カウンセリングの記録は誰が見る?|メモや録音について聞いてよいこと

カウンセリングの記録について、何を残し、誰が、何のために見るのかを聞いてかまいません。担当者が書くメモ、面談の録音、自分が持ち帰るメモは別のものです。それぞれの扱いを分けて説明してもらうと、気になる点を確かめやすくなります。

「記録」と呼ばれるものを、まず分ける

相談中に担当者が書いていると、自分のどの言葉が評価されているのか気になるかもしれません。記録には、継続して支援するための経過、確認した方針、予約等の事務情報など、異なる目的の情報が含まれます。どの機関でも同じ様式とは限らず、メモが会話の一語一句を写したものとも限りません。

一方、録音や録画、音声からの文字起こしは、記録する方法そのものが違います。担当者の手書きメモがあることから「音声も残っている」とは判断できず、録音がないという説明だけで「相談記録も一切ない」とも言えません。日本臨床心理士会の倫理綱領でも、記録と、録音等の同意の扱いは確認すべき事項として示されています。[1]

説明用の例です。担当者が画面を見て入力するため、話を聴いてもらえていない気がする人がいます。「今は何を記録していますか。入力する前に一言知らせてもらえますか」と聞くことができます。記録の有無だけでなく、面談中の過ごしやすさも相談の対象です。

誰が見るかは、名前だけでなく役割を聞く

担当者以外の閲覧には、引継ぎ、安全の確認、支援方針の検討、システムの運用等、さまざまな目的がありえます。ただし、こうした役割が全ての機関に存在するわけではありません。「他の人は絶対見ませんか」という質問に加え、「担当者以外に、どの役割の人が、どの範囲を見ますか」と尋ねられます。

予約情報を見る事務職員と、相談内容を検討する専門職が、同じ情報へアクセスするとは限りません。外部の保存・処理サービスを使うなら、その目的や送られる情報、説明を確認する窓口も聞けます。技術の名前を全て理解することを、相談者の条件にしなくてよいのです。

公認心理師協会の倫理綱領は、記録の扱いと専門的な責任を位置づけています。[2] それは「関係する職員なら誰でも全て読んでよい」という意味ではありません。施設の説明を聞き、自分の話がどう守られ、支援のためにどう使われるのかを確かめます。

支援のための検討と、研修・研究への利用を混ぜない

担当者が専門的な助言を受けて支援を検討することと、学会発表、研修教材、研究として内容を利用することは、目的が同じではありません。「名前を出さない」とだけ言われても、何に使うのか、具体的な経過を扱うのか、誰が見るのかを聞けます。

名前を変えれば、どんな詳しい出来事も特定されなくなるわけではありません。日本臨床心理士会の倫理綱領も、事例発表での同意や個人情報、本人の尊厳への配慮を定めています。[1] 相談を受ける同意と、その内容を別の目的に使う説明を区別して確かめることが大切です。

説明を受けて迷う場合には、検討する時間や、断った場合の支援への影響を尋ねられます。既に利用されている資料について後から希望を変えた場合、どこまで変更できるかは状況によります。「いつでも全て回収できる」とは限らないため、利用前の説明を具体的にしてもらいます。

保管期間、閲覧や訂正の相談も確認する

どの記録をどのくらい残すかは、施設の方針や記録の種類、関係する制度によって異なります。全ての相談機関に同じ期間が当てはまるとは言えません。保存の目安、終了後の扱い、問い合わせ先を確認できます。

自分についての記録を見たい、内容の誤りを伝えたい場合は、「どんな手続きで申し出られますか。対応できる範囲や費用はありますか」と尋ねます。記録の全文が必ず無条件で渡される、希望すれば全て直ちに消える、と約束する説明にはできません。具体的な請求への対応は、その機関の説明と適用される制度を確認します。

ALVARAでは、情報の扱いについて現行のプライバシーポリシーを公開しています。[3] 文章で分からないところは、問い合わせ窓口で確認してください。この記事は、別の機関も同じ運用をするという案内ではありません。

自分で残すメモは、理解を助ける範囲にする

面談後の言葉を忘れそうなら、自分用の短いメモを取ってよいか聞けます。要点を一緒に確認する方法もあります。全部書き取ることを課題にせず、「今日決めたこと」「次回確かめたいこと」の一つからでかまいません。音声を自分で録る希望がある場合は、担当者や施設のルールを先に確認します。

自分のメモにも、家族や職場など他の人の情報が含まれることがあります。共有端末、通知に表示される文章、他の人が開ける保存場所は、気になる範囲で見直せます。担当者へ送る際も、一般の問い合わせフォームへ詳しい経緯を一度に書く前に、適切な送り方を尋ねられます。

説明用の質問例:「何を残し、誰が何のために見るのか知りたいです。録音や外部での処理、研修等への利用がある場合は、それぞれの説明と同意の取り方も教えてください。」

記録のことを聞くのは、担当者を信頼していないという宣言ではありません。どう扱われるかが分かって初めて話せる内容もあります。説明を受けながら、今どこまで話すかを一緒に考えてよいのです。

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参考・引用文献

  1. 一般社団法人日本臨床心理士会.倫理綱領(2017年5月15日改定)
  2. 公益社団法人日本公認心理師協会.倫理綱領(2020年9月18日理事会議決)
  3. ALVARA Counseling Services.プライバシーポリシー(2026年9月1日改定)

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。