カウンセリングを終えるのが寂しいとき|頼ってきた関係の区切りを相談する

相談を終えると考えたときの寂しさは、それだけで回復していない証拠ではありません。暮らしが落ち着いてきたことと、支えになった関係を惜しむことは、同時にありえます。終えるかどうかの結論より先に、区切りへの気持ちを話してかまいません。

「寂しい」と「続ける必要がある」を、すぐ同じにしない

相談を始めた頃は、つらさを減らすことが目標だったかもしれません。話せる場所ができた後には、「ここでしか言えないことがある」「次がないと心細い」という気持ちも生まれえます。そう感じる自分を、弱い、甘えている、と決めなくてよいのです。

説明用の例です。以前より眠れ、仕事の負担も調整できた人が、終了の話になると急に不安になります。「よくなったと伝えると来られなくなる」と思い、調子がよいことを話しにくくなりました。この場合、状態を悪く見せるか、平気な顔で終えるかの二択にせず、その迷い自体を相談できます。

「寂しいから必ず続ける」「寂しくても終えなければ自立できない」と、どちらかを正解にしません。今も必要な支援があるのか、区切りの準備をしたいのか、ほかに安心できる支えが足りないのかを分けて考えます。

なぜ終える話が出たのかを確かめる

目標をある程度達成した、別の支援が合いそう、担当者の異動、機関の利用期間、費用や生活の都合など、終了には異なる理由があります。理由が違えば、本人が相談できる内容や必要な準備も変わります。公認心理師協会の倫理綱領は、本人への説明と自己決定への配慮を重視しています。[1]

「何を見て区切りを考えたのですか」「まだ残っている困りごとは、今後どこで扱えますか」と聞けます。担当者から提案された場合も、分かったふりをして受け入れる必要はありません。自分から終えたい場合も、相手を納得させるために十分よくなったと証明する必要はありません。

同意できない点があるなら、「生活は改善しましたが、夜の不安は残っています」「終わりを急に知らされたことに戸惑っています」のように具体的に伝えます。続けることだけを答えにせず、説明を受け直すことや、他の選択肢も含めて相談できます。

終わりの面談では、よかったことだけを提出しなくてよい

振り返りは、感謝の言葉をまとめるためだけのものではありません。役立った説明、難しかった進め方、試して合わなかったこと、まだ聞けていないことも含められます。次の支えを考えるために、自分に合う条件を残す時間になります。

先ほどの例なら、「調子がよい日は伝えにくかった」ということ自体が大切な話題です。担当者とのやり取りで感じたことを扱える場合もありますが、つらい経験を全て話し切ってから終えなければならないわけではありません。今は話したくない内容は、その希望を示せます。

持ち帰るものを考えるなら、「一人でできるようになったこと」だけでなく、「助けが必要なときの気づき方」「どの相手に何を頼めるか」も含めます。支援を使えることを、相談の失敗や逆戻りとみなさなくてよいのです。

区切り方と、その後の連絡方法を具体的にする

終える時期、残りの面談で扱うこと、間隔を変える選択肢、別の支援への紹介等を尋ねられます。段階的な終え方が常に可能とは限りませんが、何が可能かを先に知ると、急に連絡が途切れる不安を減らす助けになります。

NICEの成人精神保健の指針も、支援の終わりや移行が気持ちに影響しうることを踏まえ、見通しを持った相談と連携を勧めています。[2] これは英国の医療向けの推奨であり、日本の全機関の利用条件を定めるものではありません。

再相談の受付方法、同じ担当者に会えるか、受付条件や費用が変わる場合はどう確認するかを聞いておきます。再開が常に保証されるとは限らないため、ほかの相談先も含めて考えます。急な悪化や命の危険があるときは、以前の担当者の返答だけを待つ計画にはしません。

自分で終える選択と、安全に離れる選択もある

寂しさを理由に、費用や生活に無理のある継続を受け入れる必要はありません。専門的な支援関係には、私的な友人関係とは異なる境界があります。[3] 終了後の個人的な付き合いを約束することで寂しさを埋めるものでもありません。

担当者への恐怖、圧力、不適切な行為があって終えたい場合には、担当者と一人で話し合いを続けることを求めません。機関の責任者や相談・苦情を受ける窓口、必要に応じ別の専門機関への相談も選べます。「きれいに終える」ことより、自分の安全と意思が大切です。

説明用の相談例:「生活は落ち着いてきましたが、会わなくなることは寂しいです。続けるか終えるかをすぐ決める前に、今も必要な支えと、区切り方を相談したいです。」

相談を終えることを、一人で何でもできるようになる試験にしなくてかまいません。必要なときの頼り方を含めて、自分の暮らしに合う区切りを考えられます。

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参考・引用文献

  1. 公益社団法人日本公認心理師協会.倫理綱領(2020年9月18日理事会議決)
  2. NICE. Service user experience in adult mental health(CG136), Recommendations. 2011.
  3. 一般社団法人日本臨床心理士会.倫理綱領(2017年5月15日改定)

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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