同じ悩みを持つ人と話す会が気になるとき|参加前に確かめたいこと

同じ悩みを持つ人と話す会に関心があっても、すぐに自分の経験を詳しく話すと決めなくてかまいません。会の目的、進める人の役割、話さない選択や退出、情報の扱いを確かめてから、参加するか考えられます。

同じ経験があることと、同じ支援が合うことは違う

言葉にしにくかった体験を、似た経験のある人と分かち合いたいと思うことがあります。一方で、人の話を聴くとつらくなりそう、比べて落ち込みそうという心配もありえます。参加したい気持ちと、慎重になりたい気持ちを両方持っていてよいのです。

WHOはピアサポートについて、当事者の経験を生かし、本人の選択や権利を尊重する方向を示しています。[1] ただし、その考え方があることだけで、全ての会の質や効果が保証されるわけではありません。実際の会の説明を確認する必要があります。

説明用の例です。家族の介護をしている人が、同じ立場の人と話す会を見つけました。関心はありますが、家族の状態を詳しく聞かれたくありません。この場合「初回は聴くだけでもよいですか」「どのような情報を自己紹介で求めますか」と、申し込む前に尋ねられます。

会の名前より、目的と進行役を確認する

当事者会や自助グループは、経験を分かち合うことを主な目的とする場合があります。専門家が進める集団の心理支援や、特定の治療プログラムとは、目的や参加条件が異なることがあります。ただし、名前の使い方は団体によって違うため、名称だけで区別を完結させません。

確認すること 尋ねる言葉の例
目的と対象 誰のための会で、何を目指しますか。診断や紹介状は必要ですか。
進行する人の役割 話す順番や意見の衝突、体調が悪くなった場合は誰が対応しますか。
参加の条件 費用、回数、欠席、見学、オンラインの場合の参加場所にはどんな決まりがありますか。

資格のある人が関わることと、個人の診断や治療を行う場であることも同じではありません。支援者の資格を確認するなら、その資格で会の何を担当するのかまで尋ねると、期待の行き違いを減らせます。

話さないこと、途中で休むことを選べるか

米国SAMHSAのピアワーカーの能力指針では、自発性や本人中心の支援が原則として示されています。[2] 国内の全ての集まりに同じ規則があるわけではありませんが、参加方法を考える際の視点になります。

自己紹介の範囲、発言を見送る方法、途中で休む・退出する際の決まりを聞いておきます。「みんなが話しているから自分も」と、まだ話したくない内容まで出す必要はありません。初回を受けてみてから、続けるか考えられるかも確認できます。

一方、ある程度の継続参加や事前面談が必要な治療プログラムもあります。条件があることだけで不適切とは言えません。その理由を説明してもらい、自分の状態や希望に合うかを考えます。必要な条件を曖昧にしたまま参加するより、先に違いを知ることが役立ちます。

秘密の決まりがあっても、個人情報は選んで話す

会の外で人の話をしない、録音や画面撮影をしない等の決まりがあるかを確認します。参加者全員の行動を完全に保証することはできません。守秘の説明があるから、名前や勤務先、家族の病歴まで全て話して安全、と決めないことが大切です。

オンラインなら、表示名、画面の背景、同じ部屋で聴いている人、保存されるチャット等も確認できます。自分の経験を話す際には、家族やほかの人が特定される情報をどこまで出すかを考えます。会の外の個別連絡、SNSでの交流、勧誘に関する決まりも尋ねられます。

先ほどの例なら、家族の病名や住んでいる場所を詳しく言わず、「介護と仕事の両立に疲れている」という今の困りごとから話せます。自分が話す情報を選べることと、人の話を会の外へ持ち出さない配慮は、どちらも大切です。

体験談を、自分が従うべき治療方針にしない

他の人に役立った方法が、そのまま自分にも合うとは限りません。「私はこうした」という経験と、「あなたもこうすべき」という指示を区別します。薬をやめる、医療を受けない、会だけを頼るように促されても、その場で従う必要はありません。治療や服薬の変更は担当の医療機関へ確認します。

話すことの強制、拒否した際の威圧、商品の購入や高額な講座への圧力がある場合には、距離を取り、主催者以外の相談先も使えます。会が合わなかったことを、「自分は人とつながれない」という評価にしなくてかまいません。

説明用の問い合わせ例:「同じ立場の方の話を聴いてみたいです。最初は聴くだけの参加ができるか、途中で休む場合の対応と、会の外での情報の扱いを教えてください。」

個別の心理相談や医療と、経験を分かち合う場は、役割を分けて組み合わせられます。今つらさが強く、参加の負担を判断しにくい場合は、既に関わる専門職へ相談できます。この記事はALVARAで当事者会や集団療法を提供するという案内ではありません。

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参考・引用文献

  1. WHO. Peer support mental health services: Promoting person-centred and rights-based approaches. 2021. ISBN 9789240025783.
  2. SAMHSA. Core Competencies for Peer Workers.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。