以前はできていた仕事に向かえない、人と話すだけで疲れるとき、「燃え尽きたのかもしれない」と感じることがあります。以前の自分へすぐ戻ろうとする前に、いま消耗が続いている理由を見てみます。
燃え尽きは、自分を判定するための名前ではない
WHOは燃え尽きを、対処しきれなかった慢性的な職場のストレスに関連する現象と説明し、病気そのものには分類していません。ただし、疲れや意欲の低下があっても、それだけで原因は分かりません。うつ病、睡眠の問題、体の病気などでも似た困りごとが起こるため、「燃え尽きだから休めばいい」と決めつけないことが大切です。
説明のために、忙しい時期を何か月も支え、ようやく休日になっても仕事の連絡を確認してしまう場面を考えます。体を休めているようでも、呼び出しに備えて気を張っていれば、休んだ感じを得にくいかもしれません。「休日に何をすれば元気になるか」だけでなく、休みの間にも続いている仕事がないかを考えます。
燃え尽きという言葉には、消耗だけでなく、仕事から心が離れる感じや、できている実感の低下も含まれます。体力の消耗が中心なら休養や仕事量の見直しが必要になり、役割や仕事の意味が揺らいでいるなら、休むだけでは考えきれない部分も残ります。どの部分が大きいかで、頼む助けが変わります。
燃え尽きとうつの重なりを検討した2015年のレビューは、両者を研究上きれいに分ける難しさを指摘しています[1]。これは「燃え尽きはすべてうつ病」という個人への診断ではありません。仕事の話として理解できることと、抑うつや身体の状態を医療で確かめる必要があることは両立します。呼び名が決まるまで支援を待つ必要はありません。
回復する予定を増やす前に、引き受けないものを一つ
運動、趣味、勉強と、元気になるための予定まで増えると、休むことが新しい宿題になってしまいます。まずは今週の予定から、延期するもの、人に頼むもの、最低限で済ませるものを一つ選ぶ方法があります。家事なら総菜を使う、仕事なら追加の依頼に返事をする前に上司へ確認する、といった小さなことでかまいません。
職場には「最近疲れています」だけでなく、「問い合わせ対応が続いて昼休みを取れないので、交代する時間を決めたいです」と、いま減らしたい仕事を一つ伝えられます。休暇や担当の見直しは、一人で決められないことも多いので、管理者や産業保健の力を借ります。頼んでも変わらない場合、さらに自分を工夫させるだけで終わらせないことも必要です。
仕事から離れると、罪悪感が出てくることもある
休んでいる間に同僚が困るのでは、自分だけ役に立っていないのではと感じることがあります。その気持ちがあるままでも、休息を取ってかまいません。大事にしてきた仕事だからこそ、離れるのが難しい場合もあります。
心理相談では、「仕事を減らしたいのに引き受けてしまう」「評価されない自分になるのが怖い」といった思いを話せます。すぐに仕事への情熱を取り戻すことを目標にせず、働き方を続けたい部分と変えたい部分を、時間をかけて考える使い方ができます。退職か現職かの結論を急ぐ必要もありません。
休めた時間があっても、連絡を待つ緊張や、遅れを取り返す心配が続けば、負担の一部は残っています。回復を見るときは、休日の有無だけでなく、休んだあとに睡眠や集中がどうなるか、仕事以外でも楽しめるかを確かめます。仕事から離れても広く不調が続くなら、単に休み方を工夫する段階を超えている可能性も含め、医療へ相談します。
休んでも戻らないときは、体調も診てもらう
楽しめない状態が仕事以外にも広がる、食欲が変わる、眠れない、身の回りのことが難しいときは、医療機関へ相談してください。症状の名前を決めてから受診する必要はなく、「以前できていたことができなくなった」と伝えられます。すでに通院している場合は、自己判断で薬を変えず、今の困りごとを主治医へ知らせます。
今日決めるのが「元気になる計画」でなく、「明日の依頼を一つ減らす相談をする」でも十分です。消耗した自分に、立て直しの責任まで全部背負わせないでください。
参考資料・引用文献:WHO「Burn-out an occupational phenomenon」 / 国立精神・神経医療研究センター「こころの病気について理解を深めよう」 / [1] Bianchi R, Schonfeld IS, Laurent E. (2015). Burnout-depression overlap: A review. Clinical Psychology Review, 36, 28–41. DOI:10.1016/j.cpr.2015.01.004.
記事のつくり方
記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。
このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
