子どもの不安が強いときは、「大丈夫」と言い切ることより、何が怖いのかを受け止め、日々の負担を軽くする助けを探します。泣く、怒る、お腹が痛い、何度も確かめるなど、表れ方はさまざまです。
予定が分からない心配には、分かる情報を
例えば、校外学習を前に子どもが「バスに乗り遅れない?」「帰れなくならない?」と繰り返し聞く場面を考えます。集合場所も帰る時刻も知らないなら、まず必要なのは予定を知ることかもしれません。分かる予定を一緒に確かめ、「困ったらこの先生へ聞ける」と頼れる人も伝えられます。
同じ質問に見えても、予定が分からないための質問と、分かった後も「絶対に大丈夫」という保証が欲しくなる確認では、助け方が違います。聞く回数だけを数えるより、何がまだ分からないのかを一度確かめます。
予定が分かっても、実際につらいことは残っていないか
バスの時刻を知っても乗れないなら、からかわれる子と同じ席になる、車内の音がつらい、気分が悪くなったとき助けを呼べないなど、現実の負担があるのかもしれません。本人の話を聞き、座席や当日の助けについて担任や養護教諭に確かめられます。静かな席や休める場所が必要なのに、「不安に慣れるため」と取り上げることは別の問題です。
ここでの配慮は、本人が望む活動へ関わりやすくする助けです。例えば席を変えることで参加しやすくなるなら、その助けを使ってかまいません。話すこと自体が難しい日は、聞き出そうと続けず、「今は答えなくていいよ」と区切れます。本人の話と学校で分かることを、少しずつ合わせて考えます。
「絶対」を何度確かめても、安心が続かないとき
一方、予定や頼れる人を確かめても、「事故は絶対にない?」「絶対に帰れる?」と確認が長く続き、家族も毎晩眠れなくなることがあります。「初めてで怖いんだね」と気持ちは受け止められますが、未来の全てについて保証することはできません。必要な情報や実際の負担を確かめることと、不確かなことを全てなくそうとすることを分けて考えます。
家族が予定を取り消す、代わりに全て答えるなど、不安を避けるため暮らしを変える対応は、研究で「家族による適応・巻き込まれ(family accommodation)」として扱われます。愛情が悪いという意味ではありません。その場では楽になっても、できる活動や家族の生活が次第に狭くなる場合を、専門的な支援で考えるための見方です。
親への専門治療の研究は、家庭だけの対応手順ではありません
7〜14歳で不安症のある子ども124人の無作為化試験では、親を支えながらこうした対応を見直す専門治療SPACEが、子どもへの認知行動療法に対して、定めた基準で劣らない結果でした[1]。これは治療者が進めるプログラムの結果で、親が確認に答えなければ治る、という研究ではありません。
確認を急に打ち切ったり、怖がる子どもを無理にバスへ乗せたりする手順ではありません。実際の負担への配慮と、不安への専門的な支援は併用することもあります。生活への影響が大きいなら、小児科や子どものこころを診る医療機関の医師・心理職に、家庭と学校で起きていることを伝えて進め方を相談できます。
子どもの不安について医師・心理職へ伝える例:「校外学習の予定は確かめましたが、毎晩『絶対に帰れるか』の確認が続き、眠れません。学校の席や助け方は担任と相談しています。家での返事や、不安への支援を相談したいです」
眠りや食事、通学に響いているなら相談を
不安で眠れない、食べられない、登校や外出が難しい状態が続くときは、小児科や子どものこころを診る医療機関へ相談できます。身体の痛みや息苦しさは、不安のせいと自己判断しないでください。急な強い症状や、安全を保てない心配は、通常の予約を待つ場面と分けて医療へつなぎます。
学校での出来事や過ごす場所は担任や養護教諭に、学校生活での不安はスクールカウンセラーにも相談できます。問い合わせでは「最近、__が心配で、__ができなくなっています」と、生活で起きていることを伝えれば始められます。詳しい原因は分からなくても大丈夫です。
ALVARAでは18歳以上の保護者ご自身が、心配を受け止め続ける疲れや声かけの迷いを話せます。子ども本人の診断・治療の代わりではありません。親がいつも落ち着いていられることを、相談の前提にしなくてかまいません。
参考・引用文献
厚生労働省「家族で子どもと向きあうポイント」 / 発達障害ナビポータル「医療機関への受診について」 / 発達障害情報・支援センター「支援方法の学習」 / [1] Lebowitz, E. R., Marin, C., Martino, A., Shimshoni, Y., & Silverman, W. K.(2020)Parent-Based Treatment as Efficacious as Cognitive-Behavioral Therapy for Childhood Anxiety: A Randomized Noninferiority Study of Supportive Parenting for Anxious Childhood Emotions. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 59(3), 362–372. DOI: 10.1016/j.jaac.2019.02.014.
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
