月経の前後で落ち込みやいらだちが変わると感じたら、いつ強くなり、生活に何が起きるかを医療で相談できます。「性格だから」「毎月のことだから」と我慢する必要はありません。一方、周期との関係を感じるだけで、PMSやPMDDと自分で診断することもできません。
「月経前の不調」と、ずっとある不調が強まる場合
PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)では、月経前に現れる心身の症状と、月経周期に伴う変化が診療で確認されます。既にある病気や症状が月経前に強まる「月経前増悪」との区別も大切です。[1] 同じ「月経前が一番つらい」でも、残りの時期の状態によって考えることが変わります。
説明用の例です。ある人は月経前に急に落ち込み、始まる頃には軽くなります。別の人は一か月を通じて落ち込みがあり、月経前にはさらに強まります。この二つを、気分の強さだけで同じものとは決められません。「一番悪い日」だけでなく、比較的楽な時期があるかも診察の情報になります。
「ホルモンの数値を調べれば全て説明できる」「ストレスが少なければ起きない」という単純な理解にはできません。RCOGの説明も、症状の背景は完全には分かっていないとしています。[2] 思い当たる原因が言えないことを、相談を控える理由にしなくてよいのです。
日付に加えて、暮らしで難しくなることを伝える
診察では、「いらいらします」のほか、何ができなくなり、何に困っているかを伝えられます。会議の後に泣いてしまう、食事を作れない、家族への強い言葉を後悔する、予定を取り消すなど、日常の一場面からでかまいません。症状が軽く見える日にも、つらかった時期の影響は話せます。
周期、睡眠、身体の痛み、使っている薬やサプリメント、これまでの心身の不調も分かる範囲で伝えます。月経周期が一定でない、出血が変わった、薬の使用や治療で状況が違う場合も、判断のための大切な情報です。典型的な経過に合わないからと、一人で分類を終えなくてかまいません。
先ほどの例なら、「月経前の数日が最もつらいですが、始まった後も眠れません」と話せます。「月経があるから仕方ない」という言葉では見えない、今の支援が必要な部分を具体的にします。
記録は医療で確かめる材料で、受診の試験ではない
日々の状態と月経との関係を前もって記録すると、思い出した印象だけでは見えにくい波を確かめる助けになります。日本産科婦人科学会の指針は、その意義と、簡単なメモ等も使えることを示しています。[1] RCOGも、医療者と診断を検討するための二周期の日誌を紹介しています。[2]
ただし、記録を完成させるまで受診を待つ必要はありません。「先月のことは曖昧ですが、仕事に行けない日がありました」という説明から相談できます。記録の方法や期間は担当者と相談し、毎日の自己採点が負担になる場合も伝えてください。
短いメモなら、日付、月経があった時期、特に困ったこと、比較的楽だった日などを残す方法があります。これは自作の診断表ではありません。項目を全て埋めることより、医療で何を確認したいかを言葉にするために使います。アプリに詳しい情報を入れる際は、情報の扱いも確認します。
つらい日の記憶だけで周期との関係を判断すると、症状が弱い日や、月経後にも続く不調を見落とす場合があります。[1] 記録は「病名が当たっている証拠」を集めるためでなく、見立てを医療者と確かめ直せる材料として使います。
婦人科と、既にかかっている医療をつなぐ
入口の一つは婦人科です。気分や身体症状の経過を伝え、他の診療科との連携も含めて相談できます。既に精神科・心療内科等へ通っている場合は、月経との関係をその担当医にも伝えます。月経前増悪を含め、元の症状への治療と切り離さないための確認です。[1]
「婦人科の話だから今の担当者に言わない」「気分の問題だから体の診察は要らない」と、本人が先に分けきる必要はありません。どこから相談すればよいか迷う場合も、受診中の機関に尋ねられます。複数にかかる際には、薬や受けた説明を伝え、情報共有の目的と範囲を確認します。
薬やホルモンに関する治療には個別の適否があります。インターネットで見た人の飲み方をまねたり、症状が楽な日に処方を自己判断で変えたりせず、医師・薬剤師へ確かめてください。妊娠の希望や、治療への懸念も話せる内容です。
波がある暮らしの負担も、同時に調整する
心理相談では、つらい時期の自己嫌悪、家族とのすれ違い、仕事を休む罪悪感などを扱えます。心理的支援は医療の選択肢とも組み合わせられますが、気持ちの持ち方で全て治すという意味ではありません。[2] この記事も特定の治療を個別に勧めるものではありません。
比較的楽な時期に、難しい日には家事のどこを減らせるか、誰へ何を頼めるかを考える方法があります。職場で正式な配慮を相談する場合は、主治医や産業保健、人事等の窓口へ、必要な範囲で伝えます。周囲へ周期や診断の詳細を全て公開する義務はありません。
不調があることと、相手を傷つける行動をそのままにしてよいことも別です。言い争いの後には、起きたことと今後の支えを分けて相談できます。誰が悪いかにまとめず、医療と生活上の対応を並べて考えます。
説明用の相談例:「月経の前後で気分が変わるように感じます。一番つらい時期だけでなく、それ以外の日の状態と、生活に出ている影響も確認してほしいです。」
死にたい気持ちが強い、自分の安全を保てないなど差し迫った危険があるときは、周期の確認や次の通常予約を待たず、医療等の緊急の支援へつながってください。波があるとしても、今の危険を「そのうち過ぎる」と一人で抱える必要はありません。
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参考・引用文献
記事のつくり方
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。