子育てに疲れたとき

子育てに疲れたとき

子育てに疲れたとき、子どもを大切に思う気持ちがあっても、休んだり誰かに任せたりしてかまいません。「一人で見続けるのがつらい」という今の状態を、そのまま相談できます。

もし、今にも子どもへ手を上げそう、自分や家族を傷つけそうで安全を保てないなら、この記事を読み進めることより、近くの大人、自治体、児童相談所、医療などへすぐ助けを求めてください。すでに危害やけががある場合は、警察・救急など緊急の対応を優先します。

一時的な疲れと、育児の役割で続く消耗

忙しい日の疲れなら、睡眠や休息で戻ることもあります。一方、育児について考えるだけで消耗する、子どもとの関わりを最低限にしたくなる、以前の自分と違うと感じる状態が続く場合は、「もっと気分転換すればよい」と片づけないことが大切です。

育児に関する燃え尽きを調べた研究は、消耗、子どもとの情緒的な距離、達成感の低下などを取り上げ、一般的な育児ストレスや抑うつとの重なりと違いを検討しています[1]。育児場面に強く出るつらさもある、という理解に役立ちますが、質問紙の研究であり、この記事の説明で診断できるものではありません。抑うつや身体の病気が併存することも否定できません。

説明用の例です。子どもが寝た後も、翌日の準備、洗濯、夜泣きへの待機が続いています。座った時間があっても、対応する責任から離れられなければ、本人には休息になっていないかもしれません。休みを「空いた時間」でなく、代わる人がいて実際に任せられる時間として考える理由がここにあります。

新しい気分転換を頑張る前に、急がない用事を減らす、人手を増やす、自分の受診を予定へ入れるなど、負担と支えの両方を見ます。うまく休む工夫まで一人で考え切れなくても、そのまま相談できます。

「少し手伝って」から、一つの頼み事へ

頼れる人がいるなら、「今夜のお風呂から寝かしつけまで代わってほしい」「明日の迎えをお願いしたい」のように、してほしいことをそのまま伝えられます。相手が何をすればよいか分からない場合は、開始と終わりを短く添えると伝わりやすくなります。

「今日は余力がありません。__から__まで、子どもを見ていてほしいです。私はその間、家事をせず休みたいです。難しければ、別の人や支援先を一緒に探してほしいです」

頼むたびに細かな指示が必要で、それも負担なら、「準備や片づけも含めて任せたい」と話せます。依頼を断られたことは、疲れが小さいという意味ではありません。頼める人が身近にいない、費用が心配という事情も、自治体へ伝える話になります。

休む罪悪感も、消耗とは別に話せます

「人に任せる親は無責任」「ほかの家庭はできている」と考えると、人手があっても休みにくくなる場合があります。実際に代わる人がいない負担と、代わってもらうと責められる気がするつらさでは、必要な助けが違います。どちらも親の性格の弱さにまとめる必要はありません。

支援を受ける理由は、子どもへ良い影響を与えるためだけでなく、保護者自身の健康や生活を守るためでもかまいません。預け先への心配は説明を受けて相談し、保護者がすべてを完璧に準備してからでないと休めない、という条件を増やさないようにします。

家族の外へ、暮らしを支える相談を

市区町村のこども家庭センターや子育て担当では、家庭の困りごとを聞き、地域の支援へつなぐ相談ができます。訪問での家事・育児の支援や一時的な預かりなどは、地域や家庭の状況によって利用できる内容が異なります。制度名を知らなくても、「夕方から一人で対応するのが難しい」と伝えてください。

眠れない、食事が取れない、涙や強い落ち込みが続くときは、気分転換の結果を待たず医療へ相談できます。ALVARAは18歳以上の保護者ご自身の疲れや気持ちを話す場として使えます。預かりや子ども本人の診断・治療は行いません。今日の持ち帰りが「もっと頑張る」ではなく、一人で抱える用事を一つ減らすことになってよいのです。

参考・引用文献

こども家庭庁「こども家庭センター」 / こども家庭庁「家庭支援事業について」 / こども家庭庁「児童虐待防止対策」 / [1] Roskam, I., Raes, M.-E., & Mikolajczak, M.(2017)Exhausted Parents: Development and Preliminary Validation of the Parental Burnout Inventory. Frontiers in Psychology, 8, 163. DOI: 10.3389/fpsyg.2017.00163.

WRITTEN BY

このコラムを書いた人

齋藤 光公認心理師・臨床心理士

ALVARA Counseling Services代表。公認心理師・臨床心理士として相談に携わり、日々の暮らしや人との関わりを考えるための情報を執筆しています。

プロフィールを見る

公開日
最終更新日

記事のつくり方

記事ごとの関連資料は本文末尾に掲載しています。情報源の選定、更新、訂正、心理療法・心理検査の掲載範囲については、記事のつくり方を確認できます。

心理コラムの記事のつくり方を見る

このコラムについて

本記事は一般的な心理情報の提供を目的とし、判断・支援の代替ではありません。記事で紹介する心理療法・支援法のすべてを当サービスが提供していることを示すものではありません。体調や安全に不安がある場合は、医療の窓口または地域の相談窓口をご利用ください。