マインドフルネスとは

マインドフルネスとは

マインドフルネスは、今起きている体験へ注意を向け、その体験に好奇心や開かれた態度で接する過程として心理学的に研究されています。注意を向ける技能、日常的な傾向、それを育てる練習、臨床プログラムは関連しますが、同じものではありません。[1]

「頭を空にする」「いつも落ち着く」という状態だけを目標にはしません。専門的には、何の目的で、どのプログラムを、どの対象に用い、何が変化したかを明確にして評価する必要があります。

注意と態度の両面から捉える

Bishopらの操作的定義は、現在の体験を捉えるための注意の自己調整と、好奇心・開放性・受容を伴う体験への向き合い方という二成分を提案しました。[1] 注意を内側に集中させるだけでは、この定義を十分に表せません。

臨床で想定される変化には、思考に巻き込まれていることへの気づき、反応する前の間、つらい体験に対する二次的な自己批判の変化などがあります。ただし、これらは概念上の説明と、媒介として実証された過程を区別して扱います。脳画像に差があるという研究だけで、個人の回復を説明したことにはなりません。

受容は感情の好き嫌いをなくすことではなく、その瞬間の体験の存在を認める態度として理解できます。現実の危険を容認したり、問題への対応を止めたりすることとは異なります。不快を感じた自分をさらに責めるようなら、練習の目的と負荷を見直す情報になります。

MBSR、MBCT、日常の短い練習を区別する

マインドフルネスに基づくストレス低減法(MBSR)とマインドフルネス認知療法(MBCT)は、一定の構成、指導、練習と対話を含むプログラムです。MBCTは認知療法の要素と組み合わされ、反復性うつ病の再発予防で研究が進んできました。[2][3]

同じ「マインドフルネス」と呼ばれていても、アプリの数分の音声、職場の講習、宗教的な修行、医療的な評価を伴うMBCTでは内容も支援体制も違います。構造化プログラムの試験結果を、これらすべてに当てはめることはできません。

研究や実践を評価するときは、対象となる人、プログラムの忠実度、指導者の訓練、家庭練習の扱い、併用される介入、中断や悪化への対応を確認します。実践時間の長さだけを成果の代理指標にせず、本人にとっての負担と得られた変化を別々に把握します。

症状軽減と再発予防の証拠は別に読む

Goyalらの系統的レビューでは、非特異的な能動対照条件と比べ、マインドフルネス瞑想プログラムに不安、抑うつ、痛みの小〜中程度の改善が認められました。アウトカムごとに証拠の確実性は異なり、幸福感の向上や他の有効な介入への優越を一律に支持した結果ではありません。[2]

Kuykenらが研究協力者の個人データを用いて行ったメタ解析は、反復性うつ病歴があり寛解又は部分寛解した成人を対象に、9試験、1,258人のデータを検討しました。60週間の再発予防についてMBCTを支持する結果でした。[3] これは、現在の抑うつが強いすべての人に短い瞑想が効くという証拠ではありません。

再発までの時間を扱う指標は、その時点の症状得点とも、再発した人数の単純な割合とも異なります。研究を紹介する際には、対象が急性期か寛解期か、対照が通常ケアか維持療法か、追跡期間はどれくらいかを併記します。薬の継続や中止については、こうした結果だけで個人判断せず主治医と検討します。

有害事象を「練習不足」として片づけない

瞑想の後に不安、抑うつ、知覚や認知に関する不快な変化が報告されることがあります。Fariasらの系統的レビューは、実験、観察、事例研究を含む多様な瞑想実践を対象に、有害事象を整理しました。[4] その統合頻度を、標準的なMBSRやMBCTを受ける一人ひとりの危険率として提示することはできません。

練習中の一時的な不快、持続的な症状悪化、日常機能の障害、練習との因果関係は分けて評価します。研究で有害事象が報告されていないことも、安全が十分確認されたこととは限りません。どのように尋ね、どの期間を追ったかによって検出は変わります。[2][4]

強い記憶の再体験、現実感の低下、眠れない状態、生活の悪化などが生じたら、負荷を増やすのでなく中断・調整と専門的評価を検討します。目を開ける、外界への注意を保つ、別の活動に切り替えるなどは調整の選択肢ですが、症状の原因を自己判断して続けるための代替策ではありません。

専門家が導入・評価するときの視点

導入前には、本人が期待する変化と、現在受けている支援や薬物療法、生活状況を確認します。気分、睡眠、身体症状、現実感の変化、トラウマ関連の反応について話せる関係を整え、同意のもとで方法を選びます。内面へ注意を向けることが難しい人にも、同じ練習量を求めない配慮が必要です。

経過評価では、マインドフルネス尺度の上昇だけでなく、症状、機能、再発、生活の質と有害な変化を追います。尺度への理解が練習によって変わる可能性もあるため、得点を「できている度合い」として単純に採点しません。

職場や家庭の過大な負担は、本人の注意の向け方だけでは解決できません。マインドフルネスを環境改善の代わりに用いず、必要な休養、医療、対人・社会的支援と組み合わせます。どの人にどの形式が合うかを検討し続けることが、効果の過大評価と過小評価の両方を避ける助けになります。

参考文献

  1. Bishop SR, Lau M, Shapiro S, et al. (2004). Mindfulness: A proposed operational definition. Clinical Psychology: Science and Practice, 11(3), 230–241. doi:10.1093/clipsy/bph077.
  2. Goyal M, Singh S, Sibinga EMS, et al. (2014). Meditation programs for psychological stress and well-being: A systematic review and meta-analysis. JAMA Internal Medicine, 174(3), 357–368. doi:10.1001/jamainternmed.2013.13018.
  3. Kuyken W, Warren FC, Taylor RS, et al. (2016). Efficacy of mindfulness-based cognitive therapy in prevention of depressive relapse: An individual patient data meta-analysis from randomized trials. JAMA Psychiatry, 73(6), 565–574. doi:10.1001/jamapsychiatry.2016.0076.
  4. Farias M, Maraldi E, Wallenkampf KC, Lucchetti G. (2020). Adverse events in meditation practices and meditation-based therapies: A systematic review. Acta Psychiatrica Scandinavica, 142(5), 374–393. doi:10.1111/acps.13225.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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