更年期のころ、気持ちの変化に戸惑うとき|体調と暮らしを相談する

更年期のころに気持ちや体調が変わったと感じたら、年齢だけで片づけず医療で相談できます。ホルモンの変化、ほかの病気、睡眠、仕事や家族の負担を、一つの原因へ決めないことが大切です。体の評価と、気持ちや暮らしへの支えを並べて使えます。

更年期の症状と、「その時期に起きた不調」を分ける

更年期は、閉経を挟んだ生殖機能の移行の時期を指し、日本では閉経の前後五年ずつとして説明されます。[1] ただし、それは心身のつらさを年齢や期間だけで診断できるという意味ではありません。経過や生活への影響を個別に確かめます。

以前なら流せた言葉に傷つく、夜中に起きて翌日ぼんやりする、暑さや発汗が気になり外出を避ける。変化が重なると「自分が弱くなった」と感じるかもしれません。日本の産婦人科の診療ガイドラインは、更年期の症状を、身体、心理、社会的な条件を含めて評価し、ほかの疾患を確かめる必要も示しています。[1]

気分の落ち込みがある場合も、更年期に関連する症状なのか、うつ病等の診療が必要なのかを、この記事だけで判断できません。NICEの更年期の指針も、抑うつ症状への対応と、うつ病が疑われる場合の診療を区別しています。[2] 「更年期だから」という説明で、その後の確認を終えないための視点です。

更年期や閉経を経験する時期・経緯は一様ではありません。手術や治療に関連する変化もあり、他の人の年齢や症状を基準に自分を当てはめる必要はありません。気になる経過と、今の暮らしで困ることから伝えられます。

受診では、一日の中のつらさを具体的にする

説明用の例です。夜の発汗で何度も起きる人が、仕事中に集中できず、帰宅後に家族へ強く言ってしまうことがあります。「最近いらいらします」だけでは、夜から翌日へ続く負担が見えにくいかもしれません。

診察では、いつ頃から変わったか、月経や出血の変化、眠り、体の症状、生活への影響、使う薬やサプリメントを分かる範囲で伝えます。以前からある不調と新しく始まった変化を分けられれば、確認の助けになります。記録がなくても、まず一番困っている場面から話せます。

「夜に何度も起き、その翌日に会議の内容が入ってきません」「気分が沈み、好きだったこともできません」と言えます。外からは元気に見える、仕事は何とか続けていることだけで、支援が不要と決めなくてかまいません。

診察の時間が短いときは、一番困る症状を先に伝え、「ほかにも相談したいことがあるので、次はどう確認できますか」と尋ねられます。身体と気分の全てを一回で説明し切ることを、受診の準備として求めるものではありません。

治療は、効果への期待と気がかりを両方伝える

婦人科等では、更年期の症状とほかの心身の状態を確かめ、選択肢を相談できます。治療の適否は、既往歴や受けている医療、本人の希望等によって変わります。薬やホルモンに関する治療が全員に合うわけでも、全て避けなければならないわけでもありません。

「一番改善したいのは眠りです」「治療の利益と負担を聞いてから考えたい」「今使っている薬との関係が心配です」と伝えられます。勧められた理由、見直す時期、気になる変化があった場合の連絡先を確かめます。周囲の経験談だけで、処方や使用量を変えないでください。

更年期に関連した症状に焦点を当てる認知行動療法も、英国の指針では一部の症状への選択肢とされています。[2] これは、一般的な相談だけでホルモンの変化をなくせるという説明ではありません。どんな困りごとを何の方法で扱うかを確かめ、必要な専門性を持つ支援先で相談します。ALVARAが更年期の専門治療を提供するという案内でもありません。

体調の変化と、暮らしの役割を一緒に背負わない

同じ時期に、仕事の責任、親の介護、子どもの進路等の負担が重なる人もいます。実際に担う用事が増えているのに、「気持ちの揺れを抑えれば元どおり」と考えると、必要な役割調整が残ります。体調と、用事の量の両方を相談できます。

先ほどの例なら、家族へ「私に更年期があるから配慮して」だけでなく、「夜に眠れない日が続いているので、今週の夕食の準備を分担したい」と、生活上の希望にできます。診断や詳細な経過を誰にでも話す必要はありません。話したい範囲と、頼みたい用事を分けられます。

勤務の調整が必要な場合は、人事や産業保健等の正式な窓口へ相談します。気分が波立った場面を一人で反省するだけでなく、業務量、休憩、勤務時間や環境で何が難しいかを具体的にします。利用できる制度や条件は、所属先へ確認が必要です。

心理相談では、変化への戸惑いも話せる

体調のつらさに加え、「これまでの自分に戻れないのでは」「家族の期待に応えられない」と感じることもあります。心理相談では、変化をどう受け取っているか、無理な役割や自分への厳しさ、周囲へ伝える怖さを扱えます。明るく受け止めることや、新しい生き方をすぐ見つけることを課題にしなくてかまいません。

年齢や性別を理由に、働き方、外見、性に関する希望まで一律に決められるものではありません。今後何を大切にしたいかがまだ分からないことも、相談できます。気持ちを話す支えは、必要な身体の診察や精神科等での評価を置き換えません。[1][2]

説明用の相談例:「この頃、眠りと気分が変わり、以前の方法では暮らしが回りません。更年期との関係だけでなく、ほかに確認が必要なことと、今減らせる負担を相談したいです。」

急な強い身体症状や意識の変化を、以前の更年期の説明だけで片づけないでください。命の危険や自分の安全を保てない状態でも、通常の相談予約を待たず医療等へつながる必要があります。変化を我慢するか、全て治してから暮らすかの二択にせず、今の状態で使える支えを考えられます。

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参考・引用文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.CQ407・CQ411.
  2. NICE. Menopause: identification and management(NG23), Recommendations. 2024年改訂を含む.

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このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

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このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。