パートナーと一緒に暮らしていても、気持ちが届かないと孤独を感じることがあります。同じ場所にいる時間を増やす前に、どんなときに理解されていないと感じるかを考えられます。
話しているのに、つながった感じがしない
説明用の例です。夕食中に仕事で困ったことを話すと、パートナーはすぐ「では上司に言えばいい」と答えます。相談した側は解決策よりつらさを聴いてほしかったのに、「もう話しても仕方ない」と黙ります。相手は助けたつもりなので、なぜ不満そうなのか分からず、二人とも会話を減らしていきます。
この例では、言葉を交わした量だけでは分からないずれがあります。困りごとの結論が出たことと、本人が理解されたと感じることは違います。反対に、相手が望む返答をその場でできなかったことだけで、愛情がないと決まるわけでもありません。何が求められ、どう受け取られたかを見てみます。
Laurenceauらの二つの日誌研究は、気持ち等の自己開示と、相手に受け止めてもらえたという知覚が、やり取りの中の親密さに関係することを報告しています。[1] ただし観察的な研究であり、特定の話し方で関係が修復するという治療効果の証明ではありません。話す量だけでなく、どう届いたかを見る手がかりになります。
「もっと話したい」を、欲しい応答へ近づける
先ほどの例なら、「今日は解決策を考える前に、仕事でつらかったことを少し聴いてほしい」と、今ほしい関わりを知らせる方法があります。聞く側も、「話を聴いてほしいのか、一緒に方法を考えたいのか」を確かめられます。相手に正しい反応を試験させる言葉ではなく、望みが伝わっていない可能性を扱う工夫です。
「いつも分かってくれない」だけでは、相手は何に応じればよいか見えないことがあります。「昨日、途中でスマートフォンを見ていたとき、まだ話を聴いてもらいたいと思った」と、一場面へ近づけられます。本人が傷ついたことと、相手にどんな意図があったかを分けると、確認できることが残ります。
ただし、一方だけが上手に説明し続けなければならない関係にする必要はありません。話す方法を変えても、関心を向けようとしてもらえない、希望をからかわれるなどの場合は、その経験自体を相談できます。会話の技術が足りないという本人の課題に戻し続けないことが大切です。
会話の時間がない理由も、二人の暮らしから見る
仕事、育児、介護、健康上の事情で、二人とも余力を失っていることがあります。帰宅後に片方が家事を続け、もう片方が休む形なら、親密さの時間を追加する前に、生活の負担をどう担っているかを見る必要があるかもしれません。
「週に一度はデートする」と決めるだけでは、準備や子どもの世話を同じ人が担い、負担が増えることもあります。まず、話す余力を削っている用事を一つ減らす、相手が聴ける時間を確かめるなど、本人たちの生活に合う方法を考えます。どちらがより大変かを競うのではなく、話す場を作る仕事まで誰に偏っているかを見る視点です。
また、話したい時間と一人で休みたい時間が違うこともあります。「今は聴けない」という返事が、関係全体の拒否か、今日の余力の話かは同じではありません。後で話せる時期を相談できるか、自分の希望も尊重されるかを見ます。すぐ返事をもらうことだけを、愛情の証明にしなくてかまいません。
パートナー一人に、全てのつながりを求めなくてよい
関係の中の寂しさを話すことと、関係の外にも支えを持つことは両立します。友人や家族、趣味の場などに、自分が話せる接点が欲しい人もいます。NHSの一般向け情報も、関係の外の支えや、自分のための時間を案内しています。[2] パートナーへ相談することを諦めるためではありません。
逆に、交流の予定を増やすのが負担なら、今は個別の相談や休息を選べます。人と会う数を増やしても、「一番近い人に気持ちが届かない」という痛みがそのまま残ることはあります。どんな寂しさが残るのかを区別し、自分が望むつながりを考えられます。
身近な人へ話す際は、相手の私的な情報を全て広めなくても、「二人でいるのに寂しい」「今日は少し話を聴いてほしい」と本人の経験から伝えられます。相談したことを理由に、勝手にパートナーへ連絡されると困る場合は、その希望も先に知らせられます。
怖さがある関係では、会話を増やすことを先にしない
気持ちを伝えると脅される、行動を監視される、性的な行為を強いられるなどの場合は、通常のすれ違いと分けます。内閣府は、こうした身体的な暴力以外の行為も相談対象になりうると示しています。[3] 危険のある関係で、気持ちの開示や二人での面談を課題にしないでください。
安全な連絡方法で、被害支援の窓口や警察等へ個別に相談することが優先です。相手を理解する努力や、正しい会話だけで暴力を止める責任を本人へ負わせることはできません。切迫した危険がある場合は通常の心理相談の予約を待たず、緊急の支援につながってください。
相談では、本人が望む関係と支えを考える
個人の心理相談では、届かないと感じた場面、伝えることへの怖さ、今後どんな暮らしを望むかを話せます。パートナーが来なくても本人の負担を扱えますが、来ていない相手の本音や診断を決定することはできません。
二人での支援を希望するなら、対象、担当者の経験、個別に話す時間の有無、情報の扱いを利用前に確かめます。必ず関係を続けることを目的にせず、本人たちが何を決めたいかから相談できます。ALVARAの個人相談は18歳以上が対象で、カップル療法や紹介した全ての支援を実施しているという意味ではありません。
説明用の一言:「会話がないわけではありませんが、困ったことを話すとすぐ答えが返り、気持ちが残ります。何を聴いてほしいのかと、二人の生活にどんな余力があるかを分けて考えたいです。」
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参考・引用文献
- Laurenceau JP, Barrett LF, Pietromonaco PR. (1998). Intimacy as an interpersonal process: the importance of self-disclosure, partner disclosure, and perceived partner responsiveness in interpersonal exchanges. Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1238–1251. DOI:10.1037/0022-3514.74.5.1238.
- NHS Every Mind Matters「Maintaining healthy relationships and mental wellbeing」
- 内閣府男女共同参画局「暴力の形態」
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このコラムについて
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