園への行きしぶりが見られたとき

園への行きしぶりが続くときは、別れ際の涙だけでなく、園で過ごす間と帰宅後の様子も合わせて考えます。まだ理由をうまく話せない年齢でも、保護者と園が一緒に助け方を探せます。

別れる瞬間の不安と、園で続く困りごとは別に見ます

大切な大人と離れる不安は、発達の中でもみられます。小児病院の解説も、初めての場所や生活の変化で強くなる場合と、生活への支障が続いて相談が必要な場合を区別しています[1]。泣くことだけで、愛情が足りない、親離れが遅い、分離不安症であるとは判断できません。

説明用の例です。玄関ではしがみつくものの、先生と積み木を始めると落ち着く子どもがいます。園で遊べることは、朝の不安が嘘だという意味ではありません。別れ際から、別の人に助けてもらい活動へ入るまでに、難しい移行があるのかもしれません。

「その後は大丈夫」と聞いたら、誰がどのように迎え、何をして落ち着いたかも尋ねられます。一方、一日中つらそう、特定の活動を怖がる場合は、園での出来事や感覚の負担、体調等も確かめます。すべてを「親と離れる問題」にすると、その違いを見落とします。

泣かせない約束より、分かる受け渡しを作ります

いつ誰が来て、何をして、いつ再び会えるかが分かることは、本人の見通しになります。「お迎えはおやつの後」など、時計の時刻だけでなく理解しやすい予定で伝えられます。黙って消える、すぐ戻ると約束して長く離れるなど、予告と実際がずれる方法は避けます。

園とは、迎える人、引き継ぐ場所、最初にする活動、苦痛が強い場合の対応を相談します。短い別れが合うか、少し付き添う方がよいかは、子どもと園の様子で違います。「泣かなくなるまで親が残る」「泣いても必ず置いていく」という一律の決まりではありません。

保護者の勤務の事情も含め、実行できる流れを一つ作るところからでかまいません。受け渡しができることと、本人が十分に安心して過ごせることは別なので、その後の遊び、食事、休息も園から聞けます。

「園が嫌」の理由を、一度に聞き出さない

ことばにならない子へ、誰が何をしたかを繰り返し尋ねる必要はありません。遊びや食事、トイレ、音、人との関わりなど、園の先生へ普段の姿を聞けます。子どもが「トイレが嫌」と言ったら、その言葉から何が難しいかを確かめ、親が考えた原因で話を埋めないようにします。

言葉が出た後も、同じ質問を何人もが繰り返すより、誰が聞くかを園と話せます。けがや乱暴な扱いが心配なら、「慣れるまで」と待つだけにせず、園の責任者や自治体などへ具体的に相談してください。

帰ってからの疲れも、大事な姿です

園で頑張っている分、帰宅後に泣く、怒る、何もしたがらないこともあります。その日の話を詳しく聞く前に、休みや食事を先にする選択があります。家庭では簡単に済ませられる用事を減らし、翌日の準備を一人に集めすぎないことも考えられます。

保護者の出勤やきょうだいの支度が重なり、毎朝余裕がないことも園へ伝えてかまいません。「ゆっくり付き添って」と言われても難しければ、「何分までなら可能です。その後の引き継ぎを相談したいです」と話せます。親が無制限に時間を作る前提にしなくてよいのです。

泣くことだけでなく、暮らしへの影響から相談を

眠りや食欲が崩れる、体調不良が続く、登園後も苦痛が強い、以前から大きく様子が変わる場合は、小児科や保健センター等へ相談できます。行きしぶりだけで診断が決まるわけではありません。身体の痛みや具合の悪さは、心理的な理由と決めないでください。

保護者自身も、別れた後の罪悪感や仕事への焦りを話してよいものです。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の相談に対応し、子どもの診断・治療や園での対応を代行するものではありません。まずは明日の受け渡しを一つ、園と話すところからでも始められます。

参考・引用文献

発達障害情報・支援センター「支援につなげる(保育・学童保育)」 / 発達障害ナビポータル「乳幼児期のお子さんについて相談したいとき」 / こども家庭庁「こども家庭センター」 / [1] Children’s Hospital of Philadelphia(2021)Separation Anxiety: What’s Normal and When to Worry. 分離への不安と、相談が必要な生活への影響に関する小児医療の解説。

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。