復職を考え始めて、ほっとする気持ちと怖さが一緒に出てくることがあります。「戻りたいのに不安がある」ことだけで、復職できないと決まるわけではありません。
外出できることと、仕事を続けられることは違う
休んでいる間に買い物へ行けるようになると、「もう一日働けるはず」と考えるかもしれません。でも仕事には、通勤、集中する時間、他の人とのやり取り、締め切りなどが加わります。休日に一度できたことと、何日も続けることは同じではありません。
例えば、午前中の外出はできるけれど、午後は横になっている場面を考えます。「外出できています」だけではなく、「帰宅後にどれくらい休んでいるか」も主治医に伝えると、今の暮らしが伝わります。できない自分を探すためではなく、無理なく続けるための情報です。
主治医が復職を考えられると判断することと、以前と同じ業務をすべて続けられることは、必ずしも同じではありません。診察で把握する体調と、実際の職場の仕事量や対人関係には、見える情報の違いがあります。厚生労働省の職場復帰支援でも、主治医の意見を、産業医等が実際の業務と照らして検討する流れが示されています。治療や回復の状態は主治医に、仕事をするうえで必要な配慮は産業医等に相談し、職場がその情報を踏まえて復帰の可否や勤務条件を検討します。
復帰日の前に、最初の一週間を聞いてみる
職場との面談では、「以前と同じように頑張れるか」だけでなく、初日に誰と会うのか、最初にどの仕事をするのか、残業や急な依頼をどうするかを聞けます。会社によって使える仕組みは異なるので、「短い勤務から始められるか」「仕事量をいつ見直すか」などを相談します。
「戻ったあとに無理をしてしまうのが心配です。つらくなったとき、どの窓口に連絡すればいいですか」と先に聞けます。産業医・保健師などの産業保健スタッフや人事労務窓口など、職場の体制に応じた復職支援の連絡先を確認します。体調や通院の情報は、誰へ何を伝えるかも確かめられます。主治医と職場が情報をやり取りするときも、本人への説明と同意を基本に、復帰支援に必要な範囲で行います。詳しい病状を同僚全員に知らせることが前提ではありません。
「迷惑をかけた」と感じて、早く取り戻したくなるとき
休んだ分を早く埋め合わせようとして、頼まれた仕事を断れなくなることがあります。お礼を伝えることと、初日から以前の量を引き受けることは別です。「助けていただいてありがとうございます。まずは決めた仕事量で慣らしていきたいです」と、感謝と今できる範囲を一緒に伝える方法があります。
周囲の視線が気になる場合、最初に何と挨拶するかを短く考えておくだけでも役立つことがあります。詳しく話したくなければ、「お休みをいただきました。よろしくお願いします」だけにする選び方もあります。説明しなければ受け入れてもらえない、と自分に課さなくてかまいません。
計画どおりに進まなかったら
復帰の計画は、初日を迎えるためだけでなく、戻った後に続けられるかを確かめるためにもあります。短時間ならできた仕事が、何日か続くと睡眠や集中へ響く場合もあります。反対に、最初の緊張が強くても、説明や支えが得られて過ごしやすくなることもあります。一日だけの調子で成否を決めず、勤務時間や担当をいつ振り返るかを職場と話します。
体調の変化を知らせるのは、復帰できなかった証拠を集めるためではありません。計画を安全に更新するためです。心理相談では、その情報を職場に伝える怖さや、予定を変えると自分の価値が下がるように感じる気持ちを扱えます。
予定を変えるときに、助けを借りる
復帰後に疲れが強い、眠りが崩れる、緊張が続くときは、我慢して予定をこなすより、主治医や職場の相談窓口へ早めに知らせます。治療については主治医に相談し、仕事量や勤務時間は、医療側の意見も踏まえて復職支援の窓口と見直します。予定を変えることは、これまでの休養が無駄だったという意味ではありません。
心理相談では、再び休むことへの怖さや、同僚にどう思われるかという不安を話せます。ただし、心理職だけで復職の可否を判断するものではありません。医療と職場の復帰支援を土台にしながら、「不安をなくしてから戻る」以外の進み方も考えていけます。
参考資料・引用文献:厚生労働省「こころの耳・職場復帰支援」
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
