夫婦で子育て方針が合わないとき

子育て方針が合わないとき、すべて同じ考えになることを目指すより、今ぶつかっている一つの場面を話す方が進みやすいことがあります。ただし、話すと脅される、暴力があるなど怖さが伴う場合は、二人での話し合いより先に、安全に個別相談できる先を使ってください。

夫婦の気持ちと、共同で育てる役割は重なりますが別です

子育ての研究では、大人同士が養育の役割でどう支え合い、仕事を分け、違いを扱うかを「共同養育(コペアレンティング)」として捉えます[1]。仲の良さだけの話ではなく、方針、実務の分担、相手の関わりへの支え、子どもを含む場面の進め方などに分けて見る考え方です。

説明用の例です。一方は就寝時刻を守りたく、もう一方は帰宅後に遊びたいと考えています。「厳しい・甘い」という方針の対立に見えても、毎朝一人で支度する負担と、子どもと過ごせない寂しさが隠れているかもしれません。話し合う必要があるのは、正しい親の理念だけではありません。

「寝る時間を守りたい」という希望を確認したうえで、平日の遊びを短くする、帰宅した人が寝る準備まで受け持つなど、実務の案も考えます。共同養育は家庭を採点する分類でも、二人の負担を機械的に半分にする決まりでもありません。概念を整理した研究枠組みであり、これだけで家族の結果が決まるという実証でもありません。

話す日は、話題と終わりを小さくする

疲れた夜に、勉強、食事、しつけ、将来までまとめて話す必要はありません。「今日は寝る前の遊びのことだけ、少し話したい」と始められます。相手の答えをすぐ否定せず、どこが心配かを聞き、自分が引き受けきれないことも伝えます。

「子どものため」という言葉だけで結論を押すと、反対する側が子どもを考えていないように聞こえることがあります。「私は、翌朝一人で支度をするのがつらいです」と自分の経験から話す方が、何を変えたいか伝わります。話せる相手であっても、興奮が強くなった日は休み、続きを別の日にしてかまいません。

「__について、私は__が心配です。今は__を一人で続けるのが難しいです。まず今週、__のやり方を一緒に考えられますか」

子どもの希望と、大人同士の対立を決める役は別です

子どもは「もう少し遊びたい」と希望を言えます。しかし、「お母さんとお父さん、どちらが正しい?」と大人の味方を選ぶ役を求められると、自分の希望とは別に、どちらかを傷つけないよう考えなければならなくなります。

希望は聞きつつ、最終的な話し合いと必要な負担は大人が引き受けます。「大人同士で考えている。あなたが決めなくて大丈夫」と伝えられます。子どもの前で争った後も、誰が悪いかの説明より、「怖い思いをさせた。あなたのせいではない」と話し直す道があります。

違う決まりにするときは、「もう一人の親が間違っていた」ではなく、「朝がつらいので今週はここを変える」と理由を伝えます。暴力や威圧がある場合は、共同で話せることを前提にせず、安全な個別相談を優先してください。

一人だけ相談しても、できることがあります

相手が相談を望まなくても、自分の不満、疲れ、言い出せない怖さを一人で話せます。相手を変えてもらうためではなく、自分が何を求め、どこまで担えるかを考える相談です。家庭の人手が足りない場合は、自治体の子育て窓口へ支援を尋ねることもできます。

ALVARAは18歳以上の方の個人の相談で、保護者ご自身の気持ちや伝え方を扱えます。二人同時の面談を希望する場合は、その形式に対応する相談先へ確認してください。

威圧、暴力、金銭や行動の強い制限があるときは、上の会話文を相手へ試すことを勧めません。内閣府のDV相談案内などから専門の相談先につながり、安全な連絡方法も相談できます。意見の違いとして我慢したり、もっと上手に話せば解決すると一人で背負ったりする必要はありません。

参考・引用文献

厚生労働省「家族で子どもと向きあうポイント」 / こども家庭庁「こども家庭センター」 / 内閣府「DV相談について」 / [1] Feinberg, M. E.(2003)The Internal Structure and Ecological Context of Coparenting: A Framework for Research and Intervention. Parenting: Science and Practice, 3(2), 95–131. DOI: 10.1207/S15327922PAR0302_01.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。