心理職には、病名のついていない悩みも相談できます。仕事へ行く前の気の重さ、家族へのいらだち、断れずに疲れることなど、日常の気になる場面から話せます。
心理職には、どんなことを相談できるか
相談する理由を説明しようとして、「もっと大変な人もいる」「生活はできているから」と言葉を引っ込めることがあります。でも、悩みの大きさを人と比べてから申し込む必要はありません。いつも同じことを考えて疲れる、身近な人には言いにくい、決めたいのに気持ちが追いつかない。そうしたことも相談の入り口になります。
例えば、友人に頼まれると予定を空けてしまい、帰宅してから腹が立つ場面を考えてみます。相談で「友人と縁を切るべきですか」と結論を急がなくても、「断ったらどう思われるかが怖い」と話せます。相手を大事にしたい気持ちと、自分の時間を守りたい気持ちを、両方置いて考えることができます。
心理職が考えるのは、悩みの名前だけではありません。きっかけになったこと、今もつらさを続かせていること、既に助けになっていることを、暮らしの中で見ていきます。例えば職場で失敗したことが始まりでも、その後に休めなくなったり、確認に時間を使い続けたりすることが、別の負担になっている場合があります。始まりの原因と、今変えられる部分は一致するとは限りません。
話を聴くことに加えて、どう手伝ってもらえるか
心理相談では、最近あったことを話し、そのとき何がつらかったのかを振り返ります。話してほっとしたい日もあれば、次に同じ場面になったときの言い方を考えたい日もあります。担当者は質問や提案をしながら、本人が考えたり試したりするのを手伝います。代わりに人生を決める役割ではありません。
「今日は解決策より、最後まで話を聴いてほしい」「二つの選択で迷っているので、一緒に考えてほしい」。こんな希望を伝えてよいのです。何を頼みたいか分からない場合は、その迷いを話せば十分です。面談中に気持ちが変わっても、最初の希望どおりに進め続ける必要はありません。
家族が本人への接し方を相談することもできます。ただし、来ていない人の性格や病気を決めつけることはできません。「相手を変えてほしい」という願いがあっても、相談でまず扱えるのは、いま起きていることと、自分にできる関わり方や距離の取り方です。
悩みが続く流れを、一緒に理解する
こうした理解は「見立て」と呼ばれますが、専門家が本人の本質を言い当てるものではありません。「この場面でこう受け止め、その後にこうしているのかもしれない」という仮の理解を、本人の実感や実際の暮らしと照らして確かめます。認知行動療法では、考え、感情、身体の反応、行動のつながりを使うこともあります。合わない説明なら、修正が必要なのは理解のほうかもしれません。
診断は、医療で病気や治療の必要性を考えるためのものです。心理的な見立ては、その人が今どこで困り、何に働きかけるかを考えるために使います。同じ診断名でも支援の内容は異なり、診断がつかなくても暮らしへの支援が必要なことがあります。
眠れなさや体の不調もあるとき
心理職と医師は、できることが違います。医師は体調や病気を診察し、必要に応じて診断や治療、薬の処方を行います。医師ではない心理職は、診断書を書いたり薬を変更したりはしません。心理相談を受ければ、医療が必要なくなるというわけでもありません。
ほとんど眠れない、食事が取れない、急に具合が悪くなった、日常のことができないときには、医療機関へ相談してください。受診しながら、暮らしの困りごとを心理相談で話すこともあります。通院中なら、申し込み時にそのことを知らせ、医療と相談をどう一緒に使うか確かめられます。
最初の相談に、用意するなら一つだけ
最近つらかった一場面を思い浮かべてみてください。「昨日、帰宅しても仕事の返事を考えていた」のような短い話で十分です。いつからこうなったのか、以前はどうだったかは、話しながら思い出せます。答えにくい質問には、その場で答えないこともできます。
話してみて、聞かれ方がつらい、話を急がされると感じたら、その感じ方も伝えられます。伝えることが難しかったり、続けるほど負担になったりするときは、別の担当者や相談先を選ぶ道もあります。一度合わなかった経験から、自分は誰にも相談できないと決めなくてかまいません。
ALVARAの個人向け相談は18歳以上の方が対象です。子どものことが心配な場合は、保護者やご家族自身の悩みとして相談できます。医療の診断・投薬は行わず、差し迫った危険への対応は緊急の医療や公的な支援につなぐ必要があります。
参考資料・引用文献:厚生労働省「公認心理師」 / 厚生労働省「公認心理師と主治の医師の連携」 / 国立精神・神経医療研究センター:認知行動療法マップ・セルフヘルプ(出来事・考え・感情・身体・行動の理解)
記事のつくり方
記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。
このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
