらさを話せます。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の相談であり、親の病状の説明や子ども本人の診療を代わるものではありません。相談の言い方なら、「病気の情報は医師に確認しています。子どもに何を知らせ、自分の不安をどこへ話すか整理したいです」と伝えられます。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
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