食べることで気持ちをしのいでいるとき|食行動の悩みを相談する

食べることでつらさをしのいでいるときは、「食べすぎを我慢できない」と責めるだけでは、必要な支えが見えにくくなります。食べる前後の苦しさ、止めにくさ、身体や生活への影響を、医療や心理相談で話せます。体重や食べた量が一定の基準になるまで待つ必要はありません。

食べた量だけでは、困り方は分からない

仕事のあと食べ続けてしまい、その間だけ考え事が止まる。後から「またやってしまった」と責め、翌日の食事が怖くなる。周囲からは普通に見えるため、自分は相談するほどではないと思う人もいるかもしれません。

摂食障害は、体重が低い人だけの問題ではありません。米国NIMHは、さまざまな体重や年齢、性別の人に起こり、外見上は健康そうでも重い状態のことがあると説明しています。[1] ただし、気分を紛らわせるために食べた経験が一度あるだけで、病気と決まるわけでもありません。

国立精神・神経医療研究センターの情報でも、食べる行動だけから病気かを見分けにくい面や、自分で制御できない感覚を伴う食行動が説明されています。[2] 自己診断のために回数や量を数えるより、本人がどれほど苦しく、何が生活を圧迫しているかを、そのまま相談できます。

身体の確認は、気持ちの相談と分けて必要になる

食べることの苦しさが中心でも、身体の状態を確かめることが大切です。とくに、食事を大きく制限している、食後に吐くことや薬を使う行動があるなどの場合は、体重だけでは分からない身体への影響があります。NCNPも、正常範囲の体重であっても検査が必要となることを説明しています。[2]

動悸やふらつき、強いだるさ、水分を取りにくいなどの症状も医療で伝えてください。急な強い症状や意識の異常があれば、通常の心理相談の予約を待たず、救急医療を優先します。「食べ方のせいだから仕方がない」と一人で判断しないことが大切です。

使っている薬やサプリメントなども、診察で話せる情報です。この記事では食事量、体重の目標、薬の使い方を指示しません。身体の状態や治療の段階により対応が異なるため、医師や必要な専門職と相談します。相談する前に食行動を直しておく必要はありません。

食べる直前だけでなく、一日の流れを見る

ここからは説明用の例です。忙しくて昼食を十分に取れず、帰宅してから食べ始めると止めにくくなり、その後に自分を責める夜を考えます。この流れでは、帰宅後の気持ちだけでなく、日中の食事を取れる条件や、休憩の不足も関わっているかもしれません。

「食べる前はどんな一日だったか」「その間に何をしのいでいたか」「食べた後にどう自分へ接したか」を分けると、単に意思を強くする以外の相談ができます。ただし、原因をストレス一つに決めたり、空腹があるから心理面は無関係と考えたりする必要もありません。

食行動が起きた日だけでなく、少し違った日も手がかりになります。誰かと食事をした日、仕事が早く終わった日などに違いがあれば、その情報を話せます。詳しい食事記録が新たな監視や負担になるなら、自己流で続けず、何をどの範囲で記録するかを担当者と相談します。

「埋め合わせ」を自分への罰にしない

食べた後に強い罪悪感が出ると、次は厳しく制限しよう、運動で取り返そうと考えることがあります。しかし、食べた自分を罰する方向へ計画を厳しくする前に、その行動も含めて専門家へ相談してください。制限と反動を含む難しさは、NCNPの摂食障害の説明でも扱われています。[2]

「よい食品・悪い食品」の一覧を増やすことが、今の苦しさを減らすとは限りません。この記事は減量や食事管理の指南ではありません。まず身体の安全を確かめ、食事への怖さや、やめたいのに止めにくい体験を、否定されずに話せる支援へつながることを考えます。

説明例なら、翌朝に「昨日食べたので今日は食べない」と一人で決めるのではなく、普段の食事の取れなさと帰宅後の行動を医療で伝えることができます。何をどの程度食べるかは、身体の状態を含めた専門的な助言の中で相談します。ここにある例を、自宅での治療手順として使う必要はありません。

相談では、恥ずかしさや知られたくなさも話せる

最初の言葉は、「食べる量を話すのが怖いです。でも、食べた後に自分を責めて生活がつらいです」で十分です。医療では身体の評価や診断、治療を、心理相談では気分のしのぎ方、人間関係、自己評価、支援を使う迷いなどを相談できます。身体の危険を心理相談だけで判断することはできません。

受診先が分からない場合は、地域の精神保健福祉センターなどに相談する方法があります。摂食障害全国支援センターの公式ページも、地域の相談や受診先探しについて案内しています。[3] 相談窓口には対象地域や担当範囲があるため、最新の公式案内を確かめてください。全国どの機関でも同じ対応と考えないことが大切です。

周囲に助けを頼むなら、食べた内容の監視より、「受診先を探すのを手伝ってほしい」「体型へのコメントを控えてほしい」と具体的に言える場合があります。家族と安全に話せない事情や、一人で受診したい希望も専門先に伝えられます。家族へすべて話すことを相談開始の条件にしなくてかまいません。

仕事や家計の都合で食事の時間や内容を選びにくい場合も、その条件を隠さず話せます。「規則正しく」という助言だけでは動けない事情があれば、実行可能な支えを考えるために大切な情報です。食行動の困難を、本人の気持ちだけで改善する責任へまとめないようにします。

持ち帰れる視点は、食べた自分を裁くことから、食べる前後に必要な支えを見つけることへ移すことです。まだ行動を変える自信がなくても、今の苦しさは相談できます。量の説明がうまくできないことや、外見から分からないことを理由に、助けを取り下げる必要はありません。

関連する内容は、気分の落ち込みが続くとき、自分を責め続けてしまうとき、ストレスコーピングとはでも読めます。

参考・引用文献

  1. NIMH. Eating Disorders: What You Need to Know.
  2. 国立精神・神経医療研究センター 摂食障害情報ポータル「摂食障害はどんな病気?」.
  3. 摂食障害全国支援センター「相談窓口」.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。