転職するか今の職場に残るか、まだ決まっていない段階でも相談できます。どちらが正しいかを急ぐ前に、いま変えたい働き方や暮らしから考えてみます。
「何がしたいか」より、変えたい一日から
やりたい仕事を聞かれても浮かばないときは、今の暮らしのどこを変えたいかを考えてみます。例えば、帰りが遅く夕食を落ち着いて食べられない、評価の基準が分からず常に気を張っている、仕事の話を家でも引きずっている。職業の名前より、日々の困りごとのほうが言葉にしやすい場合があります。
説明用の場面として、仕事内容は好きでも、急な出勤で家族との予定を何度も変えている人を考えます。この場合、「好きな仕事を捨てるか」という問いだけでは決めにくいかもしれません。「予定の立ちやすい働き方をしたい」と言い換えると、今の職場で確かめることと、別の仕事を探すときに聞くことが見えてきます。
迷いには、情報がなくて分からない部分と、大切なもの同士がぶつかっている部分があります。勤務時間が分からないなら問い合わせで情報を増やせますが、収入と家族の時間のどちらを今優先するかは、情報だけでは決まりません。調べ続けても答えが出ないときは、情報が足りないのか、何かを選ぶと別の大切なものが減るつらさなのかを見ます。
まだ知らないことは、決断より前に確かめる
新しい会社なら人間関係が楽になるかもしれない、未経験の分野でやっていけないかもしれない。期待にも心配にも、まだ確かめていない部分があります。「求人票を読む」「働いている人の話を聞く」「今の職場で担当を変えられるか尋ねる」など、決断より手前でできることがあります。情報収集が止まらず疲れてきたら、今週は一社だけ見るなど、終わりを決める方法もあります。
選択肢には、今の職場を続けながら働き方を変える場合も含めます。現職を何も変わらない基準にし、新しい職場だけを理想と不安で見ると、比較が偏ることがあります。今の仕事で変えられること、新しい場所でも残るかもしれない負担を、それぞれで確かめます。
話を聞く・見学することと、退職や入社の決定は別です。後で戻せる小さな行動から情報を得る方法もあります。ただし、問い合わせが現在の立場に影響する心配など、探索にも不利益があり得るときは、相談する相手や伝える範囲を選びます。
両方大切なときは、どこを変えたいかを考える
収入も家族との時間も大切なまま、今の暮らしに合う働き方を考えられます。先ほどの場面なら、「暮らしを保つために、収入について守りたい条件は何か」「急な出勤がどこまで変われば、この仕事を続けたいか」を考えます。現在の職場で休日の担当を変えたいのか、収入などの条件も確かめながら予定を立てやすい仕事を探したいのかによって、次に尋ねる内容は変わります。
希望を両方満たす選択肢が見つからないときは、選ばなかった側が惜しい気持ちも残ります。心理相談では、「家族の時間を増やしたいけれど、好きな仕事から離れるのは寂しい」のように、決めたい気持ちと手放しづらさを同時に話せます。迷いが残ることを、調べ方の不足だけで説明しなくてかまいません。
周囲の期待と、自分の気持ちが重なるとき
家族から「安定したところを辞めないで」と言われると、自分でも同じ心配があるだけに、希望を話しにくくなることがあります。すぐ説得しようとせず、「辞めると決めた話ではなく、今の働き方がつらいことを聞いてほしい」と、いま話したいことを先に置く方法があります。
心理相談では、後悔が怖い、期待を裏切りたくない、何を選んでも自分を責めそうといった気持ちも話せます。担当者が向いている仕事を決めるのではなく、何が選びにくさを強めているかを一緒に考えます。具体的な仕事の比較より前に、何を大切にしたいか自体が分からないときは、自分らしさや将来を考える記事にも別の入り口があります。
仕事の情報がほしいとき、気持ちを話したいとき
求人、職業訓練、働き方の情報が必要なら、ハローワークやキャリアコンサルタントなどが相談先になります。自分への自信や家族との関係が迷いを大きくしているなら、心理職と話すことが役立つ場合もあります。同じ人が全部を解決する必要はなく、聞きたい内容に合わせて使い分けられます。
眠れず判断が難しいほど疲れているときは、決断の期限を自分だけで作るより、まず医療機関などへ体調の変化を相談してください。今日の持ち帰りが「辞める・残るの答え」でなく、「次に確かめる条件や、手放しづらいものが分かった」でも、考えるための一歩になります。
参考資料・引用文献:厚生労働省「キャリアコンサルタントを探すには?」 / 厚生労働省「カウンセリングについて」
記事のつくり方
記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。
このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
