ソリューション・フォーカスト・アプローチとは

ソリューション・フォーカスト・アプローチとは

解決焦点化短期療法(solution-focused brief therapy:SFBT)は、本人が望む未来、既に起きている例外や小さな変化、利用できる資源を具体化し、解決につながる行動を協働して見いだす心理療法です。de Shazer、Bergらの臨床から発展しました。[1]

つらい経験を聞かない方法でも、前向きに考えるよう励ます技法でもありません。何が変われば相談が役立ったと言えるかを、本人の言葉と生活場面から明確にしていく点に特徴があります。

問題の原因と、解決に役立つ情報を分けて考える

SFBTでは、問題の成り立ちを完全に説明できてからでなければ変化できない、とは考えません。問題が小さかった時期、何とか続けられていること、本人や周囲が既に行っている工夫に注目します。[1] ただし、アセスメントや安全性の評価が不要になるわけではありません。

例外は「困っていないのだから大丈夫」という証拠ではなく、何が違っていたかを具体的に検討する手がかりです。たまたま負荷が少なかった日と、再現できる対処が使えた日を区別します。例外を本人の努力だけに帰属させず、周囲の支えや環境の条件も調べます。

望む未来を語りにくい人にも、理想像を無理に求めません。「何がこれ以上悪くならなければよいか」「今残しておきたいこと」から目標を考えることもできます。セラピストが望む変化を本人の目標に置き換えないことが、協働の基盤です。

質問は、本人の経験を具体化するために用いる

望む未来を尋ねる質問、例外を尋ねる質問、数値で現状を表すスケーリング、困難の中で持ちこたえていることを尋ねる質問などが用いられます。専門的には質問の文型を覚えるだけでなく、返ってきた答えを本人の生活の細部へつなげることが重要です。[1]

たとえば「少しよくなる」を、朝の支度、家族との会話、仕事の終わり方など、本人と周囲が気づける変化に具体化します。数値が一段上がったら何が違うかを話すことにも意味があります。ただし、本人の主観的なスケールを標準化された尺度や他人と比較できる点数として扱いません。

次の面接では、変化したこと、変化しなかったこと、負担が増えたことを確認します。小さな変化を重視することと、重大な問題を小さく評価することは別です。改善が見られなければ、同じ質問を続けるのでなく、目標、支援の強度、他の介入の必要性を見直します。

大きな効果量は、対照条件と一緒に読む

Vermeulen-Oskamらの2024年のメタ解析は、実験・準実験を含む72研究を集約しました。通常ケア(TAU)と比較した効果は、介入なしの対照と比較した効果より小さく、臨床集団と非臨床集団などでも推定値が異なりました。[2]

この違いから、全体の効果量だけを取り出して「他の療法より強力」と評価することはできません。無作為化の有無、対象の困難、対照群が受けている支援、測定項目、実施形式を確認する必要があります。研究間の関連であるモデレーター分析から、個人にどの形式が優れるかを直接決めることもできません。

2025年のアンブレラレビューは25の系統的レビューを整理し、複数の領域で肯定的な結果を報告しました。一方、著者らは、方法と報告の改善や、同じ効果をより短く得られるかの検証を求めています。[3] 複数のレビューが同じ一次試験を含むことにも注意が必要です。

「短期」と効果・安全性の証明を混同しない

短期療法という名前は、誰もが数回で解決する保証ではありません。本人の目標の達成、症状軽減、生活機能、継続支援の必要性を別々に判断します。他療法より短いと結論するには、同程度の対象と転帰を、適切な比較で検証する必要があります。[3]

また、害を示す研究が見つからないことと、害がないことは異なります。悪化、中断、必要な支援への接続の遅れ、本人が理解されなかったと感じる経験も評価する必要があります。希望や強みに焦点を当てることで、喪失や怒りを語りにくくしていないかを確認します。

目標達成が主観的な尺度だけで評価される場合は、症状や実生活の変化との対応を確かめます。セラピストに合わせて「よくなった」と答えていないか、本人が否定的な感想を安全に述べられるかという関係上の条件も大切です。

専門家が保つべき評価と支援の責任

自傷・自殺の切迫、暴力、虐待、重い身体症状、躁状態や精神病症状が疑われる場合、未来の目標の話だけで支援を完結させません。必要な医療的評価、安全確保、関係機関との協働を行います。原因を詳細に分析しないという姿勢と、危険を評価しないことは別です。

現実の環境に大きな問題があるときは、本人の資源を探すことと、環境を変える支援を両立します。小さな変化を本人にだけ求め、過重な労働や差別、家族内の支配を温存することは避けます。

学術的には、SFBTの対話を構成する臨床モデル、パッケージとしての効果、どの会話要素が変化を生むかという機序を分けて捉えます。専門家の熟練は、質問を素早く重ねることより、本人の答えに応じて焦点を調整し、研究と経過の両方から支援を見直すことに表れます。

参考文献

  1. de Shazer S, Berg IK, Lipchik E, et al. (1986). Brief therapy: Focused solution development. Family Process, 25(2), 207–221. doi:10.1111/j.1545-5300.1986.00207.x.
  2. Vermeulen-Oskam E, Franklin C, Van’t Hof LPM, et al. (2024). The current evidence of solution-focused brief therapy: A meta-analysis of psychosocial outcomes and moderating factors. Clinical Psychology Review, 114, 102512. doi:10.1016/j.cpr.2024.102512.
  3. Żak AM, Pękala K. (2025). Effectiveness of solution-focused brief therapy: An umbrella review of systematic reviews and meta-analyses. Psychotherapy Research, 35(7), 1043–1055. doi:10.1080/10503307.2024.2406540.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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