里親・養親として迷いを話したいとき|家族を支える相談先

里親・養親として、子どもの支援と別に自分の疲れや迷いを話してよいのです。家族を迎える前の覚悟だけで、毎日の困りごとを一人で解決し続ける必要はありません。制度に関する支援、子どもの医療・心理支援、養育する大人自身の相談を分けて持てます。

覚悟の有無より、暮らしのどこが難しいか

子どもが食事に来ない、寝る前に離れられない、学校との連絡で疲れる。背景を理解しようとしても、「この対応でよいのか」が毎日続くことがあります。相談すると養育に向いていないと思われそうで、困りごとを小さく話してしまう場合もあるでしょう。

説明用の例です。迎えた子どもが夜に何度も起き、養育する大人も眠れず、昼の仕事と連絡の判断が難しくなっています。「理解しているはずなのに優しくできない」と自分を責めるだけでなく、睡眠や対応を代わる支えが必要な状況として話せます。本人の努力と知識だけでは増やせない時間や人手があります。

里親支援センターの公式ガイドラインは、子どもと里親等を支えるチームでの養育や、里親への継続的支援を位置づけています。[1] 里親に委託された後の相談は、準備が足りなかった証明ではなく、今の状況へ支援を合わせる課題として考えられます。

里親と養親では、制度上の立場や窓口も異なる

里親委託と養子縁組は同じ制度ではなく、家庭の状況や成立の段階も異なります。養育する方を一つの呼び名でまとめず、現在の担当機関や利用できる支援を確認します。里親の場合は児童相談所や里親支援センター等、養親の場合も縁組に関わった機関や地域の相談先へ、継続して相談できる窓口を尋ねられます。

ガイドラインには里親支援に加え、養子縁組に関する相談・支援を行う場合の枠組みも示されています。[1] ただし、すべての里親支援センターで、すべての養子縁組家庭に同じ支援が提供されるという意味ではありません。「自分の家庭はどの担当へ、何を相談できますか」と個別に確かめます。

認定、委託や交流等の判断を、一般の心理相談が代わって行うことはできません。一方、制度上の担当へ言いにくい気持ちを整理したい場合もあります。誰が何を担当し、どの情報を共有する必要があるかを最初に聞くと、相談の目的を合わせやすくなります。

背景を理解することと、今の行動を一つの理由で説明することは別

子どもの過去を知っていると、現在のすべての行動をその経験で説明したくなることがあります。しかし、体調、課題の難しさ、暮らしの変化、本人の好みなど、その場の事情もあります。家庭で見られる一つの反応から、「愛着の問題」「トラウマの影響」と決めつけず、現在の困り方を支援者と確かめます。

先ほどの夜の例なら、本人が何を気にしているか、体の症状はないか、落ち着けた条件はあったかを分けて伝えます。医療が必要な変化は診察へ、生活の対応は養育の担当へ相談します。「自分を試しているから」と決めつけると、別の助けを見落とすかもしれません。

養子縁組に関するAACAPの資料は、子どもが生まれや縁組について持つ関心や問いを、年齢・理解に合う形で受け止めることを述べています。[2] ただし米国の一般資料のため、国内の制度や、特定の時期に同じ説明をする手順としては扱いません。説明する内容や時期は、本人の背景と状況を知る支援者とも相談できます。

子どもの背景は、支援に必要な範囲で扱う

学校や近所へ説明するとき、理解してもらうために詳しい生い立ちまで話す必要があるとは限りません。本人の生活を支えるために必要な情報、今は知らせなくてよい個人的な情報を分けて、担当機関と相談します。子どもにも、理解できる形で誰へ何を伝えるかを知らせ、希望を聞くことを考えます。

例えば、学校へは夜の睡眠が難しく日中疲れやすいことや、困ったときに話せる人が必要なことを伝えられます。過去の詳しい体験を、子どもの前で何度も説明して支援の必要性を証明する形にしなくてもよいのです。制度上の記録や共有の決まりは、担当機関へ確認します。

同じ立場の養育者の集まりが支えになる人もいれば、個別の相談の方が話しやすい人もいます。参加の有無を養育への意欲で測らず、子どもの個人情報をどう扱う場か、自分が今話せる内容かを確かめて選べます。

担当者へ話した後は、「次までに誰が何を確認するか」を一つ残せます。夜間の負担を相談したのに、次の面談日だけ決まって対応が変わらないなら、待つ間の安全と休息を改めて尋ねられます。気持ちを受け止めてもらうことと、実際に代わる支援の手配は別々に確認できます。

自分の感情を話す時間を、養育の調整と両方持つ

寂しさ、怒り、期待していた関係との違いを感じることがあっても、その気持ちだけで子どもを大切にしていないとは決まりません。大人側の気持ちを、子どもに感謝や愛情を返してもらう課題へしないためにも、大人の相談相手を持てます。

「子どもの相談では、うまく説明しようとして自分の疲れを言えません。自分の話をする時間もほしいです」と伝えられます。養育の安全が保てないほど消耗している、強く当たりそうな場合には、通常の面談まで抱えず、児童相談所等の担当へ今の状況と代わる支援の必要を知らせてください。

ALVARAでは18歳以上の養育する方ご自身が、感情や関わりの迷いを相談できます。里親支援機関としての調整、子どもの専門治療、養子縁組手続きを提供するという意味ではありません。

最初の相談では、「夜の対応で眠れず、次の日に余裕がありません。子どもの支援と、自分が休む方法を分けて考えたい」と、一場面から伝えられます。家族になった後にも、支えを増やし、関わり方を見直す余地を持てます。

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参考・引用文献

  1. こども家庭庁「里親支援センター及びその業務に関するガイドライン」(2024年3月29日通知)
  2. AACAP. Adopted Children, Facts for Families No.15(2026年4月更新)

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。