子どもが学校のトイレを使えないとき|体調と環境を相談する

学校のトイレを使えないときは、慣れや我慢の問題にせず、体の状態と学校の条件を両方確かめられます。本人へ詳しく話すことを強制せず、困っている場面と必要な助けを小児科や学校へ相談できます。排泄は、皆の前で努力を評価する課題にしなくてよいのです。

家でできることが、学校でそのままできるとは限らない

暗さ、におい、流す音、扉の鍵、使い慣れない便器、人に待たれること。トイレには、家庭と異なる条件が複数あります。休み時間が短い、先生へ許可を求めるのが難しい、個室へ入るとからかわれるなど、設備以外の問題も考えられます。

説明用の例です。子どもは帰宅すると急いでトイレへ行き、学校では使わないと言っています。保護者が何度理由を聞いても「嫌だから」としか答えません。言葉にしにくい、知られたくない、いくつか重なっている場合もあるため、説明できないことだけで頑固さや不安の病名を決めません。

「汚いのが嫌? 音が怖い?」と選択肢を示すことが助けになる場合もありますが、全部に答えてもらう必要はありません。「今は言いにくいなら、どの先生と相談してよいかだけ決めよう」と、小さな範囲を選ぶこともできます。親が理解するために、本人の私的な体験を一度に聞き出さなくてよいのです。

我慢が続くときは、体調のことも医療へ

NIDDKは、便を我慢する背景に、公のトイレへの恥ずかしさや排便の痛み等があることを説明しています。便を長くとどめると硬くなり、出すのがさらに難しくなることもあります。[1] 学校で使いにくい条件と、体の痛みが関係し合う可能性がありますが、個々の原因は診察で考えます。

便が硬い、排便で痛がる、下着を汚す、腹痛があるといったことは小児科等へ相談できます。[1][2] 尿を出すと痛い、出しにくい、回数や体調が急に変わった場合も、心理的な我慢と決めず医療へ知らせてください。強い痛みや嘔吐、血便、ぐったりする等の変化があれば早い医療確認が必要です。[1]

NHSは、便秘で下着を汚すことが本人のわざとした行為ではないと説明しています。[2] 汚れの有無を意欲や清潔への関心の問題と決めないことが大切です。薬や浣腸の使い方、飲食の制限は家庭で独自に決めず、年齢や状態に応じて医療者へ確認します。

学校へは、使えるまでの一連の条件を相談する

先ほどの例で、教室の近くのトイレは人が多いと分かったなら、「静かな時間や別の場所で利用できるか」を学校へ聞けます。使える場所があるかだけでなく、そこへ行く許可、授業へ戻る方法、困ったときに誰へ知らせるかまで確かめると、本人が実際に使える支えを考えやすくなります。

トイレへ行く合図を皆の前で言いたくない場合は、先生と短い合図やメモ等を相談できます。どの方法なら本人に負担が少ないか、学校側に安全や運用上の条件があるかを確認します。別のトイレが必ず使えると約束せず、今の設備でできる調整と、さらに相談が必要なことを分けられます。

からかい、覗き、扉を開けられる等があるなら、本人がその場へ慣れる練習を優先しません。何が起きたかと現在の安全を、学校の担当者へ伝えます。言ったことが周囲へ広がるのを怖がっている場合も、相談に必要な情報です。本人に相手を説得させたり、証拠を集めさせたりする必要はありません。

知らせる人を絞り、着替えが必要なときの対応も決める

「先生方へ知っておいてもらう」と言っても、全員へ詳しい排泄の情報を知らせる必要があるとは限りません。担任、養護教諭等の誰が、どの場面で支援するために知る必要があるかを相談します。本人にも、誰へ何を話す予定かを分かる形で知らせます。

着替えが必要になる心配があるなら、置く場所、着替える場所、連絡する大人、持ち帰る袋などを具体的にできます。着替えが必要になってから皆の前で説明する形を避けられるか、学校と考えます。本人が困ったときにも、プライバシーを守って対応するための準備です。

家庭で毎日、使えたかを問い続けると本人が結果を報告する負担になる場合もあります。確認が必要なら、何のために何を知りたいかを小さくし、学校との連絡も利用できます。排泄できた回数を公に掲示したり、長時間座らせてできるまで待ったりする方法を、一律に勧めるものではありません。

行事や遠足で使える場所が変わる場合も、「家を出る前に済ませればよい」と本人だけへ準備を戻さず、利用できる時間と場所を学校へ確かめます。事前の下見等が可能かは施設や本人の希望も踏まえて相談できます。実施できる方法を確認する前に子どもへ約束せず、難しい場合の知らせ方も用意できると、当日に一人で判断する負担を考えられます。

助けが使えたかを、本人の実感も含めて振り返る

トイレを使えた日があっても、そのために水分を極端に減らしていたなら、条件を見直す必要があります。使えたかだけでなく、痛み、我慢した時間、先生に伝えられたか、帰宅後の体調等を、医療と学校へ分かる範囲で戻せます。記録の完成は相談の条件ではありません。

保護者も「いつまで続くのか」「先生へ何度も頼みにくい」と疲れることがあります。心理相談では、その心配や頼む言葉を整理できますが、便秘や排尿の診察、学校の設備変更を代わって行うものではありません。誰が担う課題かを分けると、親だけが解決する予定を増やさずに済みます。

ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の相談を対象とします。「学校では使わず帰宅後に痛がります。受診する内容と、学校へ頼む条件を整理したい」と伝えられます。本人の恥ずかしさをなくすことを急ぐより、話せる範囲で必要な助けを使えるよう相談していけます。

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参考・引用文献

  1. NIDDK. Symptoms & Causes of Constipation in Children
  2. NHS. Constipation in children

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。