子どものことがきっかけでも、親自身の不安や落ち込みを相談してかまいません。子どもの問題が解決するまで、自分のつらさを後回しにする必要はありません。
子どもが落ち着いた後も、親の緊張が残ることがあります
説明用の場面です。学校からの連絡が続いた後、電話が鳴っていなくても携帯を確かめ、夜は次の連絡を考えて眠れなくなったとします。今の子どもは楽しそうでも、保護者の体と気持ちはまだ次の問題へ備えているのかもしれません。
子どもの状態と、親の健康は関係しますが、いつも同じ速さで変わるものではありません。「電話を見ると動悸がする」「人に会うのが怖い」「一人だと涙が出る」といった変化を、子どもの対応とは別に話せます。育児の助言だけでなく、自分の不調の医療評価が必要になる場合もあります。
考え直すことと、自分を責め続けることの違い
子どものことを何度も考えるのは、すべて悪いわけではありません。予約先を調べる、学校へ聞くことを考えるなど、役立つ準備もあります。一方、「なぜ私はうまく育てられないのか」「この先ずっと駄目なのでは」と繰り返しても、確かめることや次の行動が見えず、苦しさだけが増す場合があります。
反復思考についての研究レビューは、繰り返すかどうかだけでなく、内容、そのときの状況、抽象的に考えるか具体的に捉えるかで、役立ち方が異なると整理しています[1]。「考えない努力」を増やすより、今の考え方が情報や休息につながっているかを相談する見方です。
たとえば「なぜ駄目な親なのか」という問いから少し離れ、「今夜眠れないほど気になっているのは、何の連絡か」「今、分かっていることはどこまでか」を話せる場合があります。前向きな言葉への置き換えや、考えた回数の記録を義務にする話ではありません。自分だけで切り替えられないことも相談できます。
学校から知りたいのは日中の様子、親しい人へ頼みたいのは食事、医療で診てもらいたいのは不眠、心理相談で話したいのは責められる怖さ、というように、頼む先を分けられます。子どもの将来について完全な答えを得るまで、親が助けを待つ必要はありません。
受診を考えるのは、どんなときでしょうか
眠れない、食欲がない、何も楽しめない、気力が出ず日々の支度が難しいなどの状態が続くときは、医療機関へ相談できます。気分の落ち込みには身体の病気や薬なども関係するため、「自分の性格だから」と決めつけないでください。かかりつけ医へ、いつからどんなことが難しくなったかを伝える始め方もあります。
受診は、子育てを任せられない親だと認めることではありません。今の心身を確かめ、暮らしを保つための助けを探すことです。通院先がある場合は、心理相談の利用も知らせ、必要な連携を相談できます。
消えたい気持ちが強い、自分や子どもの安全を保てない、すでに傷つけてしまった場合は、次の通常予約を待たず、近くの人や医療・緊急の支援へ今の状態を伝えてください。説明がまとまっていなくても助けを求めてよい場面です。
「自分のことを話したい」と、最初に言ってよい
面談が始まると子どもの説明だけになってしまうなら、「今日は私が眠れないことを先に話したいです」と言えます。育った家庭のこと、仕事との両立、パートナーへの怒りなど、子どもに直接関係しないと思っていることも話せます。話したくない内容まで初回に説明する必要はありません。
ALVARAは18歳以上の方が対象で、保護者ご自身の気持ちや暮らしを相談できます。診断や薬の処方は行わず、体調への心配は医療機関と相談します。家事や預かりなどの手助けが必要なら、市区町村のこども家庭センター等へ相談する道もあります。
今日できることが一つなら、「子どもの相談とは別に、自分のための時間を申し込みたい」と誰かへ伝えるだけでもかまいません。相談で毎回前向きな答えを出す必要はなく、つらいまま話し始められます。
参考・引用文献
厚生労働省「自分や家族を責めない」 / こども家庭庁「こども家庭センター」 / [1] Watkins, E. R.(2008)Constructive and unconstructive repetitive thought. Psychological Bulletin, 134(2), 163–206. DOI: 10.1037/0033-2909.134.2.163.
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
