部屋が片づかず困っているときは、全部捨てる覚悟を決めてからでなくても支援を相談できます。物を手放す難しさ、作業する力や時間、家で使えなくなった場所、安全の問題を分けて考えます。片づかないことだけで、性格や一つの病気を決めることはできません。
見た目より、暮らしの何が止まっているかを見る
人を呼べない、郵便を開くのが怖い、必要な薬を見つけられない。困りごとには、物の量だけでなく、そのためにできなくなる用事や、誰にも頼めなくなる負担があります。「きれい好きではない自分」を責める前に、今の生活のどこが難しいかを具体的にできます。
説明用の例です。食卓に郵便や衣類が積み重なり、食事は毎回、床の空いた所で済ませる人がいます。捨てる物を選ぼうとすると、使うかもしれない、確認漏れが怖い、思い出があるという気持ちが重なり、一枚も動かせません。この場合、単に清掃の時間を増やすことと、判断の負担を扱うことは違う課題です。
NHSは、物を処分する難しさや生活への影響を伴う「ためこみ症」の説明をしています。[1] ただし、この記事を読んで自分がその病気だと分類するものではありません。身体がつらく動けない、気分が落ち込み用事が止まる等の背景もあり、個別に確かめる必要があります。[2]
安全に関わる問題は、片づけの決心と分けて相談する
出入口を通れない、火気の近くに物が積まれる、積んだ物が崩れそうなどの場合は、見た目を整えることより安全の確認が先になります。英国の医療機関の案内も、火災時の避難、転倒や積み重ねた物の崩落等の危険を指摘しています。[2]
危険な場所に一人で入り、大きな物を無理に動かすことを勧めるものではありません。実際に火や煙がある、倒れた物で動けないなど緊急の危険があれば、安全な場所と消防・救急等の援助が必要です。危険が差し迫っていなくても、自治体や支援機関へ、家の状態と必要な助けを相談できます。
子ども、介護が必要な人、一緒に住む人への安全も含めます。本人の気持ちを尊重することと、危険を放置することは同じではありません。誰がどの問題を確認し、何から支えるかを、状況に応じた専門の窓口と相談します。個別の行政手続きや権限を、この記事が判定することはできません。
「捨てる前」で止まるのか、作業そのものが難しいのか
片づけを助けてもらうときも、どこで止まるかで必要な役割が違います。何を残すか決められない、重い物を運べない、分類はできるが回収日が合わない、期限のある郵便が分からない等、具体的に伝えられます。
先ほどの例なら、「全ての物が不要なのではなく、郵便を確かめる途中で疲れて動けなくなる」と説明できます。相談先には、勝手に処分されるのが怖い、他人に部屋を見せるのは今は難しい、といった条件も話せます。どんな情報や訪問が必要かは、機関の説明を聞いて確認します。
写真を送るよう求められたら、何を判断するために必要か、誰が見るか、保管や別の説明方法を確かめられます。部屋の写真には氏名のある郵便物や家族の情報が写る場合もあります。恥ずかしさから急いで全て送るのでなく、相談に必要な範囲を聞いてから選べます。
家族や支援者が、本人に知らせず大量に捨てれば解決するとは限りません。医療機関の案内も、単に物を取り除くことと、難しさに対処する支援を区別しています。[2] 物の価値を外から決めるより、本人が何に困り、どんな助けなら受けられるかを確認します。
心理的な支援と、実務の支えを組み合わせる
心理相談では、判断を間違える怖さ、物にまつわる思い、恥ずかしさから人を避ける負担等を話せます。医療での専門的な評価や、ためこみを対象とする治療が必要な場合もあります。診療の入口と、訪問や清掃、生活上の支援を使う相談は、役割が異なります。
ためこみに対する認知行動療法の研究では、物を取り除くだけでなく、判断や問題解決等を含む複数の要素が検討されています。[3] ただし、小規模な研究であり、全ての片づけの困難へ同じ方法や効果を当てはめることはできません。この記事は、一人で物を捨てる練習の手順を示すものではありません。
自治体の福祉や保健の窓口には、「部屋が片づかず、生活に支障があります。何を相談できるか知りたい」と尋ねられます。利用できる制度、費用、対象は地域や条件で異なります。清掃業者等へ依頼する場合も、作業の範囲、処分の確認方法、料金を先に確かめます。心理相談の担当者が、その作業を全て請け負えるとは限りません。
最初の目的は、家を人に見せられることだけではない
「食事をする場所を使いたい」「必要な書類を確認したい」「寝る場所への通路を安全にしたい」といった、生活の目的から考えられます。全てを同じ日に決めたり、判断できない物を大量に処分したりすることを、支援の条件にしなくてかまいません。
支援を頼む言葉には、「触ってほしくない物がある」「処分の前に確認したい」「途中で疲れるので進め方を相談したい」も含められます。家族が困っている場合は、その人自身の負担や安全も別に相談できます。本人と家族のどちらかを責めるだけでは、生活上の問題が残ります。
説明用の相談例:「片づけたい気持ちはありますが、物を判断するところで止まります。今使えない場所と安全の問題を伝えるので、心理面の相談と実際の作業の助けを分けて考えたいです。」
急に判断や記憶が以前と変わった、強い気分の落ち込みや体調の不良で生活が回らなくなった場合には、片づけ方だけの問題として終えず医療へ伝えてください。人を呼べる状態にしてから助けを求めるのではなく、呼べないことも含めて相談できます。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。