親子の会話が減っても、すぐに関係が悪くなったとは限りません。以前と同じ量を話してもらうことより、子どもが話したいときに聞ける入口を残すことから考えられます。
話したい親と、今は休みたい子ども
説明用の例です。帰宅した子どもへ「今日はどうだった?」「宿題は?」「何かあった?」と続けて聞くと、「別に」と部屋へ入ってしまいます。親は心配になりますが、子どもにとっては、帰った直後に一人で休みたいだけかもしれません。もちろん、学校でつらいことがある可能性も、返事だけでは分かりません。
まず、質問を重ねる時間を少し変えられます。「おかえり。食事は七時だよ」と必要な連絡だけにし、落ち着いた時間に好きな話題を受け取る方法があります。親が話す内容も、成績や予定の確認ばかりでなく、「こんな物を見かけたよ」と短い日常の話でよいのです。
親が知っていることは、聞き出した量だけではありません
思春期の見守りを調べた研究では、「親が生活を知っている」ことと、「親が監視や質問をしている」ことを分けています。スウェーデンの14歳703人と親を調べた研究では、親の知識は子どもからの自発的な話に多く支えられていました[1]。観察研究なので、質問を減らせば会話が増えると証明したものではありませんが、知ることと監視することが同じではないと教えてくれます。
会話の目的が毎回、親への報告と確認になると、本人はまだ答えを持っていない気持ちを話しにくいかもしれません。友人への不満が出たら、「今は聞いてほしい? 一緒に考えたい?」と受け取り方を尋ねられます。助言を急がないことは、問題を放置するという意味ではありません。
親が友人や先生の言い分を先に代弁すると、本人の話が否定されたように届く場合もあります。全てに賛成せずとも、何が嫌だったかは聞けます。本人が話し終えたら、その一言を入口に詳細な報告まで求めず、終わりにすることもできます。
「会話の量」と、「話してもよい入口」を分けます
送迎中の一言、食べたい物を聞くメッセージ、同じ部屋で別のことをする時間。長い対話でなくても、互いがそこにいることを知る関わりはあります。今は返事を求めない話題と、予定など返事が必要な連絡を分けると、何を求められているかも分かりやすくなります。
「困ったら聞きたい」と一度伝えた後、毎日その言葉で反応を待つと、話すよう求められる感じになる場合があります。親も自分の日常の話を短くしながら、子どもから来た話を受け取れる時間を探せます。寂しさを子どもの返事だけで解消しようとせず、保護者にも別の話す相手を持てます。
距離を尊重しながら、体調や安全は気にかける
会話の少なさだけで判断せず、眠り、食事、学校への参加、好きなことの楽しみ方など、暮らしにも目を向けます。急に大きく変わった、自分を強く否定する、けがや被害が心配な様子があるときは、「思春期だから」と済ませず、学校や医療へ相談してください。
本人へは「話さないから相談する」ではなく、「最近眠れずつらそうなので、助けを探したい」と、気にしていることを伝えられます。安全に関わる場合は、本人が話し出すまで待つだけでなく、保護者から窓口へ相談することも必要です。
寂しさや焦りを、子ども以外へ話してよい
以前は何でも話してくれた子どもと距離ができると、寂しい、役に立てない気がする、嫌われたのではと感じることがあります。その気持ちを子どもに解消してもらおうとすると、聞くつもりの会話が、安心させてもらうための会話になることもあります。
保護者自身が誰かへ話し、自分の時間や楽しみを持つことも考えられます。ALVARAでは18歳以上の保護者ご自身が、子どもとの距離や自分の寂しさを相談できます。相手に話させる技術を身につけるより、話しても話さなくても続けられる関わりを探す時間にできます。
参考・引用文献
厚生労働省「家族で子どもと向きあうポイント」 / 厚生労働省「自分や家族を責めない」 / [1] Stattin, H., & Kerr, M.(2000)Parental Monitoring: A Reinterpretation. Child Development, 71(4), 1072–1085. DOI: 10.1111/1467-8624.00210.
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このコラムについて
本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。
