子どもの発達が気になるとき、子どもの相談と、保護者自身の不安を話す相談は、両方使ってかまいません。診断や今後の見通しがまだ分からない時期にも、毎日の困りごとを一人で抱えずに話せます。
診断を探す問いと、暮らしを助ける問いは違います
説明用の場面です。園で集まりへ入りにくいと聞いて検索し、家でも遊び方や視線を何度も確かめるようになりました。知識が増える一方で、「これは何の特徴か」という問いが続き、好きな遊びを一緒に楽しみにくくなることがあります。
診断は、発達の経過や複数の情報を専門家が検討するもので、短いチェック項目で決まりません。一方、「長い説明のどこで分からなくなるか」「何があると少し楽か」は、今の生活を助けるために窓口へ相談できます。診断の問いを一度専門家へ預け、毎日のすべてを確認の場にしない道があります。
心配が出るたび検索をやめられない、遊んでいる時間まで悪い結果を考えること自体も、保護者の相談で扱えます。調べるのを一律に禁止するより、今知りたいことと、自分の不安の強さを分けて見てもらえます。
「気にしすぎ」と言われても、心配は相談できます
家族から「そのうちできる」と言われ、相談したい自分だけが焦っているように感じる場合があります。反対に、周囲から受診を勧められ、気持ちが追いつかないこともあります。相談へ行くかを決める前に、今どんなことで困り、何を知りたいかを話せます。
「診断してほしいかどうかはまだ迷うけれど、毎朝の着替えをどう助けたらよいか知りたい」といった始め方もあります。乳幼児なら保健師や自治体の発達相談、身体も含めて確かめたいなら小児科などへ相談できます。今は気持ちを聞いてほしいという希望も、窓口へ伝えてよいものです。
家庭と園の報告が違っても、一方を消さなくてよいのです
「園ではできています」と言われると、家庭で困るのは親のせいでは、と感じるかもしれません。しかし、人数、指示の長さ、助ける人、時間帯が違えば、同じ子どもが使える力も変わります。園でできることが、家庭のつらさを打ち消すわけではありません。
子どもの精神健康を複数の人から捉える341研究のメタ解析では、保護者、教師、本人等の報告は必ずしも一致せず、報告する組み合わせや、何をどう測るかでも違っていました[1]。違いには、その場での行動の変化も、見えやすいことや見方の違いもあり得ます。「全て環境の差だ」「親が正しく先生は間違いだ」とも決めません。
そのため、「家では夕方に止まりやすい」「園では次の予定を絵で知らせると動ける」と、場所と助けを具体的に確かめます。報告を一つにそろえるより、どこで何が助けになるかを知るための相談です。保護者が園と同じ環境をすべて家庭に作る必要はありません。
診断の有無で、子どもとの時間を全部変えなくてよい
専門家から説明を受けることは、必要な支援を知る助けになります。一方で、すぐに納得し、前向きに受け止めなければならないわけではありません。安心、戸惑い、悲しさなど、違う気持ちが同時に出ることも話せます。
いま好きなこと、安心する相手、楽しんでいる遊びは、診断の説明が加わってもその子の大切な一部です。得意なことを苦手の訓練に結び付けるだけでなく、そのまま楽しむ時間を持てます。家族へ何をどう伝えるかも、一度で決めなくてかまいません。
親自身の生活も、相談の中心にできます
通院や園の連絡を全部担い、眠る前まで情報を探しているなら、「誰が子どもを支えるか」だけでなく、「誰が親を助けるか」も考えられます。自治体へ人手の支援を尋ねるほか、親の気持ちだけを話す相談も使えます。
ALVARAは18歳以上の保護者ご自身が対象です。子ども本人の診断・検査を行うのではなく、心配が続くつらさ、家族との意見の違い、毎日の関わり方を話せます。「子どもの話をすると、自分を責める言葉ばかり出ます」と始めてもかまいません。子どもの急な体調変化や安全への心配は、気持ちの相談を待たず医療や適切な窓口へつないでください。
参考・引用文献
発達障害ナビポータル「乳幼児期のお子さんについて相談したいとき」 / 厚生労働省「自分や家族を責めない」 / 発達障害情報・支援センター「支援につなげる(保育・学童保育)」 / [1] De Los Reyes, A., Augenstein, T. M., Wang, M., Thomas, S. A., Drabick, D. A. G., Burgers, D. E., & Rabinowitz, J.(2015)The Validity of the Multi-Informant Approach to Assessing Child and Adolescent Mental Health. Psychological Bulletin, 141(4), 858–900. DOI: 10.1037/a0038498.
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
