眠れないことが心配なとき

眠れない夜が続くと、眠りそのものが心配になることがあります。睡眠時間だけで良し悪しを決めず、日中の眠気や疲れ、暮らしへの影響も合わせて見ていきます。

「早く眠らないと」が、夜の用事になっていないか

眠ろうと時計を見続け、残りの時間を計算してしまうことがあります。説明用の場面として、翌朝に大事な予定があり、「あと六時間しかない」と何度も確認する夜を考えます。布団の中にいても、頭は翌日の失敗を予測する仕事を続けているような状態です。

そんなとき、眠るための新しい工夫を次々足すより、時計を見えないところへ置く、寝る直前に仕事の連絡を見ないなど、気を張るきっかけを減らす方法があります。すぐ眠れなくても、その工夫が失敗とは限りません。

眠る時刻は、意志だけでは動かせない

睡眠には、起きている時間に伴って高まる眠りの必要性と、昼夜のリズムを刻む体内時計の両方が関わります。早く横になれば、その分早く眠れるとは限りません。厚生労働省の睡眠ガイドは、朝や日中の光、寝る前の光、生活の時刻などを含めて睡眠を考えています。夜だけ何とかしようとするより、一日の流れを見る理由がここにあります。

また、仕事や家事のために眠る時間そのものが足りない場合と、時間は取れても眠れない場合は、まず取り組むことが違います。前者を「寝つきの工夫」だけで埋めることは難しく、用事を減らしたり助けを借りたりして、眠れる時間を確保する必要があります。

生活の中で試すなら、一つから

朝の起きる時刻が大きくずれているなら、無理のない範囲でなるべくそろえ、朝に光を浴びることから試せます。夕方以降のカフェインや、寝酒が眠りに影響していないかを見直すことも、厚生労働省の睡眠ガイドで紹介されています。飲酒は、寝つけた感じがあっても、よい睡眠のための方法とはいえません。

眠れないまま長く床で頑張っているなら、眠気が戻るまで、薄暗い落ち着ける場所で静かに過ごす方法もあります。転倒や体調への心配がある場合は、安全を優先してください。ここで自分に厳しい就床時刻や睡眠時間の制限を課す必要はなく、本格的な治療は専門家と相談して進めます。

受診で話すときは、翌日のことも伝える

「何時間眠れたか」を正確に測れなくても相談できます。寝つきにくいのか、途中で目が覚めるのか、朝早く目覚めるのかに加え、「午前中に眠くて仕事に集中できない」「移動中に強い眠気が出る」といった困りごとを伝えます。スマートフォンの計測値をそろえることは必須ではありません。

強いいびきや、呼吸が止まると言われたこと、脚の不快感、痛み、夜間の頻尿、飲んでいる薬なども、医師に知らせたい情報です。眠れなさを心の問題だけと決めないために、体の状態も一緒に診てもらいます。強い眠気がある日は、運転や危険な作業を無理に続けないでください。

眠りを確かめ続けることが負担になる場合は、記録の細かさも相談できます。毎分の正確さより、寝起きの大まかな時刻、昼間の眠気、生活上の困りごとが治療の手がかりになります。反対に、交替勤務などで時刻がずれやすい人には、その働き方に即した助言が必要です。一般向けの生活習慣を守れないことを、本人の努力不足と考える必要はありません。

心配が夜に集まるときは

日中には置いておけた悩みが、静かな夜になると一度に浮かぶことがあります。心理相談では、眠れないことへの焦りや、頭から離れない仕事・家族のことを話せます。寝る前に考え続けるより、昼間に誰かと扱う時間を作る使い方もできます。

生活を見直しても眠りの悩みが続く、日中に支障がある場合は、医療機関へ相談してください。処方薬や市販薬を自己判断で増減したり、他の人の薬を使ったりせず、今の眠り方を伝えて一緒に考えます。

参考資料・引用文献:厚生労働省「睡眠対策・健康づくりのための睡眠ガイド」

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。