子どもを医療・発達相談につなぐか迷うとき

子どもを医療・発達相談につなぐか迷うとき

子どもを医療や発達相談につなぐか迷うときは、診断を受ける決心からではなく、今困っていることを相談するところから始められます。身体の不調や安全への急な心配がある場合は、迷いを整理し終えるより先に、医療や適切な支援へつないでください。

診断を確かめることと、生活の助けを知ること

自治体の発達相談等は、育ちや生活の困りを聞き、家庭や園・学校での助け方、地域の支援を考える入口です。医療では、診察や必要な検査から、身体の病気、発達やこころの状態を確かめ、診断や治療を検討します。名称が似ていても、担当することは同じではありません。

一つの行動に、聴こえ、睡眠、言葉の理解、緊張、活動の難しさなど、違う背景が関わる場合があります。生活場面の相談だけで医学的な確認を済ませたことにはならず、診断名だけで家庭や園の助け方がすべて分かるわけでもありません。必要に応じて両方の情報をつなぎます。

診断が決まる前にも、予定を分かりやすくする、負担の大きい場面を減らすなど、今の困りを相談できます。反対に、急にできたことができない、食事や眠りが大きく崩れる、身体の症状があるときは、気持ちの整理や発達相談の順番を待たず医療へ話してください。

「診断がついたらどうしよう」という迷いも話せます

説明用の例です。園から相談を勧められたものの、子どもに名前を付けられる気がして予約できない保護者がいるとします。一方で、今の困りごとを放っておくのも心配です。この二つの気持ちは、どちらかを消してからでなく、一緒に相談へ持っていけます。

診断や検査が提案された場合は、何を知るためか、その後の助けにどう使うかを説明してもらえます。受診したら必ず診断が決まるわけではなく、診断がつかないなら何も困っていないという意味でもありません。疑問が残るときは、説明を聞き直し、緊急性がなければ考える時間を相談できます。

子どもも、何をするかを知り、心配を言える立場です

小児医療では、保護者の同意に加え、本人の理解や発達に合う説明を受けて、気持ちや賛意を確かめる「アセント」を大切にする考え方があります。米国小児科学会の声明も、意思決定を一枚の書類で終わる出来事ではなく、説明と対話を続ける過程として整理しています[1]。

保護者が行かせたい理由を納得させるだけでなく、「何をすると思っている?」「怖いことはある?」と、本人の受け止め方も聞きます。幼い子なら短い言葉や写真など、分かる形を窓口へ相談できます。何歳なら一律に決められる、嫌と言えばどの医療も行わない、という説明ではありません。必要な医療と安全の判断は医療者に相談します。

たとえば「朝の着替えで困ることを、楽にする方法を考える人に会う。先生が話を聞き、体のことを見る場合もある」と、分かる内容を正直に伝えます。「遊びに行くだけ」「痛いことは絶対ない」と、未確認の約束で連れ出す必要はありません。

嫌がるときも、分からない場所への怖さ、検査、名前をつけられる不安など、何を嫌がっているかで助けが違います。予約先へ流れを聞く、保護者だけ先に話す、説明の方法を変えるといった選択肢を相談できます。

予約の電話は、短い説明で始められます

「子どもは__歳です。最近__で困ることがあり、相談が初めてです。そちらで相談できる内容でしょうか。本人と一緒に行く前に、保護者から話せるかも知りたいです」

母子健康手帳、学校や園の資料、使っている薬など、必要な物は窓口に確認します。原因や診断名を調べてくること、困る場面を新しく撮影することは、相談の必須条件ではありません。本人が得意なことや、どんなとき楽そうかも伝えられます。

予約を待つ間も、相談を止めなくてよい

専門機関は待ち時間が長いこともあります。その間、園・学校へ今できる助けを尋ねたり、自治体の相談を使ったりできます。症状が急に悪化した、食事や眠りが保てない、けがや安全の心配が出た場合は、予約先やかかりつけ医へ早めに連絡し、通常の順番を待たずに対応すべきか相談してください。

ALVARAでは18歳以上の保護者ご自身が、受診への戸惑いや家族への伝え方を話せます。子ども本人を診察・診断したり、受診の要否を医学的に判断したりする場ではありません。親が迷わなくなることより、迷いを抱えたままでも相談先へつながれることを大切にできます。

参考・引用文献

発達障害ナビポータル「医療機関への受診について」 / 発達障害ナビポータル「乳幼児期のお子さんについて相談したいとき」 / こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」 / [1] COMMITTEE ON BIOETHICS(2016)Informed Consent in Decision-Making in Pediatric Practice. Pediatrics, 138(2), e20161484. DOI: 10.1542/peds.2016-1484.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。