学習のつまずきが気になるとき

学習のつまずきが続くときは、「もっと頑張る」だけでなく、どの作業が難しく、どんな方法なら分かるかを探します。成績や宿題の遅さだけで、能力や意欲を決めることはできません。

「勉強ができない」を、少し小さく分けます

説明用の例です。文章題の宿題で止まる子どもが、問題を読み上げてもらうと答えられます。この場合、計算や考え方だけでなく、文字を読む負担が関わっているかもしれません。逆に、文字はすらすら読めても、文章の意味や何を求められているかで困る子どももいます。

読む、内容を理解する、考えを組み立てる、答えを書くことは重なりますが別の働きです。書字に時間がかかり、考える力が見えにくくなる場合もあります。「もっと集中して」という一つの指示だけでは、どの負担にも対応できるわけではありません。

読みの発達の困難を扱うレビューも、音と言葉の処理だけでなく、ほかの言語能力や処理速度、言語体系や環境を含む多因子性を整理しています[1]。一つの読み方からディスレクシア等を判断することも、読みの困難から知的能力全体を低く見ることもできません。日本語の読み書きは、文字体系の違いも踏まえて専門家が確かめます。

読み上げても難しいときは、説明のどこで止まるかを

先ほどの文章題で、読み上げても答えられなかったとします。それだけで「読みの助けは無意味だった」「算数そのものができない」とは決められません。文章中の言葉の意味、何を尋ねられているか、計算の手順など、別の難しさが重なっているかもしれません。

担任へ「読む負担を減らしても、この言葉のところで止まるようです」「式は立てられますが、その後が続きません」と、実際の宿題を一つ見てもらえます。読み上げで考えが表れたときも、表れなかったときも、家庭で診断する材料ではなく、授業で何を教え、どこを助けるかを考える材料になります。

学ぶ内容と、答えを示す方法を分けられます

計算の考え方を学ぶ時間に、問題文を読むだけで疲れ切るなら、読み上げを使う、問題を一つずつ見せる、口で答えて考えを確かめるなど、目的に合わせた方法を学校へ相談できます。一方、読む力そのものを学ぶ時間は、その力に合う指導を考えます。方法を変えることと、学ぶ機会をなくすことは同じではありません。

助けを使うと自力が育たないのでは、と心配するかもしれません。何を練習し、何の負担を道具で補うかを分けると、本人が理解していることも見えやすくなります。合わなかった方法を続けるために課題を増やすより、本人の負担と学ぶ目的を担任と確かめ直せます。見え方・聴こえ方、言語の理解、注意、体調や学ぶ機会も関わるため、一つの方法だけで全てを説明しません。

学校には、困っている宿題を一つ持っていけます

「勉強が苦手です」だけでなく、「文章を読んでも内容がつかめず、家では一問に長い時間がかかります」「口なら答えますが、書くと手が止まります」と話せます。担任に加え、特別支援教育コーディネーターや教育相談の窓口へ相談できる場合があります。

「この課題では__のところで止まります。家では__なら分かることがあります。学校での様子と、取り組み方を変えられる部分を相談したいです」

宿題が親子げんかになっているなら、そのことも伝えてください。量、取り組む時間、確認する方法をどうするかは学校と相談できます。家で追加練習を続けてからでないと、助けを求められないわけではありません。

検査は、受けるかどうかから相談できます

つまずきが続き、本人の苦痛や学びへの影響が大きい場合は、教育相談、発達相談、医療機関などへつながることがあります。検査が提案されたら、何を知るためか、結果を授業でどう使うか、誰へ伝わるかを説明してもらえます。点数だけで、その子の今後が決まるものではありません。

学校でできる工夫を話し始めるのに、家庭で診断名を決めてくる必要はありません。必要な手続きや専門的な確認は、その後に窓口と考えられます。急に見えにくい、聞こえにくい、頭痛が強いなど身体の変化がある場合は、学習方法の工夫と分けて医療へ相談してください。

親も「教えるたびに怒ってしまう」と追い詰められることがあります。子どもの苦手さを理解する相談と、自分の焦りを話す相談を両方使えます。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の相談に対応します。学習障害の診断や子どもの検査、学校の学習指導を提供する窓口ではありません。

参考・引用文献

発達障害情報・支援センター「支援方法の学習」 / 文部科学省「障害のある子供の教育支援の手引」 / [1] Peterson, R. L., & Pennington, B. F.(2015)Developmental Dyslexia. Annual Review of Clinical Psychology, 11, 283–307. DOI: 10.1146/annurev-clinpsy-032814-112842.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。