祖父母と子育て方針が合わないとき

祖父母に助けてもらっていても、子育てで大切にしたいことを伝えてかまいません。感謝していることと、今のやり方を変えてほしいことは、両方あってよいものです。

意見の違いを、全部同じ強さで話さない

説明用の例です。迎えを頼んだ祖父母が寄り道をし、帰宅が遅くなって夕食と就寝も遅れています。保護者は「いつも勝手にする」と言いたくなるかもしれません。でも、今回変えたいのが帰る時刻なら、遊び方や過去の不満まで一度に話すより、「何時までに帰ってほしいか」を先に伝えられます。

安全に関わること、健康上必要なこと、できれば合わせたい好みは、重さが違います。医師から受けている注意や、送迎で必ず守ることは曖昧にせず伝えます。一方、遊びの選び方など、任せても暮らしに大きな支障がない部分は、祖父母のやり方に委ねる余地もあります。全部を同じにする必要はありません。

「誰がするか」と「どこまで決めるか」を合わせる

送迎を引き受けてもらったつもりでも、祖父母は夕食や遊びの予定まで任されたと考えているかもしれません。手を貸してもらう範囲と、判断を任せる範囲が違うと、善意でも行き違いが起こります。反対に、毎回すべての許可を求めてもらう形では、祖父母も保護者も休まりません。

たとえば「帰り道の遊びは任せたい。ただ、遅くなるときは連絡してほしい」「食事は用意するので、追加で食べる物は先に相談したい」と、任せる部分と相談する部分を分けられます。これはどちらが上かを決める話ではなく、実務を引き受ける人も見通しを持てるようにする話です。実行が難しいなら、頼み方自体を変更する必要があります。

考え方の批判より、次にしてほしいことを

「今の育児を知らない」「甘やかしすぎ」と言うより、「寄り道するときは先に連絡をください」「今日は六時までに帰ってきてほしいです」と伝えられます。理由も「今は夜の支度に時間がかかっている」と生活の話にすると、どこを合わせたいか分かりやすくなります。

感謝から話し始めてもよいですが、感謝を何度も示さないと必要なお願いを言えない、ということではありません。断られた場合も、まずその日の頼み方をどうするか考えられます。納得するまで同じ説明を続ける必要はありません。

お願いが伝わったことと、相手が賛成すること、実際に守れることは別です。考え方の一致まで待つより、「方針は違っても、預かる日はこの条件にできますか」と、行動で確かめられる約束にできます。ただし、安全や医療上必要な条件が守られない場合は、説明の上手さだけで解決しようとせず、預け方を見直します。

「いつも__を助けてもらってありがたいです。そのうえで、__は守ってほしいです。難しい場合は、その日は別の頼み方を考えたいので、先に教えてください」

子どもを、祖父母への伝言役にしない

「お母さんに怒られるから駄目だって言って」と子どもへ任せると、大人同士の間で気を遣わせることがあります。お願いや断りは、できるだけ大人が直接伝えます。パートナーが自分の親へ話す方が伝わりやすい場合も、何を頼みたいかを先に大人同士で話せます。

子どもへは、誰が正しいかを選ばせるより、「今日は帰る時間を大人同士で決めるね」と説明できます。本人が祖父母と過ごすことを楽しんでいる気持ちも、嫌だったことも聞けます。ただし、危険な扱いがある場合は、好きだからという理由だけで預け続けない判断が必要です。

頼れなくなる怖さがあるなら、別の助けも探す

送迎や預かりを祖父母だけへ頼んでいると、お願いを伝えることで支えを失うのが怖い場合があります。すぐに関係を切る二択にせず、時間を短くする、頼む作業を変える、別の家族や地域の支援を加える方法を考えられます。

市区町村の子育て担当やこども家庭センターへ、預かりや訪問支援などを相談できます。使える事業や費用は地域と家庭の状況で異なります。「祖父母の手助けはあるけれど、今の頼み方は続けにくい」と話してよいのです。

祖父母にも体力や予定があり、「助けてくれるなら無制限に頼める」ということではありません。家族の関係を保つためにも、断れる範囲と、別の支えを一緒に考えます。こども家庭センターは、家族の状況に応じた相談や地域の支援との調整を担います。親族の手助けがあることだけで、ほかの相談を控える必要はありません。

話し合いが怖いときは、一人で相談から

脅しや暴力がある、子どもを返してもらえない心配があるなど、直接伝えることが危険につながる場合は、会話文を試すより先に自治体や適切な専門窓口へ相談してください。話し合いを上手にする責任を、一人で背負わなくてかまいません。

ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の相談で、感謝と怒りが混ざる気持ち、頼ることへの罪悪感、家族へ伝える言葉を話せます。子ども本人の診断・治療や家族間の調停を行うものではありません。自分の家庭に必要な線引きを、相手への感謝と別々に考える時間にできます。

参考・引用文献

こども家庭庁「こども家庭センター」 / こども家庭庁「家庭支援事業について」 / 厚生労働省「家族で子どもと向きあうポイント」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。