お金や時間の都合で相談を続けにくいとき|減らす・休む前に話せること

お金や時間の都合が変わったことは、相談の中で話してよい内容です。続けたい気持ちがあっても、同じ料金や頻度で利用し続けることを義務にしなくてかまいません。今の生活で使える条件と、必要な支援を分けて相談できます。

続けたい気持ちと、生活の条件を両方伝える

説明用の例です。相談は役立っているものの、勤務時間と収入が変わり、月に使えるお金が減った人がいます。担当者には感謝しているため、費用の話は失礼だと思い、食費を削って予約を続けています。この場合、役立っていることを否定しなくても、今の利用条件が難しいと伝えられます。

「助けになっていますが、来月から同じペースでは生活が苦しくなります」という二つの事実は両立します。相談の価値を認めることと、生活費や休む時間を守ることを、どちらかの選択にしなくてよいのです。

専門職の倫理綱領は、本人への説明と自己決定を重視しています。[1] 心理的なつらさがあるからと、現実の費用や時間の問題を「相談を避ける気持ち」とだけ解釈しないことが大切です。本人は利用できる範囲を話し、提案の意味や条件について説明を求められます。

予算、予約できる時間、必要な支えを分ける

最初から家計の細かい内訳を全て見せる必要はありません。「月に使えるのはこの程度」「平日のこの時間は難しくなった」「次の二か月は予定が読めない」など、選択に必要な範囲を伝えます。今後の見通しが分からないことも、そのまま情報になります。

併せて、どんな助けが今必要かを確かめます。定期的に気持ちを話す場所、特定の治療を継続すること、生活制度の手続き、体調の診察では、適した支援と調整方法が違います。費用を減らすことだけを先に決めて、重要な支えを失う形にしないための相談です。

受けられる支援の選択肢に加え、何もしない場合や変更する場合の意味を話し合うことは、共同意思決定の考え方にも含まれます。[2] 本人に全ての専門的判断を任せるのではなく、条件に合う方法を一緒に検討するための視点です。

減らす・休む・変える、それぞれで確認すること

相談の間隔を広げる、一定期間休む、別の機関や方法を使うなどの選択肢があります。ただし、全ての施設が同じ変更に対応するわけではありません。短時間の面談や料金調整があると決めず、実際に可能な条件を聞きます。

  • 間隔を変える場合:今の支援の進め方や、次回までの支えはどう変わるか。
  • 休む場合:休止中に困ったときの窓口、再開の連絡方法、予約の扱いはどうなるか。
  • 別の機関を使う場合:対象、費用、受付までの期間、引継ぎの方法はどうか。

頻度を減らしても同じ効果がある、短期間休んでも影響はない、と一律には言えません。一方、勧められた頻度に合わせると必要な生活費や休む時間が足りなくなる場合は、その負担も相談できます。変更に伴う負担と、続ける現実的な負担を並べて相談します。

予約を変える際は、キャンセル・休止・契約終了が別の手続きになっていないかも確認します。連絡を止めれば自動的に契約が終わるとは限りません。現行の規約や案内が分からないときは、担当者か事務窓口へ、どの操作や連絡が必要かを尋ねられます。

公的な相談先も、役割と条件を確かめて使う

地域の保健所、保健センター、精神保健福祉センター等は、こころの相談先として公的に案内されています。[3] 無料で利用できる公的相談先もありますが、地域の対象、受付時間、予約方法、相談内容を確認してください。今の面談を同じ形式・頻度で引き継げると約束されるものではありません。

探すときは「住んでいる自治体名」と「こころの相談」等で公式案内を確かめるか、自治体の窓口に尋ねます。どこへ連絡すればよいかを一緒に考える役割もあります。体調の診察や治療が必要なら、医療機関で相談します。公的相談と医療は、同じ手続きや費用ではありません。

会社の相談制度を使う場合は、利用の対象や情報共有の範囲も確認します。費用がかからないことだけで選ばず、自分の話したい内容に合うかを確かめます。支援先を増やす際には、役割を分けると説明が食い違う負担にも対処しやすくなります。

生活の条件は、支援を整えるための情報

説明用の相談例:「相談は続けたいのですが、費用と時間の都合が変わりました。今の方法で大切なことと、間隔の変更や休止、別の支援で補えることを相談したいです。」

話を切り出しにくければ、まず次回の面談で費用の話をしたいと予告する方法もあります。相談を続けるために無理を重ねることも、申し訳なさから説明なく一人で抱えることも、当然の条件ではありません。

差し迫った命の危険や急な悪化があるときには、次の有料面談まで待つ計画にせず、医療等へつながってください。必要な支援は、払える料金だけで判断できるものではありません。続け方を相談することは、自分の暮らしと安全を守るための大切な話題です。

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参考・引用文献

  1. 公益社団法人日本公認心理師協会.倫理綱領(2020年9月18日理事会議決)
  2. NICE. Shared decision making(NG197), Recommendations. 2021.
  3. 厚生労働省.こころの相談の窓口について.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。