望んだ妊娠でも、うれしさと不安が混ざることや、すぐ喜べない気持ちは相談してよい内容です。妊娠の経過は産科等で確かめながら、暮らしの変化や期待への重さも話せます。気持ちを整えてから健診へ行かなければならないわけではありません。
「望んでいた」と「今つらい」は、両方話せる
妊娠が分かったときに喜んだのに、体調の変化や仕事を続けられるかという心配が大きくなることがあります。周囲のお祝いへ明るく答えるうちに、怖いことを言うと感謝が足りないと思われそうで、話す相手を失う場合もあるでしょう。今の気持ちだけで、これから親になる自分を採点しなくてかまいません。
NHSは妊娠中にも不安やうつなどの不調が生じること、医師や助産師へ気持ちを伝えて支援につながれることを案内しています。[1] 「妊娠しているなら心配するもの」とまとめず、どれくらい困っているかを話せます。一方、心配があるだけで病気と決まるものでもありません。
喜びと戸惑いを一つにまとめようとすると、どちらかを隠す必要が出てきます。「妊娠はうれしいです。でも、自分の体を自分で動かせない感じが怖いです」のように、別の文にすると、何について支えがほしいかが見えやすくなります。不安を胎児への害と結びつけて、自分をさらに責める必要はありません。
体の状態を知りたいのか、先の生活を考えたいのか
説明用の例です。通勤中につらくなることが増え、夜になると出産後の働き方まで考えて眠れない人がいます。「不安です」の中には、今の体調が心配、明日の通勤を変えたい、将来の仕事を失いたくないという異なる問いが含まれています。全部を今夜の考えごとで解決しようとすると、結論が出にくくなります。
体調については、いつ、どんな症状があり、食事や水分、仕事へどう影響しているかを産科等へ伝えます。新しい症状や急な強い不調は、心理的なものと自己判断せず、医療機関に確認してください。次の健診まで待ってよいか迷うこと自体も、連絡して確かめられます。
医療上の説明が得られても、通勤や家事がつらいままなら、実際の用事や勤務条件の調整が別に必要かもしれません。こども家庭庁の妊娠に関する情報でも、保健師・助産師等への相談や、心の不調を医療者へ伝えることが案内されています。[2] 診察で聞きたいことと生活で頼みたいことを分けると、相談相手を選びやすくなります。
先のすべてを決める前に、今の負担を一つ
先ほどの例なら、出産後に何年働くかを決める前に、「今週の通勤で、どの区間が難しいか」を話せます。家族へは「もっと理解して」だけでなく、「帰宅後の食事の用意を、買い物からお願いしたい」と、今手放したい用事を具体的に伝える方法があります。頼む準備や指示まで一人で抱えている場合は、その負担も含められます。
仕事についての医学的な配慮は主治医等に、職場で使える制度や実際の勤務調整は人事や正式な窓口へ確認します。家族や親しい同僚の体験は参考になっても、自分の体調で何が安全かを代わりに判断してもらうものではありません。制度の利用条件は雇用状況等によっても異なるため、確認したい内容を窓口へ渡せます。
頼れる人がいない、関係が悪くて話せない、仕事を失うのが怖いといった事情は、本人の工夫の不足ではありません。地域の母子保健等へ、「家で支えてもらえる人がいない」「相談へ行く時間も取りにくい」と伝えられます。支援先を自分で選び切れない場合は、どこにつながればよいかから尋ねてかまいません。
情報を探すほど怖くなるときは、知りたい問いを小さくする
体験談を読んで安心できることもありますが、自分とは違う経過まで予測しようとして、検索を終えられなくなることがあります。情報を見ないように自分を厳しく管理するより、「今日知りたかったのは何か」「医療者へ聞く必要があるのはどこか」を分けてみます。
例えば、受診で確認したい症状があるなら、その質問を短く残し、検索で結論を確定しようとしなくてよいのです。周囲から情報を次々送られるのが重い場合は、「今は担当の医療者へ確認するので、新しい体験談は送らずにいてもらえると助かる」と頼む言い方も考えられます。安心のためにしている行動が負担になっていることも、相談できる内容です。
すでに精神科等で治療を受けている場合は、妊娠を担当医へ知らせ、産科との連携を相談します。NHSも、妊娠が分かった後に処方薬を自己判断で中止せず、医師へ相談するよう案内しています。[1] 妊娠したから今までの支えを全部やめなければならない、と一人で決めなくてかまいません。
健診の短い時間でも、自分の気持ちから始められる
「赤ちゃんの経過だけでなく、自分の不安も相談したいです」「家族がいると話しにくいので、一人で話せる時間はありますか」と、最初に伝える方法があります。うまく説明できなければ、睡眠や食事、仕事で難しくなった一場面から話せます。聞かれることが多くて分からなくなった場合も、一つずつ説明してほしいと頼めます。
落ち込みや不安で暮らしを保ちにくい、眠れない・食べられない状態が続く場合は、我慢せず医療者へ伝えてください。[1][2] 自分の安全を保てないほどつらい場合は、通常の予約を待たず、身近な人や医療機関に今の状態を知らせて助けを求めます。
心理相談では、期待される親の姿との違い、仕事や家族関係への迷い、喜べないことへの罪悪感を話せます。ALVARAの個人相談は18歳以上が対象で、妊娠の診察や処方、救急対応は行いません。医療で確かめることと、自分の言葉で気持ちを話す時間を両方持つ使い方ができます。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。