職場のハラスメントが気になるとき|記録・相談先・距離の取り方

職場のハラスメントがつらいとき|判断を急がず安全と記録を守る

職場で受けた言葉や態度がつらいとき、「これをハラスメントと呼んでよいのか」を自分で決めてから相談する必要はありません。何を言われたか、その後どう困っているかから話せます。

自分にもミスがあったら、我慢するしかないのか

仕事上の注意を受けることと、人格を傷つける言葉を受けることは、同じものとして扱わなくてかまいません。自分のミスを直したい気持ちがあっても、受けた言動について相談できます。法的にどう扱われるかは具体的な事情によるため、ここでは断定せず、専門の窓口で確認します。

例えば、人前で強く叱られたあとから、出勤前に吐き気がする場面を考えます。「自分が悪いから」と感じていても、「何を間違えたか」だけではなく、「人前でどんな言葉を受けたか」「体調にどんな変化があるか」を話してよいのです。相手の意図を証明できなくても、今起きていることは相談の材料になります。

相談では、仕事で直す点があるか、相手の言動が適切だったか、心身にどんな影響が出ているかを別に考えます。ミスがあったことは、受けた言動のすべてを正当化する根拠にはなりません。また、その言動が法的にどう扱われるかが未確定でも、眠れなさや出勤への怖さへの支援は始められます。法的な判断と、今の生活を支える判断は役割が違います。

残せるものがあれば、今ある範囲で

日時、場所、言われた言葉、周囲にいた人など、覚えていることを短く残すと、あとで伝える助けになります。メールやメッセージがあるなら、そのまま消さずに残す方法もあります。全部そろえるために、危険な場所へ戻ったり、相手を問い詰めたりする必要はありません。読み返すたびにつらくなるなら、信頼できる人に保管や相談への付き添いを頼むこともできます。

証拠をまとめられないことと、相談してはいけないことは別です。「何が起きたのか、まだうまく説明できません」からでも始められます。社内の相談窓口だけでなく、都道府県労働局などの社外窓口で、話せる先を探すこともできます。

記録は、何が起きたかを伝えるために役立ちますが、つらさを何度も再体験するための課題ではありません。出来事の情報を残す作業と、受けた影響について話す時間を分ける方法があります。細部がすぐ思い出せないことだけで、自分の体験を否定する必要もありません。正確に分からない点は分からないままにして、窓口へ伝えられます。

会社に知られるのが怖いとき

相談すると大きな話になるのでは、相手へ伝わって扱いが悪くなるのではという心配は自然です。話し始める前に、「今は話を聞いてほしい段階です。誰に、どんな内容が伝わるかを先に知りたいです」と尋ねてください。窓口によって、その後の進め方や情報の扱いは異なります。匿名で話せるか、正式な対応を望まない段階でも相談できるかも確かめられます。

連絡に使う端末やメールを、相手が見られる心配がある場合は、安全に利用できるものを選びます。暴力や差し迫った危険があるなら、その場から離れることや、緊急の支援を求めることを先にしてください。

相談後の進め方を先に聞くと、相手に知られることで何が起こるかという、現実の安全と仕事への影響を考える助けになります。出来事を詳しく説明する前に、安全な連絡方法や当面の距離を相談してよい理由もここにあります。

心理相談で扱えるのは、受けたあとのつらさも

出来事が終わっても、言葉を思い返して眠れない、自分に価値がないように感じる、人に会うのが怖いことがあります。心理相談では、そうした影響や、これからどう過ごしたいかを話せます。心理職が法的な認定や会社への処分を行うわけではないので、労働の相談と心身への支援を並行して使うこともあります。

職場に残るか辞めるかは、体調、暮らし、収入、安全に関わる大きな話です。今日すべて決めなくても、「明日は誰と一緒に動くか」「当面どの相手と距離を置くか」から考えられます。体調が崩れているときは医療にもつながり、一人で我慢し続ける以外の道を探してください。

参考資料・引用文献:厚生労働省「あかるい職場応援団・悩んでいる方」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。