子どものかんしゃく・怒りが強いとき

かんしゃくが強いときは、まずけがを防ぎ、落ち着いてから何がつらかったかを考えます。その場で理由を説明させたり、正しい行動を覚えさせたりすることを急がなくてかまいません。

泣き叫んでいるときは、安全と短い言葉を

説明用に作った例です。外出から帰り、靴を脱ぐよう言われた子どもが泣いて床へ座り込みます。「靴くらい自分でできるでしょう」と長く話しても、さらに声が大きくなるかもしれません。疲れや空腹、切り替えの難しさなどは、泣いている最中には本人も言葉にできないことがあります。

投げる物や危険な場所から、無理のない範囲で離れられるようにし、「ここで待っているよ」「少し静かな所へ行こうか」と短く伝えます。触られるのがつらい子もいるため、抱きしめれば必ず落ち着くとは限りません。保護者にも危険がある場合は距離を取り、ほかの大人や適切な支援を呼んでください。けががあれば医療への対応を優先します。

感情を落ち着ける力は、人の助けも使いながら育ちます

感情調整は、怒らなくなることではなく、強さや行動の仕方を、その場で扱えるようになることです。子どもは言葉、気づき、注意の切り替えを発達の途中で使っており、大人の助けを借りることがあります。親がいつも落ち着いていなければ育たない、という意味ではありません。

家族と感情調整を扱う研究レビューは、大人の姿を見て学ぶこと、感情への具体的な応答、家庭の情緒的な環境を整理する一方、子どもの気質や発達なども関わるとしています[1]。かんしゃくの一回から、しつけの失敗や特定の発達障害を決めることはできません。

落ち着いてから「怒ったことは聞く。でも、たたくのは止める」と話せます。気持ちへの理解と行動の限界を分けるためです。次は大人を呼ぶ、休む場所へ移るなど、できそうな方法を一つ考えます。理由が言えないときは問い続けず、言葉が少ないなら指さし等で知らせる方法も相談できます。

その子の性格より、起きる前後を見ます

帰宅時に繰り返すなら、空腹や疲れ、玄関の狭さ、一度に言われる用事など、直前の負担を見ます。同じ言葉へいつも同じ反応をするとは限らず、体調や場面との組み合わせで難しくなる場合があります。

帰宅後の用事を減らす、座れる場所を作る、次の予定を短く予告するなど、起きる前へ働きかける方法もあります。これは子どもを黙らせるための仕掛けではなく、まだ扱いにくい負担を減らす考え方です。泣けば要求を聞くか、すべて無視するか、という二択にしなくてかまいません。

一日の全行動を記録する必要はありません。相談では「買い物の帰り、眠そうな日に起きやすい」「短く休むと着替えられる」など、一つの違いから話せます。何が理由かは仮説として扱い、別の場面にも当てはまるかを専門家と考えます。

どんなとき、外へ相談すればよいでしょうか

けがにつながる、強さや頻度が増えた、園や学校で過ごすことが難しい、家族が怖がっている場合は、小児科や自治体の発達・子育て相談へ話せます。かんしゃくがあるだけで発達障害とは決まりません。身体の痛みや、本人が伝えにくい困りごとも含めて見てもらいます。

園で落ち着いていると言われても、家庭の大変さを小さく扱わなくてかまいません。「園では、活動が終わる前にどう知らせていますか」と聞けば、家でも使える手助けが見つかる場合があります。家庭と園で違う様子は、どちらもその子の姿です。

保護者自身が怒鳴ってしまう、手が出そうで怖い場合も、すぐに助けを頼めます。こども家庭センター等へ「一人で対応を続けるのが難しい」と伝えてください。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の疲れや関わりの相談に対応し、子ども本人の診断・治療や、その場の危険への緊急対応を行うサービスではありません。

参考・引用文献

発達障害ナビポータル「乳幼児期のお子さんについて相談したいとき」 / 発達障害情報・支援センター「支援につなげる(保育・学童保育)」 / こども家庭庁「こども家庭センター」 / [1] Morris, A. S., Silk, J. S., Steinberg, L., Myers, S. S., & Robinson, L. R.(2007)The Role of the Family Context in the Development of Emotion Regulation. Social Development, 16(2), 361–388. DOI: 10.1111/j.1467-9507.2007.00389.x.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。