言い争いの後は、まず安全と落ち着いて過ごせる場所を確かめ、子どものせいではないことを短く伝えられます。説明したらすぐ元どおりになることを求めず、大人がこれから何を変えるかも別に考えます。暴力や威圧がある場合は、謝罪や家族の話し合いだけで済ませず、外の支援が必要です。
まず、話を聞ける状況になっているか
大きな声や物音が続いている最中に、子どもへ「怖がらなくて大丈夫」と説明しても、目の前の状況は変わりません。物が飛ぶ、けがの危険がある、誰かが逃げられないといった場合は、話をまとめるより安全な距離と助けを確保します。子どもに止めに入ってもらわないことが大切です。
内閣府は、子どもの前で家族に暴力を振るうことが心理的虐待に当たると説明しています。[1] 意見が違うすべての場面を同じに扱うものではありませんが、怖くて逆らえない、脅される、身体への危険がある関係を、普通の言い争いとして済ませないための区別です。
いま安全が確保できていても、子どもが隠れる、黙る、親を慰めるなどしている場合があります。「泣いていないから平気」と確定せず、すぐ話したいのか、静かにしていたいのかを短く聞けます。返事を求め続けず、食事や寝る準備など、その後に何をするかを伝えることもできます。
自分のしたことを、相手や子どものせいにせず説明する
説明用の例です。夕食時に大人同士が大声で言い合い、子どもが「片づけなかったから?」と尋ねました。このとき、「あなたが早く片づければけんかにならなかった」と原因を渡すのではなく、「大人が大きな声を出しました。あなたが大人を止める役ではありません」と、責任を大人へ戻す言葉を考えます。
自分の行動については、「大きな声を出したことを謝りたい」と具体的に言えます。「相手が怒らせたから」という説明を続けると、子どもはどちらを責めるべきかという話へ引き込まれます。大人の意見の違いを伝える必要があっても、双方の言い分を判定してもらう必要はありません。
謝った後に、「もう気にしないで」「許して」と安心させる返答を求めなくてもよいのです。子どもは、すぐ話せるとは限りません。「今、何か聞きたいことはある? 後でも話せます」と入口を残し、謝罪を受け取ったかを確認する試験にしないことを考えます。
「もう終わった」という大人の感覚と、子どもの感覚は同じとは限らない
Goeke-Moreyらの研究は、家庭での報告と実験場面を用いて、夫婦の対立の終わり方と子どもの反応を調べました。大人と子どもの解決の受け取り方が、常に一致するわけではないことが示されています。[2] これは、一度けんかを見せたら将来が決まるという研究でも、ある謝り方で必ず影響を防げるという結果でもありません。
例えば、大人には沈黙が「落ち着いた時間」でも、子どもには「また怒り始めるのを待つ時間」かもしれません。「もうけんかしていないでしょ」と終える前に、今も怖いことや分からないことがあるかを確かめられます。本人の説明が大人の予想と違えば、その違いを聞くことができます。
幼い子には、気持ちを十分な文で説明すること自体が難しい場合もあります。CDCの幼児・就学前児向け資料は、安全と落ち着きを先にし、感情を否定せず聞くことを示しています。[3] ただし、様子から気持ちを言い当てるのでなく、「怖かったかな。違ったら教えてね」と仮の理解として伝えます。
大人が変えることを、実行できる範囲で示す
「二度とけんかしない」と大きく約束するより、何をどう変えるかを考えます。「声が大きくなったら、その場で言い合いを続けず、子どもの世話をする大人と話を止める人を決める」など、現実の動きを大人や支援者で相談する方法があります。安全に中断できない関係では、二人だけでこの約束を作ること自体を優先しません。
子どもの前で仲直りを演じれば十分ということでもありません。大人同士の意見が一致しないままでも、子どもの世話、連絡、生活の用事を誰が担うかは確認できます。「まだ大人が考える話はありますが、明日の迎えは私が行きます」と、未解決の事情と暮らしの予定を分けて伝えられます。
同じ衝突が繰り返す場合、疲労や家事の量だけでなく、相手への怖さ、経済的な拘束、支援の不足なども確認が必要です。配偶者暴力相談支援センター等へ相談する道があります。[1] 被害を受けている人へ、子どもを守れなかった責任を一方的に負わせるのではなく、安全に動ける支えを増やします。
学校等の大人へ知らせるときも、家庭内の詳しい言い分を全部共有する必要はありません。安全上の心配、本人が疲れたときに話せる人、迎えや連絡の変更など、子どもを支える目的に合わせて内容を相談できます。
子どもの支えと、親自身の支えを別に持つ
子どもに「どちらが悪かったと思う」と聞いたり、相手への伝言を頼んだりすると、大人同士の関係を管理する役になってしまいます。親もつらいときは、その気持ちを大人の相談相手へ話せます。「子どもが自分を慰めるので、つい全部話してしまう」と相談してもよいのです。
子どもの眠り、食事、学校生活などに変化が続く、怖さが強い場合には、学校の相談担当や子どもの医療・心理支援へ、見聞きした出来事と今の様子を伝えます。すべてを詳しく語らせることや、家庭でトラウマを診断することは必要ありません。現在も危険がある場合は、通常の心理相談を待たず安全への支援につながります。
ALVARAは18歳以上の保護者ご自身が、説明の言葉や繰り返すやり取りへの迷いを相談する場です。家族の緊急保護や子どもの診療を担うものではありません。「謝りたいが、子どもに安心させてもらおうとしている気がする。大人の側で何を変えるか考えたい」という言葉から話せます。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。